市井 吉興教授 の VOICE

VOICE

取材時期:2015年

市井 吉興教授 教員

研究テーマ
スポーツ文化論、レジャー研究、エイジングとポピュラーカルチャー
教員詳細

研究とは様々な人々との関わりあいのなかでこそ進展していく

先生は、どのような経緯から現在の研究テーマを設定されたのでしょうか。

私の研究テーマは、社会的諸関係からスポーツの位置づけを捉え直しつつ、スポーツの本質と構造を探究することにあります。まさに、スポーツは、豊かな福祉社会の構想や健康増進という社会政策上の関心のみならず、人々の社会参加の「梃子」として期待されています。

それゆえに、人々のスポーツへの参加を実現させる社会的条件の整備に向けた議論―たとえば、福祉国家論、労働時間論、自由時間論―のみならず、「なぜ、人はスポーツを求めるのか」という根本的な問いに対する「解答」を模索しています。

先生は、これまで研究上の大きな困難にぶつかったことがおありでしょうか。
また、その場合どのようにしてそれを克服されましたか。

今でも研究を進めていくなかで、困難にはぶつかります。たしかに、研究上の困難を乗り越えるのは、最終的には私自身です。

しかし、そこに至るまでに、様々な人々と議論を重ねるなかで、困難を解決するヒントが見つかることが多々ありました。つまり、研究とは孤独な作業ではありながらも、様々な人々との関わりあいのなかでこそ、進展していくものなのかな、と思います。

将来研究職を目指す院生が早い段階から取り組んでおくべき課題があるとすれば、それは何でしょう。

今でこそ、私はスポーツ研究、レジャー研究を専門としていると言えますが、そこに至るまでは、それなりの年月がかかりました。

私は2000年に学位(社会学博士)を取得しましたが、1997年4月に立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程に進学するまでは、立命館大学大学院文学研究科博士前期課程に在籍し、西洋哲学なかでもドイツの哲学者ディルタイの「生の哲学」を研究しました。修士論文執筆後、私は研究分野を哲学から社会学へと変えたわけですが、やはり、哲学と社会学では研究上の「お作法」もかなり異なります。それゆえに、博士後期課程に進学することが出来たとはいえ、私自身は「社会学の素人である」との自覚のもと、社会学の基礎的な理論と方法論については独自に勉強をしました。

大学院進学を考えている方の中には、私のように研究分野を社会学に変えようとしている方もいらっしゃるかと思われます。そうであるならば、社会学の基礎的な理論と方法論について、早めに勉強を開始することをお勧めします。