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2022.06.29

【レポート】第45回AJI研究最前線セミナーを開催しました!Dr. 張家豪(ZHANG Jiahao)が地域活性化のための政策モデルについて発表

 6月14日(火)、第45回AJI研究最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、Dr.張家豪(ZHANG Jiahao, Senior Researcher at Asia-Japan Research Organization, Ritsumeikan University)が“Evaluating the Potential of Regional Attributes to Attract New Talent: An Application of Conjoint Analysis on Graduates, Entrepreneurs and Tourists” と題して、地域の経済成長力を評価する研究について報告しました。

 Dr.張は、地域が有する潜在的な力を浮き彫りにするために、将来的な発展に最も貢献すると考えられる3つのグループを卒業生、企業家、観光客に見出しています。次に、コンジョイント分析という伝統的な手法を用いて、ある地域が以上の3つのグループにとって魅力的になる属性をランク付けしていきます。そのような属性を探り当てるためには、多くの属性に関するアンケートを回答者から収集し、そのうえでデータを整理・評価していく必要があるということも説明されました。これには非常に時間がかかります。そのため、Dr.張は、この分析のためにBaiduのビッグデータ(検索数・クリック数)を使用して、実証研究で使用するためのランク付けと選択を行ったことも指摘しました。

 Dr.張の発表では、こうしたアンケートデータの分析を通して、都市の水環境が卒業生にとっても最も重要度の高い環境属性の一つであること、住民の一人当たりの預金と政府資金の規模が中小企業経営者と大企業経営者にとって非常に重要であること、また、観光客のソーシャルメディア活用の分析を通して策定された政策は、観光客の買い物体験の改善に対して効果的であることなどが示されました。結論としては、これらの重要度の高い属性に着目することは、地方行政の支出決定にとって有効であることが強調されました。

質疑応答のパートでは、Dr.張がなぜ先述の3つのグループを取り上げたのか、なぜ事前調査に大量のサンプルデータを使

 用したのか、また、コンジョイント分析を採用した理由など、多くの質問と意見交換が熱心に行われました。Dr.張は、その方法論を採用することで、実証がより簡単になり、かなりの時間を節約できたことを強調しました。結果として、参加者は、非常に綿密で興味深いDr.張のプレゼンテーションから多くの有益な視点を学ぶことができました。

張さん45thフロンティアセミナ
Dr. Zhang presenting his research