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2021.07.30

第35回AJI 研究最前線セミナー開催

 2021年7月13日(火)、第35回AJI最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、レスエロ・マージョリー氏(立命館大学アジア日本研究所・研究員)が“The Contribution of Private Enterprise to Local Disaster Management and Local Economic Development in the Philippines”と題する発表を英語で行いました。マージョリー氏は、大規模な災害を引き起こす台風が頻繁に発生するアジア太平洋地域におけるローカルな災害管理に関する研究を実証的に行っています。

 今回の発表は、フィリピンにおける地域的な災害管理を主題として、レイテ州内にあるタクロバンとオルモックの2つの港湾都市を事例として取り上げました。両都市は、2013年11月に発生した台風ハイエン(Haiyan)によって甚大な被害を受けました。発表では、一方でタクロバンは台風によって地域生活のパフォーマンスが著しく低下したが、オルモックのその低下率はきわめて小さく、それだけ回復力も早いという事実が詳細なデータとともに示されました。マージョリー氏は、何がこうした違いを生むのかという非常に興味深い問いについて、各都市における災害に強い都市づくりに対する私企業の貢献度の違いという観点からアプローチすることで、オルモックにおける私企業と地方行政との緊密な信頼関係の構築が災害管理にとって重要であることを明らかにしました。質疑応答では、参加者から、どのプライヴェートな業種が災害管理にとって重要な役割を果たしているか、私企業に対する地方政治の積極的役割の有無などの多様な論点について、活発な意見交換が行われました。

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発表を行うマージョリー氏

過去のAJI最前線セミナーについては以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/young_researcher/seminar/archive/