延 桂史さん の VOICE

VOICE

取材時期:2016年

延 桂史さん 修了生

応用社会学専攻
高度専門コース
博士課程前期課程2回生

「迷い」こそ社会学の醍醐味

「社会学ってどのような学問ですか」。友人や知り合いからこうした質問をされる度に私は毎回どう答えたら良いか迷います。
ですが、そうした「迷い」こそ社会学の醍醐味だと思います。社会学は定まった定義がなく、幅広く研究することが可能な領域です。実際、身近にいる院生の研究テーマも若者の貧困から英国の王室研究まで多岐に渡ります。こうした多様な姿を持つことが社会学の特質ではないかと思います。

そして、実際の調査は面白い。これが大学院での調査を経験することで学んだことです。現在、ハンセン病療養所を退所した回復者への聞き取り調査を行っています。ハンセン病とは慢性の感染症で、他人に伝染することはありませんが、国は「伝染する病気」だと偽りの情報を流し、その結果、患者は療養所に1996年まで終生隔離されてきました。療養所退所者は社会に出た後も病歴を隠すなど、多様なジレンマを抱えながら生活してきましたが、彼らはそうした社会での生活を「バラ色」と表現します。こうした語りの矛盾を追求していくことが調査の面白さに繋がっています。

社会学研究科での学びは物事を考える際の多様な視点を提供してくれます。ここでの経験は必ず自分の将来に役立つと確信しています。皆さんも是非社会学研究科で深い学びを体験してみてください。