植田 秀司さん の VOICE

VOICE

取材時期:2012年

植田 秀司さん 修了生

立命館大学大学院社会学研究科
応用社会学専攻 博士課程前期課程 2005年度修了
現職
株式会社イシダ 西日本産機システム部広島営業所 勤務

社会で重要なのは「何を学んだか」ではなく、学び、結果を出すプロセス

社会学研究科では、どのようなテーマを研究されましたか。

研究テーマは「近江商人西川甚五郎家における経済活動と宗教の関係について‐商家文書を用いた実証研究‐」です。学部では経済活動と宗教生活の相互連関に関するM.ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」、この仮説に依拠したR.Nベラー、内藤莞爾らの「近世の近江商人と仏教(真宗)信仰との間には強い関連がある」という検証結果について文献研究をおこない卒業論文を作成しました。大学院ではそのベースをもとに近江商人西川甚五郎家のオリジナル文書の整理・解読・データベース構築・分析を通じて、彼らの再検証を試みることに主眼を置き研究をおこないました。研究対象は、西川文化財団(滋賀県近江八幡市)所蔵の奉公人文書一式、家憲・家訓、「社史」および聴取り調査資料をもとに研究を進めました。

院生時代の研究が、今のお仕事にどのように活かされていますか。

営業職に就きお客様・社会のニーズに応えるのは当然であること、それ以上に実際に現場に足を運び、根本的な問題は何なのか、経験、知識を活かしその問題をどのように解決していくのか、それを常に考え行動していくことの重要性を日々強く感じております。それは大学院での研究でも同様であると思います。答えのない問題に取り組み、試行錯誤しながら自分の経験や知識を信じ問題の解決を目指すということは仕事も研究も同じだと思います。それを自分の言葉で発信していく力は社会に出て振り返ってみると大学院で身についたのではないかと思うことがあります。

いま社会学研究科で学び研究する院生たちに、なにかアドバイスがありましたらお願いします。

大学院での研究が必ずしも直接的に仕事に活かされることばかりではないと思います。しかし、社会で重要なのは「何を学んだか」ではなく、学び結果を出すプロセスが重要であると思います。どんな課題であれ、課題に対して挑み、自分の考えをしっかり持って進む力、そして自分の言葉で発信していくことが、社会で求められている力だと思います。僅か2年間ではありますが、どんな道に進もうと大学院での学びは最大の武器になると信じています。