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教養科目D群「スポーツ方法実習Ⅰ(アダプテッドスポーツ)」 ~誰もがスポーツを楽しめるインクルーシブ社会を創出していく~
6月20・27日(金)、7月4日(金)に、衣笠キャンパスにおいて、「スポーツ方法実習Ⅰ(アダプテッドスポーツ)」の第11回目~第13回目の授業が行われました。
本学では、教養科目のスポーツ実技科目として「スポーツ方法実習Ⅰ・Ⅱ」があります。この科目ではスポーツの実践を通じて理論・分析学習を行い、生涯スポーツのための基礎的な能力習熟と、学部・回生を越えたスポーツ集団づくり、さらにスポーツの組織者づくりを主な目的としています。2025年度は3キャンパス合わせて15種目150クラスを開講しています。
“アダプテッド”とは「人の発達や運動能力に合わせてスポーツをする」という考え方で、このクラスでは、近年ユニバーサルスポーツとして注目される「障害者スポーツ/パラスポーツ」の種目を複数体験できる授業となっています。用具やルールの工夫を通じて、障がいの有無、性別、年齢、体力の違いを超えて楽しむことのできるスポーツの創意工夫を考えることで、生涯スポーツの基礎的な能力を養うことを目指します.
第11回目授業は「車いすバスケットボール」、第12回目授業は「ボッチャ」、第13回目授業は「アーチェリー」。授業では、担当教員の金山千広教授から種目の概要やルール説明を受けた後、チームに分かれて練習を行い、最後に実際に試合が行われます。
金山教授からの説明。資料を見ながら、まず競技の概要やルールを理解します。
①6月20日実施「車いすバスケットボール」
「車いすバスケットボール」は1940年代にアメリカで考案され、1960年第1回パラリンピックから実施されている競技です。まず、車いすの構造・操作方法・競技のルールについて学び、ドリブル、パス、シュート練習などの技術練習を行ったのち、チームに分かれて試合を行いました。受講生たちの練習の成果が十分に発揮され、巧みに車いすを操作してコートを動き回り、スピード感あふれるプレーがたくさん見られました。
受講生からは「最初は車いすに乗ることが難しく、スムーズに行きたい方向に行けなかったが、慣れてくるとドリブルを含めたボール運びもできるようになった」「ぶつかった時の衝撃の大きさなどを感じ、こんなに臨場感があるものなのかと毎回驚きだった」「腕の力だけでシュートするのが難しかった」など、これまで体験したことのあるバスケットボールの試合とは異なる新鮮な反応がありました。また、「チームでうまく連携を取らないとゴールまでたどり着けない」「試合に勝つためにはチームメートとのコミュニケーションやパス回しが有利な戦術だと思った」など、チームスポーツの楽しさ・難しさを感じた受講生も多くいたようです。
男女混合でのゲームでしたが、「シュートしてゴールリングに当たれば女子2点、男子1点」「シュートしてゴールネットに触れれば女子2点、男子1点」など独自に配点設定を行い、受講生全員で「アダプテッド」を体現しつつ楽しく授業が進みました。
車いすのタイヤが「ハの字」になっていることでターンがしやすくなっています。また、接触プレーから選手の足を保護するため、車いすの前に「バンパー」と呼ばれる保護棒が設置されています。
②6月28日実施「ボッチャ」
「ボッチャ」は、赤と青の2チームで対戦します。各チームが6つのボールを投げて、“ジャックボール(目標球)”と呼ばれる白いボールにより近づけることが出来た方が勝利となります。氷上で行われるカーリングとルールが似ているため「地上のカーリング」と称されることもあります。金山教授の「アドバンテージ・性別・体格差・年齢に関係なく誰もができるスポーツ」という説明のとおり、ルールは非常にシンプルで、ボールは投げても転がしてもよく、手が使えない場合は足を使って蹴ってもかまいません。ジャックボールめがけて転がしたり、相手のボールを狙って弾いたりと、様々な戦術を駆使しながら盛り上がる受講生たちの姿がとても印象的でした。
ボッチャで使うボールの大きさは「周長約270mm±8mm以内。重さは約275g±12g以内」。
材質は、天然皮革、人工皮革、フェルト製などがあり、障がいの特性やプレースタイルによってボールを使い分けます。
③7月4日実施「アーチェリー」
「アーチェリー」も、車いすバスケットボール同様、1960年第1回パラリンピックからの正式競技種目です。授業では、実際に弓を組み立てるところから始まり、その後、的に向かって投射練習を行いました。最初は「弓を引くのが難しい」「矢がうまく前に飛ばない」と苦戦していましたが、コツをつかむと多くの受講生が矢を的に当てることができるようになり、的に当たるたびにチーム内で感嘆の声があがっていました。
アーチェリーの弓を組み立てる様子。
「スポーツ」の語源はラテン語の「deportare」であり、「気晴らしに行く」や「楽しい感情を発散させるもの」という意味があります。ルールの理解や勝ち負けも大事ですが、参加者同士が相手を尊重しながら楽しむことで、スポーツは生涯にわたっての健康づくりや人間形成に大いに役立ちます。
受講生からは「この授業を受けたことで、今後パラリンピックも見方が変わると思う」「学部が異なる学生と一緒に活動できたのが楽しかった」などの感想が寄せられました。
本学の教養科目D群(スポーツ・健康科目)では、「スポーツ方法実習Ⅰ・Ⅱ」以外にもスポーツを切り口とした様々な講義系科目が開講されています。ぜひ、これらの授業を受講し、運動・スポーツのもつ多様な価値や無限の可能性にアプローチしてみてください。