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朝倉さやかさん
立命館大学人間科学研究所
文学部 
望月 昭 教授
「学」バックナンバー
#1 法学研究科 平井利枝 さん
#2 理工学研究科 並河祥司 さん
#4 社会学研究科 池田さおり さん
#5 経済学研究科 中川賢司 さん
#6 政策科学研究科 藤井えりの さん
#7 国際関係研究科 佐伯廣謙さん
#8 文学研究科 石川ちひろ さん
#9 情報理工学部 野口尚吾 さん
RS Webアンケート
経営学研究科 博士課程前期課程1回生
劉 莉 さん
2004年、2005年 三代澤経人教授 管理会計ゼミ生

私の出身地である中国で出会った日本人の先生から日本について様々なことを聞き、「自分の目で日本が見てみたい!」と思うようになりました。また、将来起業したいという夢のために短期間で経済発展を成し遂げた日本の経営に強く興味を持っており、是非学んでみたいという思いから留学を決意しました。

1回生では、一般教養と基礎的な経営知識を身につけるため、簿記や情報演習などを学びました。言葉の違いという障害もありましたが、毎日一番前の席に座り、授業後も質問をするなど積極的に受講するうちに、徐々に日本語の理解力も備わってきました。

また、基礎演習では、ゼミナール大会に参加しましたが、勉強不足や緊張のあまり、日本語にならないプレゼンテーションとなってしまいました。しかし、そのゼミナール大会での失敗が私に「もっと勉強しよう!」という強い気持ちを持たせてくれました。

2回生では、経営学を深く学びました。特に経営戦略論、経営財務論、経営システム論などに興味をひかれました。また、様々な特殊講義も受講し、学外からの講師の方や、実際に現場で働く経営者の方の生の声が聞け、刺激的に楽しく学ぶことができました。

3回生のときには、図書館で「週刊日経ビジネス」を読んでいて、中国の物流事業に興味を持ちました。中国は世界の工場と呼ばれ、多くの企業も中国に拠点を持っているにもかかわらず、中国の物流はまだまだ遅れており、逆にそれが将来大きな市場として発展する可能性を秘めているところに興味を持ち、物流を卒業論文のテーマにすることに決めました。

物流に興味を持ってからは、将来会社を立ち上げるからには自身も財務に精通していなくてはと思い、管理会計を扱う三代澤経人先生のゼミに入りました。そこでは、管理会計の知識を半年ほど学び、その後は自らのテーマである物流に関する資料を集め、理解し、まとめることから始め、その蓄えた知識をプレゼンテーションして論文の形を作っていきました。

4回生になってからもさらに研究を続け、私は3PLというものに着目した論文を書くことにしました。3PLとは、Third Party Logisticsの略で、第三者物流を意味します。大企業では、独自の物流管理部を持つところが多くあります。しかし、物流のコストは大きいため、できるだけ削減したいというのが近年の傾向です。そこで注目されつつあるのがこの3PL、つまり外部の物流企業に委託することでコスト削減を目指すというものです。

そして、研究の末に、卒業論文の基になった「日本における3PLの現状とこれからのあり方」を作成しました。この論文を先生に見ていただいて「劉さんならこれ以上の論文が書ける!」と指導していただきました。そこで、これまでまとめてきたレジュメや参考文献を読み直し、もっと広い視野で物流をとらえようと、マーケティング、顧客創造、顧客満足などの分野の本を読み、さらに深い物流の研究を目指しました。その結果、卒業論文「3PLによる顧客創造」が完成したのです。

私はこの4年間で今までより成長できたと思っています。また日本に来る前からの夢だった「起業する」という想いも確固たるものになりました。

大学院でも引き続き物流の研究に打ち込みたいと思っています。今は再び初心に返り、物流に関係のない分野の基礎的な勉強をしています。後期からはいよいよ本格的に物流の研究に取り組んでいくつもりです。まだ具体的な研究テーマは決まっていませんが、学部生時代の研究は日本の視点で物流の大枠を捉えたものをベースに、次は中国の物流について深く研究したいと思っています。現在私が関心を持っている中国に進出している海外企業の課題や、それにより中国はどのような影響を受けているのか、またどう対応していくべきなのか、というテーマを一つ一つ調べながら、研究テーマを絞っていこうと思っています。

また、どの分野の勉強でも、常に「もし、自分がこの分野で起業する場合どうするか」を考え、実力をつけていきたいと思っています。そして、将来は中国に戻り、ただ利益を追求するだけでなく、社会に貢献できる企業を作りたいです。その為にも今は、この絶好の環境で一生懸命学んでいきたいと思っています。

卒業研究が完成するまで―劉さんの場合

回生 授業スタイルと研究方法キーワード
1回生 日本語の理解力をつけるために授業に積極的に参加
ゼミナール大会を通して日本では初のプレゼンテーションを経験する
キーワード ex) ゼミナール大会
…etc.
2回生 授業以外でも先生と積極的にコミュニケーションをとることにより、より深い勉強をする
社会で働く方から生の声を聞き、刺激を受ける
キーワード ex) 特殊講義
経営戦略論
経営財務論
経営システム論
…etc.
3回生 前半は管理会計の知識をつけるための勉強
その傍ら、自身の研究テーマを探索する
キーワード ex) 日経ビジネス
物流
マネジメント
…etc.
4回生 論文を一度完成させるも、さらなる研究でより深い論文作りを目指す
物流に関する文献を読み込む
幅広い分野の文献も参考にする
先生からの指導
キーワード ex) マーケティング
顧客創造
顧客満足
「3PLによる顧客創造」
…etc.

研究成功の秘訣
―よりハイレベルな卒業研究のために

 

三代澤 経人 教授

私のゼミでは、会計の方法など技術的なことよりも管理会計などの考え方を重視し、論理性を身に付けることを目指しています。そこでまず3回生では、管理会計の基本的なテキストを使って、基礎を勉強します。そして私が出した問題に対し、グループで考察を行います。4回生では、学生がそれぞれの卒業論文に関わる報告を行い、それに対して私や他の学生がコメントをしながら、卒業論文を作成していきます。

劉さんは、私のゼミの中でも特に熱心で、いつも自主的に勉強をしていました。私が特に何も言わなくても、自分で目標を見つけてテーマを決定し、自ら考えてどんどん研究を進めていました。授業中、いつも目が輝いていたことがとても印象的でしたね。大学院への準備なども自ら行っており、劉さんの主体的な勉学姿勢を、ぜひ学生の皆さんにも見習ってほしいと思います。

最近は、問題意識を持って勉強するという「問題意識」の意味が分かっていない学生が多いように感じます。「なぜ?どうして?」と疑問に思ったことを大事にし、自分が納得するまで自分なりに勉強を進めることが大切です。人から与えられたテーマや受身的な勉強では、勉強は進みません。そのために、まず本や論文などを読むことが重要です。分からなくてもとにかく全体を読み、疑問点や面白いと思ったことをメモしておいて調べてみる。このように、自分で本を読んで、自分で考え、悩みながらテーマ設定を行い、自主的に勉強を進めていくことが、良い研究の成果につながると思います。

取材・文 北村麻美(経営学部4回生)
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