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「究」バックナンバー
#1 情報理工学部情報システム学科
西尾信彦 教授
#3 文学部 望月 昭 教授
#4 立命館大学歴史都市防災研究センター幹事
中谷友樹 助教授
#5 文学部 木立雅朗 教授
#6 情報理工学部 田村秀行 教授
#7 文学部 北岡明佳教授
#8 理工学部ロボティクス学科
牧川方昭 教授
RS Webアンケート
深川良一教授
理工学部
立命館大学防災システム研究センター副センター長

防災システム研究センターではどのようなことを行っているのですか?

1995年の阪神淡路大震災頃から関西地域は地震活発期に入ったとされています。東南海地震や南海地震および直下型地震発生の恐れが高まっています。こういった中で防災と安全を考えるとき、情報の占めるウエートは極めて高く、特に広域での災害状況の把握にはシステムのIT化が重要とされています。そこで防災システム研究センターは、産官学地の連携による実効性のある防災システムの提案を目指しています。

今までの防災に関する研究は、「どういった建物が地震に強いのか」や「この河川が氾濫したときにはどのような状況で被害が広がるのか。また、そういった河川にはどういった堤防を作れば良いか」という、どちらかと言えばハード面が中心のものでした。しかし、防災システム研究センターでは、通信・ネットワークを中心とした情報系、土木・建築を中心とした防災工学系、電気電子・マイクロ機械システムを中心としたセンサーシステム系の3つの分野を融合させた形で研究を行っています。

この研究センターでは、他分野の先生方と議論できるところが非常に面白いと思います。新しく学ぶことがたくさんあり、自分の研究に対する視野も広がりました。もともとこういった学際的な環境の中で研究をしてきたのですが、今はさらに刺激を受けています。現在、様々な分野で研究の閉塞状況が語られていますが、異分野間の交流が閉塞感を吹き飛ばす大きな起爆剤になると思っています。

 

具体的なシステムの導入例について教えてください。

私の担当しているプロジェクトが大きく関った例では、京都の清水寺に斜面の変状を検知するモニタリングシステムを設置し、長期的な観測を続けているというものがあります。清水寺では重要文化財に指定された「奥の院」という建物が山の斜面に面しており、どのような条件下で観光客の入場を制限すべきなのかが長年の課題でした。そこで我々はその背後の斜面に各種センサーを設置し、斜面の変状を多角的に調べています。センサーからのデータは携帯の回線を利用して大学の研究室に送れるようにしました。また、その斜面が今どのような状態にあるのかをパソコンで簡単に見られるシステムを作成し、清水寺に導入しています。

現地斜面モニタリングシステム →ZOOM

 

先生が研究を始められたきっかけや、先生にとっての研究とは何でしょうか?

私は主に斜面災害について研究しています。斜面災害を研究しようと思ったのは、私の出身地が災害の多い所で、高校生のときに実際に自宅を山崩れで失うという経験をしたからです。このことがきっかけとなって土木工学の分野の研究を始めました。私の研究によって斜面崩壊による被害を少しでも減らすことができればと思っています。この研究の社会的意義は益々大きくなってきています。私にとっての研究とは、やはり自己実現です。学生の頃はよく天才に憧れるものですが、私にもそういうところがまだ残っており、とことんやってみようという気持ちが強いです。自己実現が社会貢献につながれば最高です。

 

今後の展望を教えてください

3つの分野が融合しているという現在の研究のメリットを生かし、他の先生方と力を合わせて防災・減災に役立つ研究成果を上げていきたいと思います。既に研究センターの重要性が関西では認知されてきましたし、最近提案しました新しい斜面防災システムが国土交通省系の国家プロジェクトに18件の内からただ1件選ばれるなど、協力の効果が上がりつつあります。このような具体的な成果が上がってくれば防災システム研究センターとしての存在感が示せますし、そのことが研究面でも教育面でも良いサイクルを生み出すと考えています。

 

学生へのメッセージをお願いします。

ゼミなどでよく感じるのですが、初めのうちは控えめだった学生が卒業研究などで驚くほど素晴らしい研究発表を行うことがあります。そのような時、私は「教師冥利」ということを感じます。可能性は誰もが秘めているもので、自分でその限界を決めてしまってはいけません。自分がどこまでできるのか、できるところまでとにかくやってみてください。あきらめることだけは絶対にしないでほしいと思っています。

立命館大学防災システム研究センター
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取材・文 冨田祐介(経営学部2回生)
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