所長メッセージ

次世代研究大学をめざして、さらなるアジア・日本研究の発展のために。

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アジア・日本研究所長 小杉 泰

 立命館大学は、「学園ビジョンR2030」に基づき、2021年度から研究高度化第4期中期計画(5カ年)を実施しています。「次世代研究大学」をめざして研究活動をいっそう発展させ、「アジア太平洋」に位置する大学としてグローバル社会への貢献度を高めていくことをめざしています。

 立命館アジア・日本研究機構と、その傘下の立命館大学アジア・日本研究所は、2015年12月に設置され、「アジアの時代」に資する立命館大学らしいコンセプトと戦略性を兼ね備えた研究の推進や、国内外に向けた成果発信の実現に向けて尽力してきました。

 本研究所はこれからも、自然科学・人文科学・社会科学の各分野における発展と、諸分野を架橋し融合する学際的研究を推進し、新しい価値を創造するような、挑戦的かつ独創的な知の創造拠点として、アジアに基軸をおいた、新たなアジア研究、アジア・日本研究の可能性を追求してゆきます。

 すでに、2016年開始されたアジア・日本研究推進プログラムでは、「共生」「共創」「協働」の3分野で合計27のプロジェクトが採択され、現在も9プロジェクトが精力的な研究活動を展開しています。

 国際連携の一環として、アジアや太平洋地域のさまざまな大学、研究機関との連携もおこなっています。さらに、グローバルな多言語政策提言フォーラム「Meridian180」にも2018~2023年の間、集中的に参加して、英語とアジア3言語による「多言語フォーラム」を毎年、主宰しました。2022年7月には、その成果の1つとしてe-book のCity, Public Value, and Capitalism が刊行され、現在も成果発信に取り組んでいます。また、このフォーラムを通じて国際ネットワークが発展したことを踏まえて、アジア・日本グローバル・フォーラムをこれから発足させる予定です。

 若手研究者の育成も、本研究所が力を入れているところです。その一環として、2018年には、「英語論文執筆サポートプログラム」、2019年には「キャリアパス形成力開発プログラム」、2021年には「次世代研究者育成プログラム」が開始されました。それ以降、毎年、若手研究者を支援して、若手が企画・運営するたくさんのワークショップを開催しています。現代では、研究者は研究・教育に貢献するのみならず、国際研究集会の企画・開催など、研究活動を活発化することに貢献しなければなりません。その面でも若手研究者が技量を備えて成長してグローバルな成果発信に参画できるように、丁寧なサポートを提供しています。

 グローバル化と国際発信を強化するために、英文学術誌の刊行にも力を入れています。2024年には英文ジャーナル『Journal of the Asia-Japan Research Institute of Ritsumeikan University』第6号を刊行、「投稿を随時受け付け、査読が終了次第掲載」という今風なスタイルのオンライン英文ブレティン『AJI Academic e-Bulletin』も第5号を刊行中です。充実した書評が評判となっている和文学術誌の『立命館アジア・日本研究学術年報』第5号も刊行されました。英文を主体とするAJI Booksシリーズも、創刊3年半で10冊を超えました。

 2019年12月末から2023年までのコロナ禍で、世界中の研究・教育が大きな影響を受けましたが、その困難を乗り越えるべく、提携・連携する国外の大学や研究機関との協力と研究のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によって、新しい研究作法の開発にも努めてきました。新しい形の研究やグローバルな交流、成果発信の作法は、今後も開発を促進すべき重要な柱となっています。そこで、研究成果を発信する「新形態」として、2023年にオンライン版『アジア・マップ:アジア・日本研究Webマガジン』を創刊したところ、各方面から非常に好評を得て、勇気づけられています。

アジア・日本研究のさらなる発展を期す、今後の研究活動の展開にご期待ください。是非とも、皆さまのご支援とご鞭撻を賜りたく存じます。

(2024年10月)