法科大学院

FD活動

2026年度 第1回

  • 日時 2026年7月7日(火)14:40~16:10
  • 場所 204教室
  • 出席者 12名
テーマ 法科大学院における中間試験・定期試験のCBT化に伴う問題点と対応
報告者 中山 布紗 教授・FD委員長

 2026年度の第1回FDフォーラムでは、「法科大学院における中間試験・定期試験のCBT化に伴う問題点と対応」をテーマに中山FD委員長の趣旨説明および報告の後、議論を行った。報告と議論の要点は以下のとおりである。

 まず、司法試験のCBT化に伴い、法科大学院の中間試験・定期試験も原則としてCBT化される中で、システム面の問題と学生の答案作成能力などについて報告された。

 CBT化の目的として法務省は受験者・採点者の負担軽減、答案用紙の作成・運搬コスト削減、情報セキュリティ向上を挙げており、試験内容そのものが変わるわけではないこと、したがって、本質として求められる能力は変わらず、そのため指導の力点も変わらない。しかし、司法試験がCBTに対応できる技能を測る試験ではないものの、タイピングやCBTシステムの操作への慣れが答案作成に直接影響する。

 学生の実感として、CBTには、答案の修正が容易、検索機能が使える、手書きより身体的負担が少ない(腱鞘炎になる心配がない)、CBTに文章を打ち込みながら構成を変えることや文章の切り貼りができることで答案構成の時間短縮につながり、その分を調整に回せる、といったメリットがあるようだ。

 他方、自分がどこに何を書いたか把握しにくい、答案全体の論理構成を見失いやすい、画面上の問題文を読むのに目が滑りやすくきちんと読めているか不安になる、長時間画面を見ることによる疲労(CBTに比べ試験後の疲労が大きく感じる)、タイピングへの不慣れによる不利などのデメリットも感じているらしい。

 CBTでは「書きながら整理・修正できる」ことから、どこに何を書いたか分からなくなることが生じやすいため、従来どおり、最初に一定時間をかけて答案構成を行い、論理の流れや事実の位置づけを整理したうえで答案を書き始めることが重要であろう。

 また、問題文が紙ではなく画面上に表示されることにより、事実の読み落としや当事者の取り違えといった問題文の誤読が増えている可能性があるとの意見が出された。これに関連して、問題文中の事実番号を活用させる指導や、画面上でも丁寧に問題を読む訓練の必要性が強調された。

 次いで、学生からのCBTに対する実感が論文式試験に偏っており、短答式試験についての意見がほとんどでていないことには危うさがあり、特に短答式試験はPBTでは問題用紙に書き込みができたため、選択肢の絞り込みなどがやりやすかった面があると指摘があった。また、CBTでは限られた画面サイズをどのように使うか、ウインドウ配置など使い方が重要になり、問題文・答案用紙を大きく表示し答案構成は紙を使う、などの工夫が有効であるということが確認された。

 システムトラブルについては、試験中に端末がフリーズしたりシャットダウンしたりした事例が共有された。いずれも答案データはバックアップされており、再ログインや別端末への移動により継続できたが、ロスタイムの計測や延長方法、また延長時に先に試験が終わる受験生の退室方法など、より明確なマニュアル化が必要であることが確認された。

 試験の採点面では、変換ミスやタイピングミスをどのように扱うかについて意見交換がされた。単純な誤字は大きな減点対象としない一方、法律用語や条文番号の誤りなど、意味や法的概念が変わるミスについては減点せざるを得ない場合があるため、複数クラスで担当者がいる科目では、採点基準の統一が必要であるとされた。試験に関連して、定期試験の出題にあたっては問題の書式について、従来の紙による試験を前提としたB4サイズの書式ではなく、CBTの画面を前提としたA4サイズの書式への変更など、画面表示に適した形式へ見直すべきではないかという意見も出された。

 なお、司法試験での要配慮学生への対応については、従来から手続により個人PCを用いた受験が認められており、この運用は司法試験のCBT化によっても維持されるところ、PCトラブルが発生した場合のリスクは、受験者自身が負担しなければいけないという問題がある。研究科長によると、CBT会場のPC受験者とは対応が異なることから、要配慮学生にも試験会場でPCを用意すべきではないかという意見も出されているようであり、今後、大学としても、法科大学院協会などを通じ、必要に応じて意見を出していくということであった。

 最後に、今年度実際にCBT司法試験を受験した学生へのアンケートやヒアリングを通じて、実際の受験体験を把握し、今後の指導・設備整備・試験運営に反映することや、CBT司法試験の合格者に、次年度以降の新入生サポーターになってもらい、CBT試験のノウハウ、コツ等を在学生にアドバイスすることが有益であるため、合格者に対する新入生サポーター就任への勧誘を積極的にすることが必要であることが確認された。

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