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2021.06.03

第31回AJI研究最前線セミナー開催

5月21日(火)、第31回AJI研究最前線セミナーがオンラインで行われた。今回は、Dr. 足立真理(日本学術振興会特別研究員、および立命館大学衣笠研究機構プロジェクト研究員)が“Digital Zakat Payment in Indonesia under the Pandemic: A Preliminary Discussion”と題する発表を行った。報告では、近年、インドネシアにおいてザカート(zakat)の納付のために新たに利用されているデジタル・プラットフォームの事例が取り上げられた。とくに、COVID-19の感染拡大の状況において、そのデジタル・プラットフォームの利用は全体として72%も上昇した。
ザカートは義務的な性質をもつ寄付(喜捨)のことであり、信仰告白・礼拝・断食・巡礼などと並んでイスラム教信仰の5つの支柱の一つに位置づけられる。本報告では、主にインドネシアのデジタル・プラットフォームである「GoPay」を通じたザカートの納付に焦点が当てられた。とはいえ、ザカートのためのそうしたプラットフォームの利用が急速に広がっているが、まだ組織化された段階ではない点も結論において強調された。くわえて、本報告は、社会の発展にとってのオンライン経由での寄付が持つ可能性や、デジタル・プラットフォームには、異なるプラットフォームを組み合わせて利用しやすいという性質がある点も示された。
報告後には、参加者との間で活発な質疑応答が建設的な批判を伴うかたちで行われた。とくに、本報告の研究方法やプラットフォームに関する様々な事例などをめぐって今後検証すべき点に関して行われた意見交換は、本報告の研究テーマの今後のさらなる発展に結びつくものであった。

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発表を行うDr. 足立真理