木を植える ~育てる里山プロジェクト~
ゴール#15「陸の豊かさも守ろう」
2015年の大阪いばらきキャンパス(以下、OIC)の開設と経営学部のびわこ・くさつキャンパスからの移転において、私は経営学部の担当者として、キャンパスの緑化を推進するコミュニティ共創プロジェクトの1つ「木を植える ~育てる里山プロジェクト~」に携わってきました。大阪いばらきキャンパスはJR茨木駅から徒歩5分という都市型の恵まれた立地にありながら、地域に開かれたキャンパスとして塀のない作りが特徴となっています。せっかくご縁があって大阪・茨木の地にお世話になるのだから、キャンパス内に茨木の里山を再現できないかというところからプロジェクトが動き始めました。
最初に私が訪れたのは、「茨木市里山センター」という地元のボランティア団体の活動拠点です。その団体の一つに「茨木里山を守る会」があり、その特別活動として高速道路開発によって失われる茨木市北部の里山を保全する活動に取り組まれていました。「茨木里山を守る会」の活動と、新キャンパスを緑化したいという立命館大学の思いが一致したことで、2012年頃から「2015年の開設に向けて、消えゆく里山をOICに引っ越しさせよう」というプロジェクトがスタートしました。プロジェクトリーダーだった私は、ボランティアの市民の方々や学生・教職員の協力を得ながら、毎週のように山から木を掘り出しては移植することを繰り返し、それが今日の緑豊かなOICにつながっています。
地域と一体化した新しいキャンパスが完成
市民の皆様も積極的に参加してくださったおかげで、2015年4月OIC開設時には見事な茨木の里山エリアが完成しました。同時に進行していたコミュニティ共創プロジェクト「花を植える ~ガーデニングプロジェクト~」「本を植える ~まちライブラリープロジェクト~」とも相まって、地域と一体となった新しいキャンパス像を創り出すことができました。開設当初はキャンパスの粘土質の土が合わなくて、移植した木を枯らしてしまうなどさまざまなトラブルもありましたが、土壌改良に取り組むことで樹勢が回復しました。10年目の今年(2024年)、里山エリアの隣に新棟(H棟)が完成しましたが、建物の上から生い茂る茨木の木々を見下ろした時には感慨深いものがありました。
今日、OICには隣接する岩倉公園に日常的に子どもたちが遊びに来ています。さまざまなイベントの際には里山エリアにも子どもたちを招待し、昆虫採集や木工教室などで自然と触れ合っていただく機会を提供しており、地域の皆様にとっても憩いの場として親しまれています。また、「里山ファーム」という畑作りも行っていて、有機農法で無農薬野菜を育てるなど次々と新しい展開に取り組んでいます。
持続可能な里山エリアの発展を目指して
今後の課題としては、里山エリアの持続可能性を担保するため、学生を中心に後継者を養成することが必要だと考えています。里山プロジェクトの定例活動とは別に、zoomで「里山研究会」を開いて、衣笠やBKCの学生と一緒に里山のことを学んでいますが、2024年よりOICに映像学部・映像研究科、情報理工学部・情報理工学研究科が移転して、ますますキャンパスが活気づいてきたので、学生たちを巻き込んで里山エリアの未来を託していきたいと考えています。映像学部・映像研究科の学生の皆さんは屋外実習でよく里山エリアで撮影を行っているので、里山を舞台とした映画を作ってもらえないかと期待しています。タイトルは「里山物語」なんていかがでしょうか。里山エリア内にちょっと座って休んだり、簡単な作業をしたりするスペースがあればいいなと思います。理工学部建築都市デザイン学科の学生の皆さんにも知恵を借りたいですし、里山エリアから毎年出る薪を保管しているので、食マネジメント学部の学生の皆さんの協力も得ながら、びわこ・くさつキャンパスにあるピッツァ窯で活用してもらいたいとも考えています。大学にある資源や地域の方々の力を活用すれば、いくらでも新しい展開が考えられますし、持続可能な里山の発展は実現できると思います。ぜひさまざまな立場の人が一緒に参加して、OICの里山エリアを盛り上げてくださると嬉しいです。