教育内容

法律基本科目

憲法A

憲法総論・人権論の分野を対象とし、統治機構領域を除く日本国憲法についての体系的知識・理解を修得させることを目標とする。できる限り、歴史的および比較法的視点を与えることに留意する。
出席者に、あらかじめ読んでおくべき憲法概説書とケースブックの該当部分、判例等を指示しておき、考えてくるべき基礎的な問題を5~6提示しておく。各回の講義では、それらの問題について質問しながらテーマについて概説を行う。

憲法B

統治機構分野を対象とし、日本国憲法の定める統治構造についての体系的知識・理解を修得させることを目標とする。できる限り、歴史的および比較法的視点を与えることに留意する。
出席者に、あらかじめ読んでおくべき憲法概説書の該当部分と判例等を指示しておき、考えてくるべき基礎的な問題を5~6提示しておく。各回の講義では、それらの問題について質問しながらテーマについて概説を行う。

憲法C

違憲審査制に関わる基本的な事項について、体系的知識・理解を修得させることを目標とする。できる限り、歴史的および比較法的視点を与えることに留意しつつ、人権領域の判例も素材として取り入れながら講義する。出席者に、あらかじめ読んでおくべき憲法概説書やケースブックの該当部分と判例等を指示しておき、考えてくるべき基礎的な問題を5~6提示しておく。各回の講義では、それらの問題について質問しながらテーマについて概説を行う。

民法Ⅰ

(契約法Ⅰ)
売買契約を中心的な素材としながら、契約に基づく権利・義務の帰属主体、契約の成立、契約の解釈、意思表示ないし契約の効力減却事由、契約に基づいて発生する権利・義務の内容とその構造、契約と権利変動、履行障碍とその救済を取り扱う。契約法の基本原理にとどまらず、実習を介して法律解釈の基礎を習得する。

民法Ⅱ

(不法行為法)
この科目は契約関係にない当事者間で権利侵害や不利益な状態が生じた場合の救済方法について学び、全体は3つの部分から構成されている。1つめは、不法行為の要件と効果についての基本的知識と考え方を、具体的な事件類型をもとに修得し、また、解釈理論上の問題が損害賠償実務のどのような局面で、どのように問題となるのかを学ぶことである。2つめは、不法行為とならんで民法上の契約によらない債権発生理由であり、現実の事件においては不法行為とも競合しうる事務管理や不当利得についての基本的な知識と考え方を修得することである。3つめは、不法行為による金銭賠償と原状回復、物権的請求権、占有訴権、人格権や環境権に基づく差止請求権が競合することが実務では多いことから、制度横断的に解決方法を見出し、適用できる力をつけることである。

民法Ⅲ

(担保法)
担保法は、企業が債権の保全・回収を図るための前提となるものであり、実務上も非常に重要な役割を果たしている。この科目では、民法第295―398条ノ2に規定されている抵当権等の物的担保、および同428―465条に規定されている保証等の人的担保等の各種の担保制度の概要を理解することを目的とする。
近時の担保・執行法制の改正や、会社更生法の改正等、権利の実現のためのプロセスの理解が不可欠である。本講義は、2年生前期配当の民事訴訟法・(執行手続を扱う)の前提知識を提供する役割をも担っている。とりわけ、複数の箇所で言及する「差押え」についての理解が重要であり、随時、実体法上の権利とその実現過程との連関を重視して授業を進めていく予定である。

民法Ⅳ

(契約法Ⅱ)
民法の財産法部分のうち、民法Ⅰ~Ⅲでとりあげられなかった残りの部分を扱う。具体的には、典型契約を中心とした契約の各論部分、担保物権を除く物権に関する基本的部分(所有権、共有、制限物権)、民法財産法科目のまとめとして、民法の基本原理にかかわる問題(信義則、権利濫用、法解釈の方法)を検討する。

民法Ⅴ

(家族法)
民法の親族編、相続編を扱う。具体的には、婚姻、離婚、親子、相続、遺産分割、遺言などに関する体系的な理解をまず踏まえ、次に現実の紛争事例への適用を検討する。特に重要な論点に関しては、判例や学説の解決方法を示す。その応用は、家事法務Ⅰに委ねる。なお戸籍法、家事審判法など家族の紛争解決に重要な役割を果たす制度についても考察し、家族法の総合的な理解を進める。

刑法A

初学者を対象に、刑法の基礎理論と犯罪論の総論および各論の一部(広義における人格的法益に対する罪)を扱う。刑法の基本的知識を身に付け、専門用語を正確に理解し、具体例に即して説明できるようにすること、総論と各論の関係を理解すること、判例の読み方を修得することが、本講義の目標である。

刑法B

初学者を対象として、個人的法益に対する罪の内の財産犯および社会的法益に対する罪、国家的法益に対する罪を扱う。刑法の基本的知識を身に付け、専門用語を正確に理解し、具体例について、成立可能な犯罪が何であるか判断できる力と、各犯罪相互の罪数処理の力を養うことが、本講義の目標である。

刑法C

犯罪論の総論および各論を履修した者を対象に、重要判例を素材として講義を行う。受講生が今まで培ってきた知識をもとに、判例の具体的事実関係から法的問題点を抽出できるようになること、判例の趣旨と射程を正確に理解し、異なる事実関係に応用できる力をつけることが、本講義の目標である。

商法Ⅰ

商法Ⅰでは会社法を扱う。これから会社法の勉強を始める受講生が2年次の演習に耐え得るように、会社法の基礎的な知識・体系的な理解の習得を目標とする。会社法全般を網羅的にカバーするのはもとより不可能だが、基本的輪郭とそれを支える骨格を理解し、輪郭と骨格を形成するのに必要な肉付けを理解するのが商法Ⅰで、十分な肉付けは2年次の商法演習で行う。十分な肉付けに耐え得る骨太な体系的理解の習得を目標とする。

商法Ⅱ

商法Ⅱで扱う法分野は手形法・小切手法および商法総則・商行為法である。これから企業取引法の勉強を始める受講生が2年次の演習に耐え得るように、決済手段および信用手段の主要な一つである手形法・小切手法について、基本的な知識および体系的な理解の習得を目指す。また商法総則・商行為法については、技術的な性格を強く備えた重要問題を、周辺に位置する諸制度との関連を視野に納めながら検討する。両分野全般を網羅的にカバーするのはもとより不可能であるが、基本的輪郭とそれを支える骨格、そして輪郭と骨格を形成するのに必要な肉付けは商法Ⅱの守備範囲である。十分な肉付けは2年次の商法演習が賄うので、肉付けに耐え得る骨太な体系的理解の習得を目標とする。

商法Ⅲ

前期配当の商法Ⅰにおいて会社法中の、機関、株式、設立、持分会社等の基礎知識を習得することとなるが、本講義は、それに後続し、会社法中の、資金調達(新株発行・新株予約権・社債)、計算、組織再編(M&A)につき、基礎知識の習得・定着を図ることを任務とする。すなわち、商法Ⅰと商法Ⅲを履修することにより、会社法全般の基礎知識を正確に習得することが期待される。

行政法A

行政法の基本的な概念や主要な行為形式に関する基本的な知識を前提として、行政法独自の性格を持つ個別法を読み解くことによって、訴訟における本案の主張の基礎となる点と手続的な法規制を運用する能力を養う。また、行政事件訴訟法や行政不服審査法の基本的な枠組みに関する知識を身につける。

行政法Ⅰ

行政法を学び法曹として活動するためには、まず第1に行政法の基本的な知識と行政法独特の考え方を理解する必要がある。本講義では、このため、行政法の基本的な概念や行政法に特有な様々な行為形式のうち主要なものを身につけることが目的である。このようことを基本的な判例等の学習を通じて学ぶこととする。

民事訴訟法Ⅰ

この民事訴訟法Ⅰの講義では、民訴手続の理念を実現すべく現行民訴法はどのような基本的な手続構造や諸制度がとられているか、という手続の概略の理解を得ることを目的として学修する。
そして、民事訴訟の手続構造・諸制度に関して、どのような基本的問題が存在するのか、ということをいわゆる「コアカリキュラム」(法科大学院での「共通的到達目標」)に沿って講義するが、そのうちの、基本的な項目のみを中心に確実な学修を目指す。
具体的内容としては、第一審の手続と裁判言渡し及び判決の効力問題までの内容を扱う。
この授業は前期で行われるが、民訴法の基本的知識や手続構造を確実に修得し、引き続き後期で行われる「民事訴訟演習Ⅰ」における複雑な理論的論点を十分理解できるだけの知識・能力の確保を目標とする。

民事訴訟法Ⅱ

この民事訴訟法Ⅱの講義でも、民事訴訟法Ⅰと同じく、民訴手続の理念を実現すべく現行民訴法はどのような基本的な手続構造や諸制度がとられているか、という手続の概略の理解を得ることを目的として学修する。
そして、民事訴訟の手続構造・諸制度に関して、どのような基本的問題が存在するのか、ということをいわゆる「コアカリキュラム」(法科大学院での「共通的到達目標」)に沿って講義するが、そのうちの、基本的な項目のみを中心に確実な学修を目指す。
具体的内容としては、民事訴訟法Ⅰの授業で学習した内容を前提にして、請求の複数問題及び上訴問題を民事訴訟法Ⅱの授業で扱う。
この授業は後期に行われるが、民訴法の基本的知識や手続構造を確実に修得し、引き続き次年度前期に行われる「民事訴訟演習Ⅱ」における複雑な理論的論点を十分理解できるだけの知識・能力の確保を目標とする。

刑事訴訟法Ⅰ

刑事訴訟法のうち、捜査、起訴、公判及び判決の各手続を扱う。手続的思考方法の習得と、適正手続の要請と処罰要請という2つのベクトルに配慮した考察態度の涵養を目指すことにする。

刑事訴訟法Ⅱ

刑事訴訟法のうち、証拠法と裁判法部分をカバーする。証拠能力論、証明力論、事実認定論など、実務における証拠の取り扱いに関わる判例理論を習得すると同時に、疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の大原則がどのように裁判過程で適用されるかという刑事手続の動態的な特質を把握できるようにする。

憲法演習

憲法上の争点が争われる憲法訴訟の場で憲法上の争点につき主張し、判断する力を身につけさせることを目標に、人権領域を中心に、訴訟の場を念頭に置いて違憲審査の基準論(裁判所が国家行為の合憲性を判断する基準)について検討を加える。実際の事件を素材に、最高裁判決(少数意見を含む)を主たる対象とする。いくつかの最高裁判決を比較させ、あるいは、下級審判決、鑑定書・意見書、学説をも分析対象に含め、それらの相互関係を検討させることを通じて、判例の意味・射程を理解させる。事前に判例等を読んであることを前提に、質疑をしながら進めていく。

民法演習Ⅰ

民法の基礎知識が一通り修得されていることを前提に、民法の法律行為、代理、法人、不動産取引、動産取引、担保物権、親族法について、設例や最高裁判決を用いて、事実関係を分析し、事案に則した法律構成と理由付けができるよう、応用力を身につける科目です。

民法演習Ⅱ

この科目は、民法の基礎知識が一通り修得されていることを前提に、民法の債権法の主要問題、つまり、債務不履行、責任財産の保全、債権譲渡、保証、相殺、請負契約、賃貸借契約、不当利得、不法行為ならびに相続法について、設例や最高裁判決を用いて、事実関係を分析し、事案に則した法律構成と理由付けができるよう、応用力を身につける科目です。

刑法演習

刑法の総論と各論の知識を有機的に結びつけ、多様な事例に応用できることを目標とする。とりわけ、共犯論や罪数論など、多様な犯罪類型を知って初めて応用できる法概念は、重点的に学習する。演習形式であるが、可能な限りすべての受講生との議論を踏まえて、授業を進める。

商法演習Ⅰ

商法演習は、商法 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで習得した商法の基礎的理解を、民事法実務総合演習で展開される実践的議論に耐え得るレベルにまで充実させ鍛え上げることを目標とする。前期開講の商法演習Ⅰ では、会社法の中から機関設計、株主総会、業務執行機関、監視・監督制度、株主による監督是正、企業会計、募集株式等の発行、および社債をテーマとして取り上げる。いずれも間口の広さと奥行きの深さを備える会社法のテーマである。のみならず手形法・小切手法および商法総則・商行為法にも可能な限り言及する。事実関係も含めて組織法と取引法の両面から判例を分析・検討し、双方向的・多方向的議論を重ねることで有機的理解の醸成を図る。

商法演習Ⅱ

後期開講の商法演習Ⅱは、商法演習Ⅰの授業目標に加え、商法に関する習得済の知識・理解の完成度を高めることも目標とする。取り上げるテーマは新株予約権、自己株式、株式制度、設立、持分会社、M&A、債権者保護、および会社法総論である。各テーマが間口の広さと奥行きの深さを備える点、手形法・小切手法および商法総則・商行為法についても言及する点、判例を主要な検討素材とする点は商法演習Ⅰと変わらない。ただし、これらに加え商法演習Ⅱは、商法演習Ⅰで取り上げた分も含め、複数のテーマを同時に扱う特徴を備える。これによって、法曹の現場で活躍するに必要なレベルまで知識・理解の習熟度を高めることが期待される。

行政法演習

本演習は、受講者が行政法の基本原理や行政の行為形式等、行政法総論の基本的な知識を有していることを前提として、行政に関わる争訟を中心とした基本的な知識を身につけることを目的としています。さらに、演習形式を取り入れることで、身につけた知識を適切にアウト・プットするスキルを身につけることも目的としています。したがって、将来、法曹として行政に関する訴訟を扱うための最も基本的な能力を身につけるための科目であると言えるでしょう。内容的には、行政救済法の主要分野とされる行政争訟と国家補償が中心となります。

民事訴訟法演習Ⅰ

民訴法演習Ⅰでは、民事訴訟法Ⅰで学修した内容につき、具体的事例の討論を通じてのより深い学修と実務的観点を加えた判例分析を行なう。
「共通的到達目標」との関連でいうと、「共通的到達目標」の内容に沿って学修するが、内容が高度という理由から、民事訴訟法Ⅰで言及するに止めた項目及び 民事訴訟法Ⅰでは扱えなかった項目を中心に学修する。
その場合、まず、最初の授業で具体的事例の討論などを通じて、基本的理論・知識を確実なものにし、次週の授業で判例研究を行なう。
以上の内容に沿って、民訴演習Ⅰでは、主に、訴え提起から口頭弁論終結までの手続上の諸問題を学修する(詳しいことは後日開講前に再度LET等で掲示する)。
到達目標としては、民事訴訟法Ⅰで学習した論点につき、具体的事例の討論を通じて、より確実に理論を理解し、かつ、それを的確に表現する能力の確保を目指す。
法曹に必要とされるスキル修得との関連でいうと、具体的事例の討論を通じて問題解決能力、コミュニケーション能力の修得をはかる。
さらに、判例研究・事案研究を通じて、事実調査・事実認定能力、批判的検討能力の涵養をも目指す。

民事訴訟法演習Ⅱ

民訴法演習Ⅱでは、民事訴訟法Ⅱで学修した内容につき、具体的事例の討論を通じてのより深い学修と実務的観点を加えた判例分析を行なう。
「共通的到達目標」との関連でいうと、「共通的到達目標」の内容に沿って学修するが、内容が高度という理由から、民事訴訟法Ⅱで言及するに止めた項目及び 民事訴訟法Ⅱでは扱えなかった項目を中心に学修する。
その場合、まず、最初の授業で具体的事例の討論などを通じて、基本的理論・知識を確実なものにし、次週の授業で判例研究を行なう。
以上の内容に沿って、民訴演習Ⅱでは、民事演習Ⅰの学習内容を前提にして、判決の効力問題や請求の複数問題及び上訴問題等を扱う(詳しいことは後日開講前に再度LET等で掲示する)。
到達目標としては、民事訴訟法Ⅱで学習した論点につき、具体的事例の討論を通じて、より確実に理論を理解し、かつ、それを的確に表現する能力の確保を目指す。
法曹に必要とされるスキル修得との関連でいうと、具体的事例の討論を通じて問題解決能力、コミュニケーション能力の修得をはかる。
さらに、判例研究・事案研究を通じて、事実調査・事実認定能力、批判的検討能力の涵養をも目指す。これらの点は民訴演習Ⅰと共通である。

刑事訴訟法演習

最高裁判例を中心とした刑事手続に関する判例理論の学習を行う。判例読解力を向上させ、弁論能力、各種意見書など法律文書作成能力の基礎的ちからを養う。特に、二審判決と最高裁判決の結論が異なったケースや少数意見が付いたケースを取り上げ、その異同の理由を考察することで、判例分析力を高めることを目標にする。

民法総合演習

民法演習Ⅰ、Ⅱでの民法の学習を踏まえて、民法の現代的・先端的な事例、応用事例の検討を通じて、民法の応用・展開力を養成する授業である。

民法展開演習

関連する民法科目の履修で培った民法に関する基礎的知識や応用力を基礎に、それをさらにレベルアップするために、少人数の演習形式で、やや複雑な事例の検討を行い、同時に、当該事案に関する解決のあり方を文章の形で表現しうる力(書く力)の養成をめざす。

刑事法展開演習

具体的設例を素材にして、刑法、特別刑法、刑事訴訟法等々の刑事法に関するケーススタディを行なう。あらかじめ用意された設問の事実関係を整理し、そこから法的問題点を抽出し、その行為の評価や適否(適法か否か)について考えさせる。受講生がこれまで学んだ刑事法の素養を基に、問題点の抽出とそれを法的に評価する力を養うとともに、それらを表現する力をつけることが、本演習の目標である。

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