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2025.12.19

山末 英嗣プロジェクトリーダー、柏倉 俊介チームリーダーらの研究成果が「ACS Sustainable Chemistry & Engineering」に掲載|革新的黄リン製造プロセスの開発

R-GIRO 第4期研究プログラム「資源パラドックス問題の解決に向けたマルチバリュー循環研究拠点」プロジェクトリーダーの山末 英嗣教授(理工学部機械工学科)、チームリーダー柏倉 俊介准教授(立命館グローバル・イノベーション研究機構)らの研究成果がACS Sustainable Chemistry & Engineeringに掲載されました。

本研究では、黄リン製造において従来の高温炭素還元法を革新し、シリコンスラッジを用いた低温・高純度プロセスを実証し、また1273 K91.4%の揮発率を達成し、約400℃の低温化と副生成物の排除に成功しました。これにより、エネルギー消費を大幅に削減し、純度の高い黄リンを選択的に生成できることが示されました。これらは、産業廃棄物の資源化によるサーキュラーエコノミーの推進、CO₂排出ゼロ化、そしてリン供給の安定化に貢献する技術であり、半導体産業や経済安全保障に直結する社会的意義を持つことが明らかになりました。

論文情報

・論文名:A Promising Silicothermic Route for Low-Temperature, Byproduct-Free Production of White Phosphorus Using Silicon Waste
・著者:Shunsuke Kashiwakura, Ami Okamoto, Shoki Kosai, Masaru Takizawa, Eiji YamasueRitsumeikan University
・発表雑誌 : ACS Sustainable Chemistry & Engineering
・掲載日 : 2025 年12 11 日(木)
D O I 10.1021/acssuschemeng.5c07921
U R L  https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acssuschemeng.5c07921


1. 学術的新規性:従来の常識を覆す「低温・高純度」プロセス

本研究の最大の学術的価値は、黄リン製造の常識を覆し、シリコンスラッジ(廃棄物)の活用を見据えた新しい還元プロセス(Silicothermic reduction)を実証した点にあります。


2. 社会への影響:持続可能な社会実装への貢献

本研究は、実験室レベルの成功にとどまらず、半導体産業や食料安全保障といった社会的課題の解決に直結するポテンシャルを秘めています。