NEWS

2020.09.29

第22回AJI 研究最前線セミナー開催

 2020年9月15日(火)、第22回AJI最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、Dr.桐原翠(日本学術振興会特別研究員(PD)、立命館大学衣笠総合研究機構プロジェクト研究員)が「ハラール・ブランディングとイスラーム法の日常規範化について」と題する非常に興味深い発表を行いました。Dr.桐原は、現代のマレーシア社会の経済発展がもたらす消費文化や食生活の変容の観点から、イスラームにおけるハラールの宗教的規範が果たす社会的機能の変容過程に関する研究をしています。

 今回の発表では、マレーシアにおけるハラール認証制度の現状を概観した後、他民族国家としてのマレーシアのなかでのマレー人の中産階級化の過程に焦点が当てられ、それによってムスリムの人びとの間で都市部での消費を通じた食生活が生じたことが詳細な統計とともに示されました。こうした社会経済の変容とともに、たとえば、KFCのようなファストフードへの人気が高まり、それとともに企業側もハラールをブランディング戦略として積極的に活用するようになりました。発表後は、宗教的規範と消費文化がダイナミックに絡まり合うという視点が、マレーシアを超えてどのように広がりを持つのかに関して活発な議論が行われました。

2020_09_29
発表を行うDr.桐原翠