江戸時代の人々の暮らしと現代のSDGs
ゴール#2「飢餓をゼロに」
私の研究は日本史、とりわけ江戸時代を研究対象としています。大学生の時に参加した古文書調査がきっかけで江戸時代に興味を持つようになりました。4年生の時に参加した古文書調査で私が担当した古文書が琵琶湖の漁業についてのもので、深くのめり込んでしまいました。
江戸時代に、「SDGs」という言葉は当然ながら存在しませんが、当時の人々は持続可能な行動を無意識的に実践しており、この時代の人々は現代の私たちにとってSDGsの先輩であると考えており大変興味を持っています。例えば漁業において、翌年の漁獲量を確保するために、魚を捕りすぎないような取り組みや、網の目の大きさを調整するなどをしており、これらは現代の環境保護の考え方と重なる部分があります。当時の人々は生活のために自然と行っていることですが、彼らの生活の知恵は現代のSDGsの目標と一致する部分が多く、当時の人々の生活様式やコミュニティの作り方、価値観などが現代のSDGsの考え方にどのようにつながっているのかについて、広く社会に発信していきたいと思っています。
過去を知って未来を考える
大阪・関西万博のテーマウィーク「食と暮らしの未来」でワークショップを主催しました。「明日、なに食べる?」と銘打ち、過去の食を知ることを通して未来の食を展望するための方法を語り合おうという内容でした。
歴史学を通じたSDGsへの貢献
歴史学の観点から現代や未来の問題を考える手がかりを様々な形で発信し続けたいと思っています。そのためにも、知らない分野にも関心を持ち、さまざまな専門家とも積極的に意見を交わしたいですね。私の専門分野で「当たり前」と思っていることを、別の分野の専門家に説明するのは難しいことです。でも、それをする努力を重ねることは、自身の研究を見直し、新しい視点を取り入れる機会になると思います。
また、SDGsの目標は大げさに考えず日常生活の中で無理なくできることから始めてみることが重要だと思っています。小さなことでいいので、SDGsにまつわる皆さん自身のチャレンジを続けることが大切で、それが未来につながっていくのだと。皆さんの中の「小さなチャレンジ」をぜひ作ってみてください。