キャンパスに広がる日常的な「グローバル」の風景

 立命館大学では、国際交流や言語学習を中心としたグローバルコモンズ、Beyond Borders Plaza(以下、BBP)を、衣笠キャンパス、びわこ・くさつキャンパス、大阪いばらきキャンパスの3キャンパスに開設しています。
 BBPは、国籍や文化など様々なBorderを超えて、交流し、学びを進めることができる空間です。
 この記事では、衣笠BBPの魅力やおすすめの利用方法について、担当教員の筆内美砂講師、BBPをよく利用するハワード・カイリンさん(国際関係研究科博士課程前期課程2回生)とBBP学生スタッフの塩田一成さん(国際関係学部2回生)に聞きました。

担当教員へのインタビュー

BBPについて教えてください。
筆内美砂講師
筆内美砂講師

 BBPは国際交流や言語学習が前面に出ますが、国籍や言語の違いだけでなく、年齢やジェンダーなど、ありとあらゆる目に見えないボーダーを超えて学生が出会い、学びあう場所だと思っています。
 特にBBP運営に携わる学生スタッフは、学生の自主性や責任感を育て、生かすことを重視していますね。何セメスターも続けてBBPスタッフをしている学生は、表情がいきいきし、主体的に動けるようになっているように感じています。

どのような思いでBBPを運営されていますか。

 多文化間共修に関わる考え方に基づくと、学生が「ただ」集まるだけでは前向きな学びが生まれるわけではありません。お互いに①平等な関係であること、②共通のゴールを持つこと、③協力し合うことに加え、④制度的な支援が必要となります。この4つを実現するために、様々な仕掛けを作るようにしています。
 また、他者を「表面的に見える部分だけで判断する傾向」に対して、「様々な経験や環境を経て形成されている部分に意識を向け、理解する必要性」を学生には常に伝えています。

BBPでの具体的な取り組み、特徴的なイベントについて教えてください。

 BBPの企画は、大学が主催するものに加え、BBP学生スタッフ、その他の学生団体などによるものがあります。内容は多岐にわたり、各国の文化を紹介する企画から留学支援、各種スキルアップのためのワークショップなどがあります。
 最近では、メキシコのピニャータ祭り(くす玉を叩いて、中の飴を出す)を開催したり、有名企業のCEOを招いてキャリアに関するワークショップなどを行ったりしました。また、イタリア人の俳優に来ていただき、ジェスチャーによるコミュニケーションの取り方の違いを教えてもらったこともあります。学生団体では、フラダンスやフラメンコのダンスサークルが発表をしたり、新歓ウィークの一環として能楽部が舞台を披露したりしています。

BBPを利用する学生にメッセージをお願いします。

 自分の殻を破っていってほしいですね。まさにBeyond Bordersで、知らないことや自分の思い込みに気づき、自信をもって、積極的にいろいろなことに挑戦していってほしいです。
 BBPは、利用者にとって居心地のいい空間創りに努めているので、人が集まり、出会いが広がる場だと思います。そのチャンスや環境を大いに生かしてほしいですね。

BBP利用学生へのインタビュー① ハワード・カイリンさん(国際関係研究科博士課程前期課程2回生)

ハワード・カイリンさん
ハワード・カイリンさん

利用のきっかけを教えてください。

 大学院に入学してすぐのオリエンテーションで、BBPでは様々な言語が学べて、自分の世界が広がると知り、行ってみようと思いました。そこからは、毎日のように通っていますね。

活用方法について教えてください。

 2階の自習スペースでは、韓国語や中国語など様々な言語を勉強しています。 先日、日本語能力試験を受けましたが、そのテキストも全て揃っているので、いつもBBPで言語の勉強をしています。
 また、2階の自習スペースで学んだ言語を生かして、1階のコミュニケーションスペースでは、英語、日本語、中国語、韓国語、スペイン語の5か国語を用いながら、様々なバックグラウンドを持つ友人と交流していますね。
 現在、「日本の労働不足と外国人労働者に対する政策」について研究を進めていますが、そこで必要なインタビューもBBPで行っています。

BBPを活用したことでの自身の成長について教えてください。

 中国語や韓国語の勉強を進めていますが、2階で自習したあと、1階で、実際にその言語を母語とする人と話すことができるので、多言語で会話ができるようになりました。
 入学当初は、所属する研究科の友人としか関わりがなかったですが、今は様々な学部や回生、国籍を超えての繋がりができ、コミュニティがとても広がったと思います。BBPで出会った友人は、国際的な経験を有している人が多いので、自分自身の視野もとても広がりました。

 また、様々な興味深い企画があって、ここには多くの知見を広げるチャンスがあります。
 アメリカの大学では、LGBTQ(※)の意識が当たり前のように広がっていますが、日本ではあまり聞いたことがありませんでした。しかし、BBPでは、先日LGBTQに関するワークショップも行われ、日本のLGBTQの事情について学ぶことができました。

※Q:性自認や性的指向が定まっていない人の総称
関連記事:「LGBTQフレンドリーな大学環境をめざして」ワークショップを開催

今後の目標や抱負について教えてください。

 今は、修士論文の執筆に取り組みながら、卒業後の進路について考えています。
 ここに来て、視野が広がり、自分の中にいろいろな可能性を見出すことができました。
 歌手という夢もありますし、ここでの経験を生かして、大学職員になりたいとも思います。
 1月には、BBPでどんな楽器でも歌でも自由にパフォーマンスをするイベントがあり、そこで歌を披露する予定です。

BBP利用学生へのインタビュー② 塩田一成さん(国際関係学部2回生)

塩田一成さん(国際関係学部2回生)
塩田一成さん
利用のきっかけを教えてください。

 自分の大学入学と同時にBBPがオープンし、活動の前例がない分、様々なことにチャレンジできると思い、スタッフに応募しました。

BBP学生スタッフとしてどんな活動をしているか教えてください。

 イベントの企画・運営などに積極的に関わっています。BBP学生スタッフの間でもやりたいことは様々ですが、一見方向がバラバラだと思える人たちが、BBPでの交流を活性化するという同じ目標に向かってがんばっていけるのが、BBPの良さです。
 また、ここに来る利用者の目的は様々で、しっかりとコミュニケーションを図って、国際交流をしたい人もいれば、自習をしたい人もいます。利用者と積極的にコミュニケーションを図って、そのニーズを汲み取り、学生の出会いが広がる良いきっかけをつくりたいと思っています。

BBPの運営に携わったことでの自身の成長について教えてください。

 BBP学生スタッフの初期メンバーとして、多文化な環境でもリーダーシップを発揮できるようになりました。
 高校までとは違い、多様なバックグラウンドを持つ人々が集まるため、日本人の視点で考えて行動しても、うまくいかないことが多くあることに気づきました。そのため、組織運営について授業などで学び、多様性がある中でチームをまとめる力がついてきたと思います。それぞれの意見を聞いて、個を尊重することと、強い決断力を持ってチームを引っ張っていくバランスがいつも難しいですが、その分大きなやりがいも感じます。何事も一人で完結しないで、チームとして進めていくことを意識しながら、運営に携わっています。

BBP学生スタッフとしての今後の目標や抱負について教えてください。

 BBP開設から先輩方が積み上げてきたことや自分が先輩方から学んできたことを、後輩に伝えていくことが大事だと思っています。自分たちが積み上げてきたことや、BBPに対する「想い」を継承する人が他にいなければ、これまでの蓄積がなくなってしまいます。そのため、そんな「想い」を次の代に引き継いでいくことが自分の役割だと思っています。またそれだけでなく、自分自身も更なる高みを目指して新しいことに引き続き挑戦していきたいです。

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