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ベンチャービジネス支援
佐藤良太さん
文学部 心理学専攻
北岡明佳 教授
「学」バックナンバー
#1 法学研究科 平井利枝 さん
#2 理工学研究科 並河祥司 さん
#3 経営学研究科 劉 莉 さん
#4 社会学研究科 池田さおり さん
#5 経済学研究科 中川賢司 さん
#6 政策科学研究科 藤井えりの さん
#8 文学研究科 石川ちひろ さん
#9 情報理工学部 野口尚吾 さん
RS Webアンケート
国際関係研究科 博士課程前期課程2回生
佐伯廣謙さん
2004年 安藤次男教授ゼミ生
2005年 龍澤邦彦教授ゼミ生

私が国際関係学部に進学しようと決めた理由は2つあります。1つ目は、高校3年生のときに附属校オープンキャンパスに参加し、国際関係学というものが今まで聞いたことがなく新鮮でおもしろそうと感じたからです。2つ目は、英語や中国語など、語学にも興味があったことから、国内的な事柄よりも国際的な事柄に関心があり、グローバルな視点から物事を考えてみたいと思い、国際関係学部に進学することに決めました。

1回生では、基礎演習においてゼミナール大会のクラス代表として出場しました。取り組んだテーマは、「国際河川」においてA国に属する上流で発生した汚染がB国に属する下流に流出したとき、どの国がどのように責任をとるかについてでした。結果は残念ながら優勝チームと1点差で2位でした。その後、その悔しさから勉強に対する姿勢が変わりましたね。

また、他にはグローバル・シミュレーション・ゲーミング(GSG)という授業のスタッフ活動に取り組んだことが印象的です。このGSGは2回生配当の科目なので、1回生ながら2回生のレベルで学んでいかなければならないことに最初は苦戦しましたが、それを含めてこのGSGの授業スタッフ活動は私を成長させてくれた活動だと思っています。また、このGSGの活動により、パソコンのスキルも向上し、興味を持つようになりました。

GSGとは、2回生前期に行われる授業です。GSGの演習は専門知識がなくてはできないので、普段は、講義で国際交渉の方法を学び、6月末の土曜日に半日かけて外交の模擬体験をします。模擬体験の方法としては、まず各国に経済レベルや軍事レベルなどの初期値を設定し、それぞれのグループが1つの国家として、恒心館・洋洋館のネットワークで結ばれた各教室に分かれて、メールで外交交渉や国同士の経済開発、環境汚染が起きないような環境技術の開発をしたり、大教室では代表者が国際会議の擬似体験をしたりしました。また、このGSGでは国家のほかに国連や世界銀行、難民NGOやテレビメディアといった役割に扮し、授業を行うことも特徴的です。

GSGの模擬体験の内容を北朝鮮への国連の核査察の例で説明すると、まず北朝鮮担当の教室のパソコンの画面にある核兵器を一時的に友好的な国シリアの教室にあるパソコンに移動させます。そして国連の人たちが北朝鮮の教室へ来るときに、あたかも核兵器がないように見せかけ、核査察が失敗に終わったということがありました。

2回生では、GSGの副リーダーを担当しました。GSGの授業の中で私は役割が与えられたアクターではなく、スタッフとしてどのようなアクターが必要なのか、どういった設定にするかについて検討しました。

このように私はGSGを中心に国際関係学部での学びを深めていきましたが、研究課題を探していく過程では、先進的な国際政治について学んだ「ヨーロッパ研究」の授業に興味・関心がありました。

3回生のゼミでは前述のとおり、先進的な国際政治が行われているヨーロッパに関心があったので「欧州防衛共同体挫折要因の再検討」について研究するため、安藤次男先生のゼミを選択しました。研究を進めるにあたって、まずテーマと年代を絞り込むのに苦労しました。そして安藤先生からは、「『はじめに』は最後に書きなさい」、「書きたいところから書きなさい」、「なぜこのテーマを選ぶのか目的を明確にしなさい」ということについて、ゼミを通じてのアドバイス、いわゆる「赤ペン先生」のような添削で指導していただきました。そしてこの論文により、父母教育後援会から国際関係学部教育賞をいただきました。私は3回生終了時に国際関係研究科へ飛び級進学したので、4回生の卒業研究はなく、これが卒業研究に準ずるものとなりました。

また、3回生ではオープンゼミナールという企業の方々に対して学生がプレゼンテーションをするというイベントがありました。その中で私たちのグループは「ウェブログ(ブログ)」についてプレゼンテーションしました。「ウェブログ」とは、日本よりも早くアメリカで広まっていたブログで、しかも単に日記として使うのではなく、選挙資金集めや9.11の復興支援に使われていたものです。結果は2位でしたが、企業の方からは「いままで聞いたことがない話題で、とても新鮮な報告でした」という言葉をいただきました。調べる過程では、文献が英語しかないということで大変苦労しました。また、先生やクラスメイトからの結論が浅いという指摘にも、「ウェブログ」が、学生・大学・政府・企業において、具体的にどのように活用できる可能性があるかを示すことで解決しました。

大学院へ進学するにあたって、今後の研究テーマをGSGの活動で身近であったパソコンに関連して「ウェブログ」のようなインターネットの研究にするか、アマゾンのワンクリックオーダーシステムのような「ビジネス方法特許」の研究のどちらにしようか考えていました。結果的には、私は後者を研究テーマとしました。後者を選んだ理由は、この研究がアメリカで1998年に認められたものでまだ新しい事例であること、私が将来システムエンジニア(SE)を目指していることという2つの理由がありました。しかし、これだけでは、国際関係学的な研究にはならないので、現在は「国境を越えて侵害される特許に関して特許権を行使できるか」について研究しています。大学院では、国際法を含め、各国の法律に詳しい龍澤邦彦先生(専門は宇宙法・イスラーム法)にご指導いただいています。

将来は、自分がシステムをプログラミングし、それに関する特許を取得できればと考えています。そのなかで、学部・大学院で研究したことを生かし、弁理士のようにトラブルにも対処できるようなSE、技術と法律の両方に精通したSEを目指しています。

卒業研究が完成するまで―佐伯さんの場合

回生 授業スタイルと研究方法キーワード
1回生 ■基礎演習(小集団)
前期は、「クリティーク国際関係学(現在はニューフロンティア国際関係)」というテキストの1テーマを1回目で4〜5人のグループでプレゼンテーションし、ディスカッションする。
後期は、基礎演習ゼミナール大会に向けて、クラス内予選を行う。
キーワード ex) 基礎演習ゼミナール大会
国際河川
核兵器と安全保障
インターネットと国際関係
文化ってなんだろう
…etc.
2回生 ■グローバルシミュレーションゲーミング(大講義)
■ヨーロッパ研究(大講義)
キーワード ex) 北朝鮮への国連の核査察
欧州統合の歴史
地域通貨
…etc.
3回生 ■専門演習(小集団)
前期は、先生が指定するテキストを学生が分担し、プレゼンテーション、ディスカッションをする。
後期は、学生がテーマを1つ選んでプレゼンテーションし、それを3回生論文としてまとめる。
キーワード ex) オープンゼミナール大会
大統領制と議院内閣制
キューバ危機における政策決定過程
…etc.

研究成功の秘訣
―よりハイレベルな卒業研究のために

 

龍澤邦彦 教授

私のゼミではそれぞれ学生がテーマを設定し、論文を作成しています。3回生の前期には法律などの基礎的な知識を勉強し、論文の書き方、プランの作り方、テーマの掴み方などを指導します。3回生の後期からは論文発表をし、質疑応答、ディベートなどを行ってテーマを深めていきます。4回生ではそれぞれが3回生で設定したテーマに基づき論文を作成し、分からない部分について、そのつど指導するというかたちをとっています。

佐伯さんは私のゼミの中でもリーダー的な存在であり、とても真面目で勉強熱心な学生でした。また、自らテーマを設定し、研究を深めていくことができる学生でしたね。論文について佐伯さんは自らのプランを立てて、着実にテーマを深めていたので、私はデータや資料に関する点についてアドバイスをしました。佐伯さんの論文はコンピュータを使用したビジネス手続きに関しての所有権をテーマにした論文で、現在注目されている問題です。佐伯さんが論文を書いていた当時は、文献や資料も少なく、英語の文献を参考にしていたので、とても苦労したと思います。しかし、真面目で勉強熱心だったからこそ、父母教育後援会国際関係学部教育賞をもらえるような優秀な論文を書くことができたのだと思います。

在学生の皆さんには、「きちんとプランを立てて取り組む」ということを大切にして欲しいと思います。ただ事実を列挙するだけでなく、筋道を立てて物事を構成していくことは社会に出ても必要なことなので、ぜひ学生のうちにプランを立てるということを身につけてください。

取材・文 皆木孝夫(政策科学部2回生)
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