LIBRARY NAVIGATOR
立命館大学 図書館だより
ライブラリーナビゲーター
2025 VOL.134
Library Navigator(図書館だより)は、立命館大学図書館と利用者のみなさんをつなぐため、1974年から発行している逐次刊行物です。第126号より、オンラインに移行して発行します。
図書館長からのご挨拶
樋爪 誠 図書館館長 法学部教授
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。お祝い申し上げます。
在学生の皆さんも、新学期で気持ちも新たに、専門の勉強や多様な学びに取り組もうとされているのではないかと思います。それぞれの活躍を楽しみにしています。
立命館大学には7つの図書館があります。図書館は、すべての学問の知の結節点であり、大学において中心的な施設の一つです。情報化社会が高度なレベルで発展し情報量が急増していく中、立命館のように各キャンパスで多様な学びを展開する大学において、図書館は大きな役割を果たします。
図書館は、目的の本だけではなく、思いもよらない本との出会いもある情報収集の場です。立命館大学の図書館の多くは、そこからさらに進んで、議論をしたり、報告の準備をしたりする空間も備えています。私も交渉サークルで利用した経験があります。吸収の場から、創造、発信の場としても機能しています。従来の役割とともに、新たな図書館の機能を活用するためにも、ぜひ図書館を訪れてください。
さらに、立命館大学は、データベースも充実させてきています。近時は私の分野でも司法、行政はじめインターネット上にも情報は多々ありますが、専門の機関が作成したデータベースは、多くの研究でより有益です。そこでは、容易に分野横断できるだけではなく、諸外国の情報なども得られ、国境を超えることができます。無限の知の宇宙の広がりを堪能して下さい。手続きをすれば、大学外からも利用可能です。
世界情勢は激しく動いています。現場で何が起こっているのかに関心を持つと同時に、人々はこれまでどのように新たな課題に対応してきたかを、図書館で先行研究を踏まえながらしっかり考えることも、社会が皆さんに求めていることの一つだと思います。来るべき時代に活躍する自分を想像しながら、図書館で多様な力を得られることを期待しています。


連載企画
「図書館の使い方がうまいヒト」
「調べる」「考える」のプロフェッショナル、
先生方の図書館の使い方を紹介




特別コレクションの紹介
衣笠キャンパスの平井嘉一郎記念図書館内にある、
8つの文庫、3つの旧蔵書からなる
特別コレクションを紹介します。

本稿で言及する資料は、特別コレクションの1つである西園寺文庫に収蔵されているものです。
西園寺文庫には、学祖・西園寺公望が生前、大学に寄贈した有職故実(朝廷内や武家などにおける儀式や習慣のこと。また、それらを研究する学問。)、書翰、書幅などに、その後、初代総長をつとめた学園創立者の中川小十郎が収集した資料(「学宝」ほか)、および図書館が特別に補充した資料などが収蔵されています(詳細は、「立命館大学図書館蔵西園寺文庫目録」(1990年10月30日発行)参照。

図書館からのお知らせ
図書館からの告知やよくある質問などを
お知らせします。
お知らせ
20年の夢―白川研の記念事業―
「20年」は悠久の歴史から見ればほんの一瞬。しかし、私たちの人生や大学の歴史の上では大きな比重を占める歳月です。立命館大学で長く教授を務められた白川静博士は漢字学の権威で文化勲章受章者。その白川先生を顕彰する東洋文字文化研究所(白川研)が創設されてから今年で20年。来年は白川先生の没後20年です。こうした大きな節目の年に、白川研は図書館と協力して、関係資料のデジタルアーカイブを進めることになりました。未公開の自筆原稿や貴重なノート類を誰でも自由にWEBで閲覧できるようにします。それに合わせてクラウドファンディング、記念講演会、資料展示も実施し、多くの皆様と夢を分かち合いたいと思います。(湯浅邦弘 衣笠総合研究機構 教授)
お知らせ
ライブラリー編集部始動
2024年11月より始動したライブラリー編集部では、立命館大学の学生および図書館職員が図書館の本、人、現象と出合うための場をつくることに繋がる活動に取り組んでいます。2024年度は「読書という行為を再考する」というテーマをもとに図書館職員とライブラリー編集部に企画を応募した学生からの企画の合計4つの企画を実施しました。今後も図書館と利用者を繋ぐ場を提供し、異なる価値観との出会いや自由な挑戦ができる場を作り続けていきます。本団体での活動の詳細はこちらからご確認いただけます。
お知らせ
図書館ホームページのリニューアル
図書館のホームページ及び検索システムをリューアルしました。ホームページでは、トップページのリューアル及びメニュー構造の見直しを行いました。検索システムでは、「まとめて検索(RUNNERS Discovery)」をバージョンアップし、検索画面の変更やAI検索機能を追加しました。
立命館大学は2025年度に創始155年、創立125周年を迎えます。図書館としては、OICライブラリーが開設10年目となります。今年度も魅力的な企画を実施していきますので、ぜひ図書館に足を運んでいただき、新たな学びに繋げていただけたら幸いです。

編集後記
図書館報・Library Navigator(図書館だより)は、1974年6月20日、「図書館業務の現状や施策・課題などを大学構成員に的確かつ敏速に周知・徹底すること」(2005年4月刊行の図書館開設100周年特別号)を目的とし創刊され、本巻で134回目の発行を迎えました。
本巻の内容は、以下の通りです。特に、2や3のテーマについては、文学部の2名の先生方に御協力いただき、執筆いただいたものですので是非、ご覧いただけますと幸いです。
- 図書館長からのメッセージ
- 図書館の使い方がうまいヒト
- 特別コレクションなどの資料紹介
- インフォメーション
本年1月15日、第172回芥川龍之介賞・直木三十五賞(2024年下半期)の選考会が行われ、受賞作が発表されました。以下の内容は、直木賞受賞者の1人である伊与原新氏が2016年9月25日に集英社(集英文庫)から刊行した著作『博物館のファントム:蓑作博士の事件簿』(学内所蔵なし)の吉田伸子氏による解説からの一節です。
「本を読んだ後で、実際に何かアクションを起こしたくなることを、私は『本からのギフト』と呼んでいる。駅伝をテーマにした物語なら、駅伝は無理だとしてもランニングを始めてみたくなったり、絵画をテーマにした物語なら、登場する絵画を鑑賞したくなったり、食をテーマにした物語なら、描かれた料理を食べたくなったりと、一冊の本を読んだ後で、現実の自分になんらかの作用を及ぼすこと、それがギフトだ。…(後略)…」(p309)
本巻が、みなさんにとっての『ギフト』となることを祈念しています。
(図書館利用支援課 ほしば・としのり)