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教養科研プロジェクト実施報告 第1回教養知サロン「21世紀社会に求められる『知性』とは」

過日(2021年5月27日)、教養知について語り合う第1回サロンが「21世紀社会に求められる『知性』とは」と題してオンライン方式で開催された。本企画は、教養教育センター・立命館科目教育研究会議の協力を得て、科学研究費助成事業 基盤研究(C)研究課題「教養知とその形成―その比較分析と教養教育の類型化の実践的検証」プロジェクト(教養科研プロジェクト)が主催するサロン・シリーズである。

話題提供は教養科目「科学・技術と社会」を担当されている兵藤友博さん(経営学部名誉教授)、そしてサロンの進行役のファシリテーターは、秋吉恵さん(教養教育センター教授)と河井亨さん(スポーツ健康科学部准教授)がつとめた。

21世紀社会は新たなステージを迎え、きわめて多様性をもったかつ複合的な世界であるとも指摘されている。サロンでは、題材として、日本学術会議が2010年にまとめた報告「日本の展望」(関連Webサイト情報:http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-tsoukai.pdf)にある、「個別の専門分野を越境する統合的な知性と課題解決に取り組み協働する実践的知性の形成」を起点に、新しい時代にふさわしい汎用性のある教養知とは何かが説かれた。

確かに国際政治は対立と分断を深める一方、SDCs(国連の持続な開発目標)に示されるようにダイバーシティの中での統合が提起されている。これは前記の学術会議の「越境する統合的な知性」に通ずる。話題提供では、さらにガリレオの科学的発見(振り子の等時性)や、核兵器の廃絶を謳ったラッセル・アインシュタイン宣言の精神など、いくつかの事例が取り上げられた。その上で、ヒトとコトの個々の違いを超えて理解を共有しうる、知性の越境性の有効性、また、知性は人間性の発露であることが指摘された。

話題提供後、教養知について参加者(学生、教職員)で語り合う場が提供された。以下に参加者の意見・感想をいくつか紹介する。

〇教養知についてよく知らなかったので参加しました。今でも曖昧な感じはしますが、講演やディスカッションを通して、世界の流れや、生きているこの時代のことを知ることができました。語り合うという機会はあまりないので良かったです。
〇このサロンで非常に良かったと感じたことは、学生の意見に対してその意見を訂正しいい解釈の仕方に導いてなるほどと考えさせてくれる所でした。取捨選択ではなく情報を編集する能力や一次情報を掴むことが知識を掴む上で大事だと分かりました。
〇論理的思考力の大切さや批判的意見の仕方、インプットをどう活かすかという話が自分のグループで行われた。こういう場はもっとあっていいと感じました。
〇学生の考えることと、講師や社会人が考えることの差に、視点(より俯瞰的)や集積された濃密な回答があると感じました。もっと話す時間もあったら良かったかもです。今日は参加できてよかったです。
〇このサロンを通して、まず知性とは何かということを考えました。自分の中では、お話の中で出てきた”知識の扱い方”という言葉が一番しっくりくるなと感じました。また、グローバルな世界における人類社会という視点では、方向性をきちんと共有し議論することの重要性を感じています。SDGsはその例の一つですが、広く多くの人がSDGsというのを認知している状態が生まれていること自体がいい事だと感じています。一方で、政治的な国家間のやり取りの中には、議論に生産性がなかったり、価値観、末来観、方向性などの共有が足りない点があると思います。そういった意味で、越境や知性というのが個人、国家、社会など、それぞれに必要になってくるのかなと考えました。

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