英語論文執筆サポートプログラム

本研究所では、2018年度以来、若手研究者の英語論文執筆を支援するためのプログラムを実施して、好評を得ています。

自然科学系、人文・社会科学系を問わず、研究対象が「アジア」「日本」「アジア・日本」などと関係していれば、学内の方はどなたでも参加できます。

日程は、『AJI Journal』、『Asia-Japan Research Bulletin』の公募・締切に合わせて、設定しています。

英語ネイティブでない皆さまは、英語で論文をお書きになる時、文法チェックなどを専門の会社などに依頼していると思いますが、このプログラムは、文法的なチェックをおこなうだけではありません。ガイダンス、ワークショップでは英語で学術的に書くことの基本を学び、各自のチュートリアル(個人面談)では、学術論文にふわさしい表現や論理構造、国際的に発表する際に必要とされる明晰さや訴求力といった部分にも踏み込んで、アドバイスをおこないます。

そのためチュートリアルでは、英語と日本語を使用して、十分に学術的な対話ができるようにしています。

プログラム責任者のアンソニー・ブルワー先生は、マスメディアなどだけではなく、研究者の学術的な論文等の英文校閲に30年以上も従事してきた英語学の専門家で、これまでも京都大学、大阪大学、同志社大学、明治大学等でも、学術論文の校閲や指導をおこなってきました。

加えて、プログラムの開始当初よりコーディネーターとして運営を支え、ブルワー先生と共に論文指導に携わっているのがハシャン・アンマール先生です。ハシャン先生は、外国人留学生等に対する豊富な英語指導経験と、学術活動に必要な高度な日本語運用能力を併せ持ち、日英両言語での指導・助言が可能です。チュートリアルではブルワー先生の指導を補佐する形で、特に日本人参加者には日本語での懇切な解説を加え、政治・経済・社会から国際関係に至る広い分野で、英語での表現や構成に関する理解を深めるサポートをしています。

これまでのプログラム参加者からは、「懇切丁寧なアドバイスがありがたかった」「国際的な論文の書き方のポイントがわかり、とても有益でした」「何度でも直していただけるので、助かった」「次第に上達して、英文執筆に自信がついた」など、好評を得ています。

本プログラムは、今年12月までに質の高い学術論文を一本完成させることを目指して、強い意思を持つ研究者のために向けています。

AI時代の今だからこそ、本プログラムで指導と助言を担当する先生との「対話」が大きな価値を持っています。

最近、AIを執筆支援に活用する研究者が増えています。AIは文法チェックや言い換え提案など、表層的な作業には役立つかもしれません。しかし、AIには決して提供できない次元に、本プログラムならではの価値があります。それは、執筆の入口から出口まで一貫した学術的サポート、論文の研究内容を世界に発信するための戦略的アドバイス、そして未着手でも(研究データさえあれば)論文を完成まで導く継続的なメンターシップです。

アジア・日本研究所の英語論文サポートプログラムは、単なる英文校閲ではありません。以下の能力を段階的に養うために、体系的な指導・助言システムを実施しています。

1. 世界に通用する、力強い学術的論理を構築する力
2. 国際的な読者を惹きつけ、内容を的確に伝える執筆力
3. 海外の学術や読者が何を求めているかを理解する力
4. 英語力だけでなく、論理の一貫性や説得力を高めるためのフィードバックを受けながら、論文を磨く力

たとえ執筆が未着手の段階でも、12月の最終稿提出まで、経験豊富なチューターが一人ひとりの進捗に合わせて執筆サポートを実施します。最終的に、執筆いただく論文は厳密な査読をおこなっている『AJI Journal』または『Asia-Japan Research Bulletin』への投稿基準を満たすレベルに達することが目標です。

AIが提示する画一的な提案とは異なり、本プログラムは、人間同士の対話、専門分野に応じた個別指導、そして長年の学術出版経験に裏打ちされたメンターシップを通して、参加者の皆さまの研究を実り豊かな学術的成果へと導くことを目指しています。

皆さまの申込みをお待ちしています。

プログラム責任者のブルワー先生のインタビュー

2025年度のプログラム
AJI Journal』次号(Vol.8)および『Asia-Japan Research Academic Bulletin』次号(Vol.7)への投稿をめざして2025年7月7日から開催です。今年もオンライン面談方式ですので、各キャンパスから参加しやすくなっています。