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教養科研プロジェクト実施報告 第2回研究会「大学における社会的公正教育の意義と課題」

第2回研究会:
大学における社会的公正教育の意義と課題
―上智大学グローバル教育センター提供全学共通科目「立場の心理学1:マジョリティの特権を考える」の実践から― 

【開催日】 2021年6月25日(金)12:30~14:30  

本企画は、教養教育センター・立命館科目教育研究会議の協力を得て、科学研究費助成事業 基盤研究(C)研究課題「教養知とその形成―その比較分析と教養教育の類型化の実践的検証」プロジェクト(教養科研プロジェクト)が主催する研究会シリーズである。

第2回研究会では、「大学における社会的公正教育の意義と課題―上智大学グローバル教育センター提供全学共通科目「立場の心理学1:マジョリティの特権を考える」の実践から― 」と題して、講師に上智大学グローバル教育センター長 出口 真紀子先生をお招きした。

2015年度に開講された上智大学グローバル教育センター提供全学共通科目「立場の心理学1:マジョリティの特権を考える」を開講するに至った背景と、具体的な教育実践が紹介された。本科目ではどの学生も、マジョリティ性、マイノリティ性の両方を抱えて生きていることを、気づけるような機会を提供し、これによって、学生は自らの立ち位置を俯瞰するという。

出口先生の教育アプローチとして印象的だったのは、学生が特権を持つ当事者として差別を考えるための工夫だ。上智大学の学生データをもとに彼らが「ドマジョリティ」(出口先生)で特権を持った存在であること、「特権は持っている側には見えにくい」ことへの認識を促す。そして学生が特権に気づき始めてから、マイノリティーのゲストとの出会いを作ることで、彼らは特権を持つものとしてマイノリティーの体験を受け止めることになる。さらに特権を持つ人に特権について教育するのは、特権に気づいたマジョリティの役割であり責任だと述べられた。

参加者からは、「差別」をマジョリティ側の当事者として捉えるという教育者自身が視点を変えることへの気づきや、学習者の抵抗を軽減・もしくは防ぐための教育支援の方策への疑問が投げかけられ、議論が深められた。

(報告:秋吉 恵/共通教育推進機構)

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