竹濱 朝美 教授 の VOICE

VOICE

取材時期:2016年

竹濱 朝美 教授 教員

研究テーマ
再生可能エネルギーの電力網システムへの統合、グリーン技術に関する産業と投資の研究。特に、風力発電/太陽光発電の電力網連系、風力発電に関する投資ビジネス
教員詳細

再エネと電力網への投資規模の大きさ、再エネ社会を作ろうとするエンジニアたちの情熱に感動

先生は、どのような経緯から現在の研究テーマを設定されたのでしょうか。

2004年にイギリスSussex大学に留学し、国際会議で気候変動の深刻さに衝撃を受け、子供たちに安全な気候を残すために、再生可能エネルギー研究を始めた。2006年以降、イギリスやドイツの洋上風力、大規模太陽光発電の調査、ドイツの送電網/配電網と風力/太陽光の連系について調査を行ってきた。再エネと電力網への投資規模の大きさ、再エネ社会を作ろうとするエンジニアたちの情熱に感動した。日本もこんな社会になったらいいなと憧れた。風力発電はスケールの大きさ、未来への展望を実感できることが魅力。

先生は、これまで研究上の大きな困難にぶつかったことがおありでしょうか。
また、その場合どのようにしてそれを克服されましたか。

一緒に再生可能エネルギーを研究している仲間の研究者に、支えられている。皆、日本のエネルギーシステムを再エネ中心に切り替えることに情熱を持っている。彼らの情熱と忍耐力を見ていると、自分も頑張ろうとエネルギーが湧いてくる。家庭(育児)と仕事を両立するうえでは、産業社会学部の教職員の皆さんが暖かく支えてくれた。また、家族の協力があって、今日まで研究者を続けることができた。感謝している。

2年間の修士課程を終えて社会に出ていく院生に対して、大学院時代の成果をどのように実社会で生かしていくか、アドバイスをお願いします。

<実社会で活かせるような実務的/実用的/実証的な知識/技能を、大学院時代に獲得すること>
<計量的な推計、シナリオ作成の力量をつけること>

自分の提案を一定の試算条件に基づいたシナリオとして、データに基づいて提案できる力量が重要。同時に、人間関係の柔軟性、楽観的に考える能力も非常に重要。人生は山あり谷ありだから。

将来研究職を目指す院生が早い段階から取り組んでおくべき課題があるとすれば、それは何でしょう。

(1)英語でのスライド作成、口頭発表の力、英語での討論力。 (2)客観的な統計データを用いて、意見を要約する(スライドにまとめる)習慣が重要と思う。欧州の電力/再生可能エネルギー企業では、管理職は、業務にかかわる数値データを正確に把握して、(単なる構想図ではなく)、実績データのスライドを使って戦略を説明してくれることが多い。 (3)積極性。言われないと発言しないとか、尋ねられないと答えないという<大人しいタイプ>では、チャンスを逃すと感じる。