2013.05.15 2013年度立命館グローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO)エネルギー研究拠点シンポジウム「高効率薄膜太陽電池の未来と立命館大学」を開催

 4月26日(金)、びわこ・くさつキャンパス(BKC)において、立命館グローバル・イノベーション
研究機構(以下、R-GIRO)エネルギー研究拠点シンポジウム「高効率薄膜太陽電池の未来と
立命館大学」を開催しました。

 今回のシンポジウムは、R-GIROで研究を進める薄膜太陽電池に焦点を当て、地球上に豊富
に存在する元素や有機材料を用いることで、シリコンやレアメタルに依存しない高効率・低コスト
太陽電池の開発について紹介し、薄膜太陽電池の可能性を技術面、社会への普及面などから
探ることを目的として開催しました。

 シンポジウムの第一部では、まず、村上正紀・R-GIRO機構長代理(立命館副総長)による開会
挨拶に始まり、「テラワットPV 時代への展望と薄膜太陽電池への期待」と題して独立行政法人産
業技術総合研究所太陽光発電工学研究センター研究センター長である仁木栄氏が基調講演を
行いました。講演の中で仁木氏は、太陽光発電の持つポテンシャル、原理や種類、太陽電池の
高コストの要因となっている希少金属の代替材料や省資源化技術、CIGS系薄膜太陽電池に関す
る解説を行うなど、太陽光発電の現状と今後の方向性について自身の見解を述べられました。
仁木氏は、「日本の太陽電池復活のためには、研究開発・導入へのバランスの良い投資が必須
といえる。また、CIGS系薄膜太陽電池は高効率と低コストを併せ持った競争力の高い太陽電池
であり、今後も重要な技術であるといえる」と基調講演をまとめられました。
 
 続いて二部として、「太陽光発電マルチスケール研究拠点と太陽電池の未来」と題して、峯元高
志・理工学部准教授が講演を行いました。講演の中で峯元准教授は、これまで立命館大学で取り
組んできた研究や、2012年10月に発足した太陽光発電マルチスケール研究拠点の説明、そして
これからの太陽光発電研究の方向性を紹介。さらに、同研究拠点において材料・素子の研究者と
モジュール・システムの研究者が共同で研究を行うことにより、高効率自然エネルギー利用社会の
実現の可能性が高まると述べました。

 第三部では、「薄膜太陽電池の可能性~太陽電池の主流になるためには~」と題して、パネル
ディカッションを開催。峯元准教授がコーディネーターを務め、パネリストに仁木氏、白間英樹氏
(ソーラーフロンティア株式会社 生産本部 宮崎工場副工場長 兼 技術本部厚木リサーチセンター
 技術開発部長)、中島昭彦氏(株式会社カネカ ソーラーエネルギー事業部 技術統括部長)、
北嶋敏和氏(大日本スクリーン製造株式会社 FPD 機器カンパニー 製造統轄部 第二技術部計測
技術課 副参事)、福島和宏氏(プロマティック株式会社 代表取締役)、高倉秀行・理工学部教授の
7名が参加し、CIGS系薄膜太陽電池が原価より安く販売されている現状と課題、価格の安い製品
との差別化、そしてコスト低減など太陽電池の技術問題における今後の可能性について議論が交
わされ、来場者からも多くの意見や質問が寄せられました。最後に高倉教授は、「コストの安い結晶
シリコンを使った太陽電池と勝負して、今後CIGS系薄膜太陽電池が伸びていくためには、商品価値
の差別化による価値向上と、分野の棲み分けによって、いかに高いシェアを獲得するかが重要であ
る」と議論をまとめました。会場には約180名の参加者が訪れ、盛況のうちに幕を閉じました。

 また、シンポジウム終了後に行われた交流会においても引き続き、活発な意見交換が行われました。