RS Web 学園通信
立命館大学 | Infostudents
 
法学研究科
博士課程前期課程1回生
平井利枝さん
エクステンションセンター
弁理士試験に合格
阿部田 高光さん
「究」バックナンバー
#2 理工学部 深川良一 教授
#3 文学部 望月 昭 教授
#4 立命館大学歴史都市防災研究センター幹事
中谷友樹 助教授
#5 文学部 木立雅朗 教授
#6 情報理工学部 田村秀行 教授
#7 文学部 北岡明佳教授
#8 理工学部ロボティクス学科
牧川方昭 教授
RS Webアンケート
西尾信彦教授
情報理工学部情報システム学科
ユビキタス環境研究室
情報処理学会、ACM、IEEE Computer Society所属

先生の研究されているユビキタスコンピューティングとはどのようなものですか?

ユビキタスコンピューティングとは、ユーザーにコンピューターを使っていることを意識させず、知らない間に数多くのコンピューターを使い、生活を今以上に楽しく便利にする環境のことを言います。そのためにはPC以外の家具や住宅や自動車など、街中のあらゆる物に計算処理と通信の機能が搭載された状態が望まれます。この社会を実現するための技術研究に取り組んでいます。

 

先生が携わった街角見守りロボットとは、どのようなものですか?

ロボットと聞くと、皆さん人型をイメージされるかもしれませんが、実はセンサーで周りの状況を感知し、判断し、それに見合った処理をする機械全般をロボットと呼びます。街角見守りロボットは自動販売機を改造しネットワークを接続して構築しています。子供がロボットの前を通ると、センサーが感知してカメラで撮影します。子供が何か危険を感じた時に、事前に配布してある緊急ボタンを押すと、ロボットが反応し近所のボランティアとして登録された人にメールで知らせます。その結果、ボランティアの人が現場に駆けつけて対応することができるというものです。このロボットによって、子供を見守り、防犯に関する情報を提供することで地域の安全を向上させ犯罪の抑止力を生む効果があります。また、子供を守るために地域の人同士がコミュニケーションを取り合うことで、地域の密接な関係を築けるという効果もあります。

ユビキタス街角見守りロボット
通学路通過検知機能 →ZOOM

もともとこのロボットを開発しようとした背景には職場や家庭などの情報インフラが整った場所以外で、充実したサービスを提供できるようにしたいと思ったのがきっかけでした。そのときに目を付けたのが、街中にある自動販売機だったんです。自動販売機は既に街中のいたるところに設置されおり、自動販売機同士をネットワークにつなげば、街のいたるところでサービスを提供することが出来ると考えました。提供するサービスは今最も需要があり自治体からの支援も期待できる「防犯」が最も適しているという判断から、街角見守りロボットが生まれました。今年の2月から一ヶ月間、大阪市中央区中央小学校区の協力を得て実証実験(LINK→実証実験ホームページ)を行いました。

研究者として技術的な目標を達成することも重要ですが、研究の動機に人間の生活を向上させようという気持ちを持ち続けてきたので、実際に使った人から「良かった」とか「安心できた」といった声を聞くことができることが嬉しかったですね。特に嬉しかったのは、あと一週間で実証実験が終わるという時に、保護者の方が非常に残念がってくれたことです。地域の方々の役に立てていたんだということを実感することが出来ました。 研究をしているとほとんどが苦労なんです。苦労が99くらいあって、いいことは1しかない。でも、その1が100ぐらい嬉しいからこそ、僕は研究を続けているんです。

 

将来の展望を教えてください。

私はこの研究にいろいろな可能性があると思っています。防犯の次に考えているのは広告配信です。この防犯システムは利益の出せるサービスと組み合わせることで社会的に初めて受け入れられると思います。利益の出せるサービスとしては、現在は紙媒体で配布されているフリーペーパーなどを電子化して自動販売機で配信すればビジネスとしても成り立つと考えています。

 

最後に学生にメッセージをお願いします。

私はいろいろな所へ行き、その土地のおいしいものを食べるのが好きで、学生時代から様々なところへ行ってその土地のおいしいものを味わってきました。好きだからこそ、どこにどんなおいしいものがあるかを積極的に調べました。

私は研究にも同じことが言えると思っていて、私の場合、自分のやりたいことと研究はほとんど一致しているので、一日の大部分は趣味をしているようなものです。研究を楽しんでいるからこそ、工夫もするし、真剣に取り組める、そして結果が出るのです。

私は研究する学生たちに、こちらからはテーマを与えず、自分がやりたいことを自分で考えて自分で決めなさいと言っています。自分がどうしても実現したいと思ったらあらゆる手を使って実現しようとするだろうし、他の人のやり方を知るために論文を読むでしょう。そういう姿勢で臨める研究でなければ、私はやってはいけないと考えているからです。学生の皆さんには、自分のやりたいことや実現したい目標を持って、必死に取り組んでいってほしいと思います。

西尾研究室 // ユビキタス環境研究室
ホームページ
取材・文 山元裕介(経営学部2回生)
↑PAGE TOP
© Ritsumeikan Univ. All rights reserved.
このページに関するご意見・お問い合わせは 立命館大学広報課 Tel (075) 813-8146  Fax (075) 813-8147