【セミナー報告】ライスボールセミナーVol.5(池端蕗子<いけはた ふきこ>研究員)

611日(火)、本学衣笠キャンパス・創思館カンファレンスルームにて開催されましたライスボールセミナーに、当研究所所属の池端蕗子(いけはた ふきこ)研究員(衣笠総合研究機構・プロジェクト研究員)が講師として登壇いたしました。

 20190611_Ikehata_4

冒頭、受入教員である国際関係学部・末近教授より紹介があり、池端研究員の研究テーマの新しさ、将来への嘱望を述べられました。

20190611_Ikehata_1

今回の講演では「現代ヨルダン王家の宗教戦略」と題して、自身の博士論文の一部を報告されました。

ヨルダンは国土が大きくなく資源も乏しく、また政情が不安定なシリア、サウジアラビア、イラクなどの大国と国境を接している中、王政下で安定を保ち生き抜いています。このようなヨルダンがイニシアチブを取る分野として、「宗派間和合・宗教間対話」があり、成功を収めています。

 20190611_Ikehata_2

特に2004年に発信された「アンマン・メッセージ」は「宗派対立」の現状に対抗する内容でしたが、これについて史上初めて宗派・学派を超えたイスラーム世界全体でコンセンサス形成がなされました。この「アンマン・メッセージ」はヨルダン王族・政府の政治的パフォーマンスとしても捉えられていますが、池端研究員は新たな知識創造の側面も評価すべきだと強調しました。

20190611_Ikehata_3 

このように、宗教を政治目的にも宗教的目的にも適う、包括的活動=「宗教戦略」として捉える試みを、研究テーマとして深めていきたいとのことでした。

研究の面白さを分かりやすくまとめた発表に、会場からは挙手が相次ぎ、「宗教戦略」が現代になってなされるようになった契機や、それを可能としたイスラーム世界のネットワークについて、質疑応答が行われました。

(リポート作成者:科研費新学術領域研究グローバル関係学計画研究B02事務局・二宮)