IITH産学国際協働PBL <第2回>渕上愛美さん(生命科学研究科2回生)

たくさんの人を巻き込み自らも成長
日印の仲間と共に成長した(渕上さん・右)
おやつもカレーにはさすがに驚いた!
おやつもカレーにはさすがに驚いた!

 文部科学省の「平成26年度大学の世界展開力強化事業」で採択された理工系3学部が展開する「RiSE I≡J Project」について紹介するこのコーナー。橋本征二教授のお話に続き第2回目の今回は、同プロジェクトの短期プログラムのひとつでインド工科大学ハイデラバード校(IITH)の学生と協同で行った「IITH産学国際協働PBL」に参加した渕上愛美さん(生命科学研究科2回生)にお話をうかがいました。「カレー、交通渋滞、映画」というインドのイメージがどう変わったのか、プログラムの印象、成長した点とは……。

世界中どこへでも行ける自信がついた

学内をバッファローが闊歩、インドには非日常がいっぱい
校内を野生のバッファローが歩き回る
都市化が進むインドの街並み

 「留学を通じ、一番印象に残っていることは?」との問いに「インドで非日常が味わえたこと」と笑顔で話す。予想外だったのは都市部の繁栄ぶり。「街もしっかり整備されており、大型ショッピングモールや誰もが知っている世界的企業のビルなどが目に飛び込んできた」と、第一印象を語る。
 スタートが好印象だっただけに、その反動も大きかった。イメージでカレー中心の食事は覚悟していたが、「三食はもちろん、おやつまでカレーだとは思わなかった」と、3日目に早くもギブアップ。体調を崩すなど、インドならではの洗礼も味わった。IITHのキャンパスはとてもきれいで施設・設備も整っていたというが、校舎から一歩外に出るとハエなどの虫はもちろん、校内を野生のバッファローが闊歩する姿には度肝を抜かれた。予想はしていたが、日本では味わえない非日常は、ありとあらゆるところに転がっていた。
 プログラムのテーマが「ヘルスケア」だったこともあり、水など衛生面の下調べ、準備には万全を期した。「調べれば調べるほど不安になった」と明かすが、案ずるより生むがやすし。体調不良も最小限に抑えることができ、「インドの経験を乗り越えたことで、世界中どこでも行ける」と胸を張る。

 「内定先から、インドの事業所に行ってもらうこともあると聞かされ、興味を持つようになりました」と参加のきっかけを口にする。もともと英語が好きで、研究科1回生時に1カ月半のニュージーランド留学や研究留学なども経験。将来を考えTOEIC®テストにも力を入れてきた。ここまで聞くと、もともと海外志向が強かった印象を持つが、「学部生の頃は内向きで、海外留学はもちろん、働くなどは考えたこともなかった」と、心境の変化を本人自身が一番驚いている。一番の要因は、大学院に進み学びを深めるなかで、「日本の良さや技術力をもっと世界に広めたいと思うようになった」こと。その実践の場としても今回のプログラムはぴったりだった。
 最初、インドにもあまり良い印象を持っていなかった。それが、学生の優しさやエネルギッシュな点に触れるにつけ、徐々に雪解け。時間や期限に少しルーズな点や訛りの強い英語に苦労しながらもコミュニケーションを深め良好な人間関係を築いていった。向こうの学生とはプログラムが修了した今でも「頻繁に連絡を取り合っている」といい、「今回の経験を活かしインドで働いてみたい」と強く思うようになった。

テレメトリーによる遠隔医療モデルを提案

院生ならではの経験を活かし、リーダーシップを発揮
院生としてチームを引っ張った
院生としてチームを引っ張った(渕上さん・左)
理系の視点を活かし具体的な提案に結びつけた

 プログラムを通じ成長した点に「英語でのコミュニケーション力」を挙げる。グループの他のメンバーが学部生だったこともあり、「院生の自分がリーダーシップをとらないといけない」と学会や論文をまとめた経験を活かしチームのまとめ役に徹した。「今回のプログラムに参加していなかったら、リーダーシップをとったり外国人と英語で議論する機会も、それほどなかったと思う。文化や習慣の異なる外国人に分かりやすく説明する力、積極性など少しは成長できたかなと思います」と笑顔で話す。
 現地での体験を通じ、インドの人が話す英語の癖や、インドも広く地域によって文化や習慣が異なり、ヘルスケアの意識も違っていることが分かった。課題解決にあたり、学生のみならず、一般市民はもちろん企業や病院などにもインタビューに出かけた。インドでは死因の50%以上を生活習慣病が占め、その数は増加傾向にあるという。運動不足などの問題のほか、病院の数も少なく、健康診断に対する意識も極端に低いのが現状だった。そこで渕上さんたちのグループでは、日本の介護現場を参考にテレメトリーによる遠隔医療モデルを作成。ヘルスモニタリングセンター(HMC)と題した医師と患者、薬局などをつなぐ拠点をつくり、貧富の差や居住地域などに関係なく国民全体としての、健康に対する意識改善、医療を受けやすくする取り組みを提案した。
 「専門分野は違いますが、学部で基礎的な部分は学んでいたので役立ちました。専門外のことで課題を見つけ、提案できたことは、今後、社会に出て、どんな取り組みをやることになっても通じるもので自信になります」
 机上で考えるだけでなく実際に現地を訪れ、たくさんの人を巻き込みながら学びを深めた経験は、きっと今後にも生きてくるはずだ。
 「インドは独特な国なので、環境なども含め好き嫌いが分かれるかも。でも、行ってみれば必ず新たな発見があると思う」。そこには自らの壁を超え、新しい自分を見つけた渕上さんらしいメッセージが込められていた。

「RiSE I≡J Project」のHP (URL: http://www.ritsumei.ac.jp/reinventindia/)
 第1回 http://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=144
 第3回 http://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=149

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