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特別セミナー「ルワンダ大虐殺後の罪責と和解─被害者と加害者はいかにして和解しうるか─」を開催

衣笠キャンパスにて、国際関係研究科/R-GIRO研究プログラム「新しい平和学に向けた学際的研究拠点の形成」主催の特別セミナーが開催された。今回は、ルワンダから佐々木和之先生(プロテスタント人文・社会科学大学教員)を講師に迎え、「ルワンダ大虐殺後の罪責と和解」についてお話いただいた。当日は、80人を超える学生が詰めかけ、この問題に対する学生の関心の高さがうかがわれた。

アフリカ中部の国、ルワンダで、1994年4月から7月にかけて、フツによるツチの大虐殺─ジェノサイド─が起きたことは、よく知られている。その後、1994年7月に樹立された 新政権のもとで、虐殺は終結し、虐殺に関与した人々を裁く刑事裁判─「ガチャチャ」と呼ばれる国民参加型の裁判─が約10年間にわたって行なわれてきた。しかし、国民の相当数が被害者となり、加害者となった大虐殺のあと、いかにして和解し、共存していくのかが、ルワンダ国民の大きな課題として残されている。

本セミナーでは、そのルワンダで、佐々木先生が、2005年から、REACHというNGOと共に実施している「償いの家造りプロジェクト」の詳細が、報告された。このプロジェクトは、虐殺の加害者が被害者のために家を造ることによって、加害者と被害者の和解を実現しようとするものである。たとえば、家造りを通じて、虐殺に加わった一人の男性が自らの罪を深く懺悔し、身体的にも精神的にも紛争の深い傷跡を残す一人の女性との間に和解を実現していった。この「償いの家造りプロジェクト」は、処罰よりも被害者と加害者の関係を修復することを重視する修復的正義の考え方にもとづいている。こうしたルワンダでの経験から、「加害者の心からの謝罪は、被害者に通じうると信じる」と話す佐々木先生は、このプロジェクトがルワンダのみならず、他の平和構築のケースにも適応しうるのではないかと語った。

ルワンダでの和解と平和実現のためのさまざまな活動を通じて知った、被害者と加害者の心の襞を丁寧に説明される佐々木先生のお話に、参加した学生は熱心に聞き入っていた。

また、講演後も、多数の質問が佐々木先生に寄せられ、その議論を通じて、さらに深く平和構築における「罪責と和解」の問題を学ぶことができた。

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