SPECIAL CONTENTS #1 岡本先生を語る

遺志を継ぎプログラムを続けていくことが恩返しになる

薬師寺岡本先生のお人柄が偲ばれる思い出があればお話しください。

長田これまでに大学の仕事で何度も岡本先生と一緒にアメリカへ渡りましたが、岡本先生は英語をしゃべるときに難しい英単語をたくさん使って話されることに気がつきました。その理由を岡本先生にお尋ねすると、「俺の英語の発音は拙いから、あえて難しい言葉を使うのです」と、笑っておられたことを思い出します。

宮家ユーモアのある岡本さんらしいですね。中身のある話なら相手はちゃんと耳を傾けてくれます。岡本さんは、英語でも日本語でも心のこもった話し方で、しっかり相手の心を掴んでおられました。

薬師寺岡本先生はゆっくりと、時には話をとめながら話すことで、相手に考える時間を与えてくれる、そんな話し方が印象に残っています。学生に対する時でも、それは変わりませんでした。

長田岡本先生は、柔らかな話しぶりだけれど、あいまいなことは決して仰いません。自分のお考えをビシッと断定される。それは教育者にとってとても大事なことだと私は思っています。

薬師寺 公夫
立命館大学 法務研究科教授

1950年、岡山県生まれ。
京都大学法学部卒業後、同大学院法学研究科博士課程単位取得退学。
神戸商船大学商船学部助教授、立命館大学法学部助教授及び教授、立命館アジア太平洋大学APS教授、立命館大学大学院法務研究科教授を経て退職。
この間、立命館大学教学部長、立命館アジア太平洋大学副学長、学校法人立命館副総長を務め、学会等では国際法学会代表理事、世界法学会理事長、国際人権法学会理事長、国連強制失踪条約設置強制失踪委員会委員等を務めた。
現在は、立命館大学大学院法務研究科特任教授及び立命館大学名誉教授。

薬師寺これはというポイントについてははっきりと仰られますね。説得力のある話し方は、数々の難しい折衝を経験する中で身につけられたのでしょうね。

長田もし岡本先生がご健在でいらしたなら、アメリカの現状や国際的な立ち位置などについて、じっくりと意見を交わしたかったです。

宮家同感です。彼が生きていたら、コロナウィルスの感染拡大以降の国際情勢について何を仰るだろうか。今こそ彼の意見を聞きたくて仕方ありません。

薬師寺最後に岡本先生への追悼のお言葉をお願いします。

長田岡本先生と知り合ってから20年、長きに渡っておつきあいできたことを幸せに思っています。立命館大学のためにご尽力いただいたことにも心から感謝しています。

薬師寺宮家先生には岡本先生からバトンを受け取り、今後もこのプログラムを引っ張っていただきたいと思っています。

宮家「立命館大学国際社会で活躍する人材養成特別プログラム(オナーズ・プログラム)」は、岡本さんが始められた非常にユニークなプログラムで、これまで大きな成果を上げてきました。末永く続けていくことが、岡本さんへの恩返しになると思っています。岡本さんがされてきたこと同じことはできませんが、彼の遺志を大切に引き継いでいくつもりです。

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