日本の抗がん剤治療の費用対効果分析により、抗がん剤治療のコストと効果の関係性を定量的に解明

2019.12.10 NEWS

日本の抗がん剤治療の費用対効果分析により、抗がん剤治療のコストと効果の関係性を定量的に解明

 児玉耕太(テクノロジー・マネジメント研究科・准教授)が中心となる研究グループは、乳がんと非小細胞肺がんの治療に用いられる薬剤について、2019年1月1日現在の国民健康保険の薬価と各薬剤の臨床試験での効果を比較することで、日本における抗がん剤治療のコストと効果の関係性を定量的に明らかにしました。この成果は、Drug Discovery Today(オンライン版)で発表されました。

 イギリス、スウェーデン、カナダ、オーストラリアなどでは、薬剤の費用対効果により薬価調整が行われてきましたが、日本でも2019年から一部の薬剤について薬剤の費用対効果による薬価調整が始まりました。効果の高い新薬は、薬剤費も高いのですが、費用対効果分析を実施することにより、それらのコストに見合った生活の質(QOL)の向上や余命を何年延長できるのか(生命予後)といった価値を判断することができます。日本では、薬剤の費用対効果は薬価調整のみに使用されていますが、イギリスでは健康保険内での収載の可否判断に使用されており、抗がん剤などへの患者アクセスが制限されるとして社会課題にもなっています。
 今回の研究成果では、乳がんにおいては薬価改定の影響を加味した場合であっても近年承認された薬剤のICERが高いこと、また従来薬よりもより新しい抗体薬、分子標的薬のICERが高いことから、医薬品のイノベーションはその価値に見合って評価されていることが示唆されました。

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