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ドイツの良心的兵役拒否者、日独の歴史認識とエネルギー政策の違いに直面して

714日、国際関係研究科では良心的兵役拒否をテーマにしたセミナーを実施しました。以下は、山根和代准教授によるレポート。

 

ドイツと韓国の良心的兵役拒否など 

 大学で良心的兵役拒否について博士論文を執筆している韓国の留学生の発表を聞く機会があった。ちょうどドイツから岡まさはる記念長崎平和資料館で良心的兵役拒否者として仕事をしているユリアン・サンダーさんのことを思い出し、早速大学において714日にドイツ、韓国、日本の学生が二人の報告をもとに交流をした。

 ドイツでは十八歳になると兵役の義務があり、人を殺したくないなどの理由で社会福祉活動などの活動を選択することが認められている。ところが韓国では、いかなる理由でも兵役を拒否すれば投獄されるという。これは第二次世界大戦中の日本の状況と大変よく似ている。日本人の学生は、兵役がないのが当たり前であると考えているが、実は当たり前ではないと気付かされる。

 ドイツでは良心的兵役拒否者が介護施設などの社会福祉施設で活動してきたが、今後徴兵制を停止するそうである。廃止ではないので、いざという時にはまた兵役義務が生じるという。皮肉なことに、徴兵制の停止で社会福祉施設の現場は人手不足になるという。

 日本には憲法九条があるので、他の国のように徴兵制はない。しかし東日本大震災のどさくさに紛れて、憲法を改悪する動きには注意する必要がありそうである。

 その他福島原発事故後活発になったドイツの反原発運動、暗記中心の日本の歴史教育と考えさせるドイツの歴史教育の違いなどが論議され、ある学生は「三ヶ国の違いがよくわかり、大いに学びました」と述べていた。

 

 国際関係学部 准教授 平和学 山根和代

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