未来への種まき

For sustainable growth

代替肉でつくる持続可能な「食」の未来

立命館大学
菅原 龍佑さん
経営学部

食から考えた環境問題

  ゴール#13「気候変動に具体的な対策を

 

 私がSDGsに関心を持ったのは高校時代の探求授業がきっかけです。子どもの頃から家族と一緒に楽しい食卓を囲んできて、「食」を通じてたくさんの幸せを実感してきたので、「食と環境」というキーワードで研究を始めました。そこで気候変動をもたらす温室効果ガスは、石炭や石油などの化石燃料由来のものだけではなく、食や畜産も大きく関わっていることを知り、牛や豚などの家畜肉に変わる新しい選択肢としての代替肉に注目するようになりました。


 代替肉とは文字通り食肉の代替として作られた食品のことで、大豆などの植物性原料を使って肉に近い食感を再現しています。私は高校生の時にこの代替肉を普及するプロジェクトを開始し、立命館大学に入学後してからも「WITH US コネクト」という団体で事業を継続しています。1回生の時には「学生ベンチャーコンテスト」で「スバキリ商店賞」を受賞。地元新聞など各種メディアにも取り上げていただいて大きな注目を集めています。現在は個人事業主として起業しており、代替肉を使った商品開発や企業や学校におけるサステナビリティ精神の普及活動など、さまざまな事業を展開しています。


おいしい代替肉を体験してほしい

 2023年のゴールデンウィークには、京都の平安神宮に隣接する岡崎公園で行われた「京都餃子大作戦2023」というイベントに、学生チャレンジとして出店させていただきました。例年、延べ約20万人が来場するビッグイベントで、多くの方に代替肉の可能性を知っていただく素晴らしい機会になりました。一方で、おいしさの面では豚肉などを使って餃子を作っている店舗に比べると見劣りし、「環境にいいから食べてほしい!」というアピールには限界があるという課題も浮き彫りになりました。そのため、続く11月の東京のイベントに出店した際には、餃子専門店にご支援いただいて、プロフェッショナルが調理した代替肉の餃子を販売し、大好評をいただくことができました。「おいしさを最優先にしよう」という代替肉との新しい向き合い方を決めることができました。


 現在「WITH US コネクト」では、代替肉ハンバーグの販売、アスリートやダイエットに最適な補給食の商品開発などに取り組んでいます。「環境に良いから」という理由だけではなかなか消費者の購買意欲にはつながりませんが、「おいしいから」あるいは「機能性があるから」という積極的な理由で選んでいただける代替肉を作っていきたいと考えています。立命館大学各キャンパスの生協食堂では、期間限定で私たちの大豆ミートのハンバーグを提供していただくなど、皆さんに代替肉に触れていただく機会も積極的に作っています。ぜひ一度ご賞味いただけたら幸いです。


代替肉を選択肢の1つに

 代替肉のクオリティは年々上がっていて、私が注目し始めた数年前と比較しても徐々においしくなってきています。また、気候変動の影響などで近い将来に食肉の供給が追いつかなくなるという予測もある中で、代替肉には新しい可能性があると感じています。もしかすると、数十年後の未来には、スーパーマーケットで当たり前のように代替肉が並んでいて日常の食の選択肢の1つになっているかもしれません。私たち「WITH US コネクト」は、本当においしい代替肉だけを扱うセレクトショップとして未来を切り開いていきます。


 私たちは持続可能な社会の実現に向けて、食の観点から社会課題解決を目指しています。一方で、単なるボランティアとして取り組むのは私たち自身の活動の持続可能性が問われることを実感し、活動を事業化してマネタイズすることがとても重要だと考えています。学生として事業や各種プロジェクトを運営するのは本当に大変で、体内時計を倍速にしないと追いつかないと感じていますが、学内外のたくさんの人が支えてくださったおかげで続けることができています。これからもお世話になった人たちへの感謝の気持ちを忘れずに、一緒に盛り上げてくれる仲間を増やしながら、活動を拡大していきたいと考えています。


「WITH US コネクト」の公式HPはこちらから

  1. Home
  2. 未来への種まき
  3. 代替肉でつくる持続可能な「食」の未来