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2020.03.01

第14回AJI 研究最前線セミナー開催

 2020年2月18日、第14回AJI 研究最前線セミナーを開催しました。今回は、Dr.足立真理(京都大学東南アジア研究センター研究員)が「The Traditional Role of Zakat and its Adaptation to a Modern Institution in Contemporary Indonesia」と題して非常に興味深い発表を行いました。まず、Dr.足立は、20世紀後半におけるザカートとその実践について紹介し、インドネシアのザカート法では、ザカート基金が貧困層の基本的ニーズを満たした後、貧困の緩和と生活の質の改善のための生産活動に利用可能であると規定されている点を指摘しました。さらに、東ジャワ州マラン市におけるザカート組織とザカート・ファンドBAZNAS設立後の進展に関する研究についても言及されました。制度の近代化を通じて、正規労働者の給与から毎年または毎月徴収されるザカートが金融化されたことで、公的および草の根のザカート組織が安定した生活費の維持のために分配される消費的ザカートと経済的な独立を目指す受給者に無利子の融資を提供する生産的ザカートを実施することができるようになったことが説明されました。インドネシアにおけるこのようなザカート基金の活用は、社会・経済格差に対する認識を高め、持続可能な開発を支援するよう企業に圧力をかけています。Dr.足立の有意義なプレゼンテーションの後、活発な質疑応答が行われ、ザカートの経済における役割に関連する基本的かつ実践的な問題について議論が行われました。

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発表を行うDr.足立真理