地球温暖化が招く不均衡
「人の健康は地球の健康につながる」
所属する研究室では、原料調達から廃棄までの一連の流れ(=ライフサイクル)全体で排出される温室効果ガスを定量化し、「どこに削減可能性があるのか」ということに着目しながら、削減に向け分析する研究を主に行っています。
「環境によいこと」のハードルを下げたい
この研究を始めてから、日常生活でも物事の見えない部分・背景について考えようになりました。例えばスーパーに並ぶ野菜だと、同じ都道府県内で生産されたものなのか、あるいは別で生産されたものなのかを考えてみると、同じ地域で生産されたものの方が、輸送コストや輸送にかかる環境負荷(輸送から発生する温室効果ガス)が少ないといわれます。これは「地産地消」としてよく耳にすると思いますが、まさに物事の“見えない部分”の一つです。普段食べているもの、着ている衣服など、一つの製品(モノ)を生み出す背景には、地球上のどこかで資源やエネルギーが消費され、自然環境や人間社会に影響を与えています。
環境の研究に取り組む中で、個人レベルで取り組むことのできる環境負荷への取り組みはまだまだハードルが高いと感じています。環境にあまりよくないとわかっていても、暑いときはエアコンを使いますし、車にも乗りますよね。「環境に良いこと」が我慢ではなく、誰もが気軽に取り組めることにしたいですね。環境負荷への取り組みのハードルを下げるという点において研究を通して現段階で明らかになったことは、先にも述べましたが「介護を必要としない人ほど環境負荷が小さい」ということ、つまり私たち一人ひとりが「健康でいること」です。例えば、食生活に気をつける、運動する、人と楽しくおしゃべりをする(人とコミュニケーションを取ることは認知症予防に効果があると言われています)などのようなことは、皆さんの日常生活に比較的取り入れていただきやすいことではないでしょうか?
私が 何よりも皆さんにお伝えしたいことは、地球温暖化や気候変動を考える一歩目として、是非とも皆さんご自身の健康について考えてほしいということ。一人ひとりがいつまでも健康でいることが、地球の健康にも繋がるということです。