パスポートがいらない留学 「APU交流学生プログラム」

国内留学で異文化にまみれる

立命館ならではの「交流学生プログラム」

 「学びの立命館モデル」が提唱する「境界を超えて学ぶ」取り組みのひとつに、国や文化、そこからもたらされる思考の枠組みを超えて学ぶ仕組みがあります。そうした仕組みのひとつとして、数多くの海外研修プログラムが立命館大学にはあります。ここでは国内に居ながらにして海外に留学したのと変わらぬ環境に身を置くことができる、立命館アジア太平洋大学(APU)との交流学生プログラムについて、参加学生の声などを交えながら紹介します。
 このプログラムは、本学と大分県別府市にあるAPUと双方の教育資源および特徴を生かし、両校における教育の一層の充実を図ることを目的として2001年度から行われているもので、2017年度で17年目を迎えます。APUに半年(前期および後期セメスター)もしくは1年間、特別聴講生(交流学生)として受講および単位取得できる制度で、取得した単位は、基本的に本学の所属する学部で認定され、卒業単位に算入されます。派遣先学部はアジア太平洋学部と国際経営学部となります。
 アジアを中心に世界中(約90の国と地域)から国際学生が集まり、学生数の半数近くを占め、教員も約50%が外国籍という多文化共生キャンパスを創造するAPU。この国際色豊かな環境に飛び込み、言葉や文化の壁に翻弄されつつも、それを乗り越えた先に見えたものとは…。

多くの国際学生と交わる好環境

刺激をし合いながら共に成長

 グローバル化、多様化が進むにつれて留学など各種海外研修プログラムに参加したいという学生は年々増加傾向にあります。そうしたなか「海外の大学に留学したいけれど不安」「語学力に自信がない」「本格的な留学前にステップを踏みたい」などの声はもちろん、大きなネックとなる経済的な負担問題をクリアするプログラムがAPUへの交流学生プログラムとなります。
 このプログラムの特徴のひとつに英語をはじめとした語学力、各種スコアなどが入り口の段階で問われないという点があります。学部の授業は、外国語および日本語双方で開講されており、どちらかを選ぶことができます。とはいえキャンパスはもちろん生活の拠点となる「APハウス」(学生寮)で、世界中から集まった海外の学生と交わることができる、海外で生活するのと同様の環境が用意されています。
 APハウスは、4:6で国際学生の方が多く、フロアによっては、ほとんどが国際学生というケースもあり、日常的に異文化・多言語が入り混じった多文化空間での生活となります。さらに各国のイベントも数多く開かれるなど、国内留学ながら、海外留学の醍醐味・目的のひとつでもある、こうした国際色豊かな環境に身を置くことができるプログラムは、他にはない立命館ならではのものです。
 国際学生は目的を持って日本、APUに来ていることもあり、「学習意欲の高い国際学生から刺激を受けた」と話す参加者も多く、日本人学生と積極的に交わりたいという思いを持っている点を含め、国際交流、学生の学びの転換という意味においても満足度の高いプログラムと言えます。実際、日本語での授業に参加した学生でも「英語をもっと勉強したくなった」「中国語をやりたくなった」など、国際学生との交流を通じ、コミュニケーションの大切さを実感。英語やその他の外国語に対する学びの意欲、モチベーションが高まったという学生の声が多数寄せられています。



環境を変えること

人との出会いの大切さを実感

 2016年度後期プログラムに参加した澤出大樹さん(文学部地理学専攻3回生)もそのなかのひとり。学部では観光、テーマパークについて学んでおり、米国フロリダにあるディズニーワールドに旅行に行ったことをきっかけに留学を考えるようになったと言います。「英語に自信がなく、それでも参加できるプログラムはないかと探していた際に、偶然見つけたのがAPUへの交流学生プログラムでした。もともと引っ込み思案で、参加も出願の当日まで迷っていましたが、迷っているなら行った方がいいと先輩から背中を押され、行くことを決めました。APハウス入寮当日に避難訓練があり、フロアには日本人も私ひとりで、館内放送なども全て英語。行く前は国内なので、何とかなるのでは思っていましたが、自分で動かないと何も始まらないと覚悟が決まった瞬間でもありました」と、振り返ります。
 京都では、国際学生を含め外国人に話しかることはほとんどなかったと言う澤出さん。「APUでは、キャンパスやAPハウスでも、なるべく共有スペースに赴き国際学生と交流を深めました」と出会いの大切さを話します。語学で中国語を学んでいたこともあり、APUでは中国語での授業をメインに選択。「最初はヒアリングもままならず大変でしたが、仲間の頑張りに刺激を受け必死で勉強しました。国際学生との会話など実践を通じた語学力向上はもちろん、中国や英語で話しかけることへの抵抗もなくなりました。京都に戻ってからは、キャンパスアジアプログラムで来日する中韓学生のサポーターを務めるなど、どこか吹っ切れ、積極的になったと思います。また、将来の夢のために次年度に、ディズニーランドもある中国・上海への留学を考えるようになりました」と、変化&成長を口にします。
 こうした変化は澤出さんに限ったことではありません。現地で親しくなった国際学生と、帰京後も続けて交流を持ったり、出身国に興味を持ったり、さらに相手に日本の文化を説明したり、日本語を教える経験などを踏まえ、多くの参加学生が「日本の良さ、日本語の美しさを再確認した」「もっと日本の文化を知りたくなった」「京都について勉強したくなった」「将来についてより真剣に考えるようになった」と感想を話します。海外への派遣ではなく募集人数も最大で30人と小規模なため、これまであまり注目されていませんでしたが、参加者の評価の高い同プログラム。きっかけや気付きを得るなどプログラムを通じた学生の変化は大きかったようです。

プログラム参加をきっかけに「語学力の向上はもちろん、積極性など自分を変えることができた」と笑顔で話す澤出さん
プログラム参加をきっかけに「語学力の向上はもちろん、積極性など自分を変えることができた」と笑顔で話す澤出さん
寮での交流の様子
寮での交流の様子

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