進路・司法試験結果

活躍する修了生

興味を持った分野、気になった問題の解決に
直接関わることができるのが弁護士の魅力

山﨑 一穂
弁護士法人 フロントロー法律事務所
弁護士
2016年4月 立命館大学法科大学院入学 ※飛び級入学
2018年3月 立命館大学法科大学院 法学既修コース修了
2018年 司法試験合格

立命館大学法学部に在学中、運送業のアルバイトをしていました。パートさんたちが理不尽な労働を強いられながら何も言えずにいるのを見て、法律を知ることの重要性を感じたのが法曹を目指すようになったきっかけです。立命館の法科大学院は先生方との距離が近く、なんでも気軽に話ができるのが魅力。質問に行ってもいつも歓迎してもらえましたし、学生同士で自主ゼミを作り、先生に指導をお願いしても快く応じていただけました。弁護士の先生に指導いただいて答案のスタイルを身につけた弁護士ゼミも印象に残っています。

弁護士になったのは、やはり労働者保護のために働きたいと思ったからです。現在、企業の顧問弁護士の一員として、契約書に法律上の不備がないかをチェックする仕事に加え、労務問題にも対応しています。企業の側に立って就業規則の見直しや整備をすることも、ガイドラインに照らしてパワハラに該当しそうな言動を注意することによって管理職の意識改革を促すことも、労働者保護への第一歩だと考えています。企業と労働者、双方の視点に立ったうえで、労働者の保護につながる就業環境づくりのサポートに尽力したいと思っています。

離婚や相続などの家事事件も担当しています。企業の顧問案件は経済的合理性を追求するものですが、人の一生を左右するような家事事件では依頼者の感情に寄り添うことも大切。一般民事事件でも依頼者の真意をくみ取ることが必要となるので、今はその点に苦労しているところです。合理的に事を進めようとして依頼者と距離ができてしまったこともありました。たくさん話を聴くことを通して、依頼者が本当に言いたいことを把握できるよう努力しています。依頼者の思いを主張として構成でき「言いたいことが言えた」と喜んでもらえると、とても嬉しくやりがいを感じます。

2ヵ月前に第一子を出産しました。現在の事務所とは業務委託の関係なので、現在は仕事を受けないという形で育児に専念しています。事務所とは必要なタイミングごとに話し合いを行ってきました。妊娠中もつわりの時期には在宅勤務にしてもらいましたし、今後の働き方についても、休業期間、復帰後の仕事量、休業時も手当が受けられる雇用関係への変更など、状況に応じて柔軟に対応してもらえる環境です。弁護士会にも、出産や育児を理由に会費が免除になるなどのサポート制度があります。

弁護士は自由度の高い職業だと思います。時間の使い方も自由ですし、妊娠、出産時の働き方も自分で決められます。それだけでなく、自分が興味を持った分野、気になった問題の解決に直接関わることができるという意味でも自由だと言えるのではないでしょうか。今は幅広い分野の案件に携わることが全体のパワーアップにつながると考えていますが、今後は、弁護士になった原点である労務問題にいっそう積極的に取り組んでいきたいと考えています。

悩んだ末、納得できる結論に至った時の達成感。
毎日やりがいを感じる仕事ができて幸せです

比舎 昌志
大阪地方裁判所
裁判官
2017年4月 立命館大学法科大学院入学
2019年3月 立命館大学法科大学院 法学既修コース修了
2019年 司法試験合格

高校生の時に冤罪事件で逆転無罪を獲得した弁護士の講演を聴き、人の人生に影響を与えられる仕事だと思ったことが、法学部に進学するきっかけでした。その後、法科大学院で出会った派遣裁判官の方の理路整然さや聡明さに感動し、司法修習の裁判修習でも裁判官の仕事に魅力を感じて、自分も裁判官になろうと思うようになりました。

立命館の法科大学院は、法学部や法務研究科との兼任ではない専任の先生ばかりで、学生とも身近にじっくり接してくださったため、気軽になんでも質問することができました。大学院の先生方と実務家の先生方がタッグを組んで教えて下さった授業も印象に残っています。1つの問題について、研究者と実務家それぞれの立場からの意見を聞くことができたからです。勉強漬けの日々の中、休憩時間に友人と談笑したカフェテリアも思い出深い場所です。

ワシントンセミナーにも参加しました。連邦最高裁判所へ見学に行くと、神殿のような建物の上部に「EQUAL JUSTICE UNDER LAW(法の下の平等な正義)」の文字が彫られていて、とても感動したことを覚えています。留学生との交流もありました。法科大学院でのさまざまな経験を通して、広い視野で考えることの面白さと大切さを知ることができたと思います。

現在の主な仕事は、裁判官3人で担当する合議事件の主任裁判官として、事件の進行を考えたり、判決を起案したりすることです。民事事件では、多くの場合、まずは和解による解決を目指すことになります。裁判官の立場で事件に向き合い、適切な結論を示して双方を説得し、それが功を奏すと和解となるという流れです。社会経験も乏しい中で、当事者に納得してもらえるよう説得するのは難しく、とりわけ敗訴する側の当事者に納得してもらえるよう説明するのは、仕事の最も難しい部分だと感じています。ただ、和解が成立して争いに区切りをつけることに少しでも役立てたと思えた時、「裁判官に理解してもらえることがわかった」と言われた時などはとても嬉しいです。

裁判官の仕事は、人の人生に大きな影響を与えるものなので、職責の重さと同時に大きなやりがいもあります。日々考え、悩むことも多いのですが、納得できる結論に至ると達成感があり、さまざまな事件を通して社会を知ることができるのも魅力です。毎日やりがいを感じられる仕事ができて本当に幸せです。

6年目からは1人で事件を担当することができるようになるので、職責も、やりがいも一層大きくなると思います。公正、公平で、社会的妥当性もある判断を行うのはもちろん、当事者と密に意見交換することによって、当事者にとってもより良い紛争の解決ができる裁判官になりたいと考えています。また、世界の人権感覚を学びたいので、現在、海外のロースクールへの留学制度にも応募しているところです。ワシントンセミナーで英米法にふれたので、次は人権に対してシビアな感覚を持つフランスで大陸法を学びたいと考えています。

立命館大学法科大学院は
あたたかい「帰れる場所」です

木下 由貴
弁護士法人ALG&Associates
神戸法律事務所 弁護士
2015年4月 立命館大学法科大学院入学
2018年3月 立命館大学法科大学院 法学未修者コース修了
2020年 司法試験合格

立命館大学法学部で法哲学や法の歴史などを中心に履修し、将来は研究者になりたいと考えていました。法科大学院に進学したのは、実務家の経験も研究者としての武器になると先生にアドバイスを受けたことがきっかけです。

司法試験につながる勉強はしていなかったため、未修者コースに入学。1年目は、法学をひと通り網羅する膨大な内容をシャワーのように浴び続けました。要領が悪く溺れかけていた私を、先生が決して見捨てずに声をかけてくださり、的外れな質問にも嫌な顔ひとつせず丁寧に指導してくださったことが忘れられません。あまりの大変さに「もうやめよう」と思った時、友人の「一緒に法曹として働きたい」という言葉に助けられ、乗り越えることができました。どんな状態になっても先生が絶対に救ってくださるという安心感が持てるようになっていたことも大きかったと思います。そして1年目を終えると、法学というものが頭の中で少しずつ整理されていき、学問的な面白さにも気づけるようになっていました。私の場合、未修コースを選んで本当に良かったと思います。

現在は、いわゆる「町の弁護士」として、日々さまざまなお悩みを抱えた方と接しています。問題にがんじがらめとなり、どう動けばいいかさえ分からない状態の相談者に対し、私が法律の力を借りながら一緒にアクションを起こすことによって事態を動かすことができる。それがこの仕事のやりがいだと思います。たとえ理想として描いていたものではなくても、一定の結論が出せたことを喜んでもらえた時、「先生に話してよかった」と言っていただけた時などには大きな喜びを感じます。

一方で、相談者ご自身も自分が何を求めているのかが見えていない場合が多いので、私が立てた方針が、本当に求めておられるものと合致しているのか自問自答を繰り返す日々でもあり、人生に大きく関わる問題を扱う仕事の難しさを痛感しているところです。業務量の多さに圧倒されることもあります。

そんな時、支えになっているのは、溺れそうになりながらも多くの方々の助けで乗り越えられた法科大学院での経験です。準備不足が不安な時も決してあきらめず、できる限りの努力をして形にする力、自分なりの形ができた後、人に質問や相談をしてより完成度の高いものにしていく力。これらは、愛情深い先生方がおられるこの法科大学院でなければ身につけることはできませんでした。

現在、法務研究科の新入生サポーターと、エクステンションセンター主催の学部生向け司法講座のうち、答案作成指導を行う弁護士ゼミの担当をしています。私にできることであればとお引き受けしました。私にとって立命館大学法科大学院は、常にあたたかい「帰れる場所」。恩師である松宮先生の研究室にもお邪魔して、仕事の話を聞いてもらったり、弱音を吐いたり、今も助けていただいています。

いつか学問の道に進みたいという思いは今も持ち続けています。その時、今の実務経験が必ず活きるでしょう。学問と実務の両方に通じた法律家になりたいと思います。

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