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2021.07.08

第33回AJI研究最前線セミナー開催

 6月8日(火)、第33回AJI研究最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、Dr.向静静(立命館大学立命館アジア・日本研究機構・専門研究員)が「近世日本の疫病と『傷寒論』」と題する報告を日本語で行いました。Dr.向は、日本と中国の医学思想史を専門としており、とくに中国後漢時代に張仲景(150~219)が編纂した『傷寒論』に関して、近世中期と後期の日本の医学者がいかにそれを受容したのかに焦点を合わせた研究を行っています。本発表では、主に18世紀前半の江戸時代の日本における医学者たちがいかに『傷寒論』を研究し、当時の麻疹への対処法として応用したのかについて、歴史的考証に基づいた刺激的な研究内容が示されました。結果として、日本医学思想史におけるオランダ医学の影響以前の具体像の構築にとって、非常に示唆に富む報告となりました。質疑応答では、日本にはじめて『傷寒論』が伝えられた鎌倉時代から『傷寒論』の研究が盛んとなった18世紀の間に存在する大きな時間的な空白、日本医学思想史全体における『傷寒論』の受容の明確な位置づけなどをめぐって有意義な意見交換が行われました。

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発表を行うDr.向静静