NEWS

2023.01.19

【Report】第50回AJI研究最前線セミナーを開催しました!Dr. Mufidah Afiyantiが “Regulation of Antioxidants and Nitric Oxide in Plants and Their Application to the Development of Organic Pesticides”について発表

 2022年12月13日(火)、第50回AJI研究最前線セミナーをオンラインで開催しました。今回は、Dr. Mufidah Afiyanti(立命館アジア・日本研究機構 専門研究員)が “Regulation of Antioxidants and Nitric Oxide in Plants and Their Application to the Development of Organic Pesticides”というタイトルのもとで、有機農薬の開発という重要なテーマについて英語で発表しました。 Dr.Mufidahは、土壌の塩分濃度、干ばつ、風、極端な温度、重金属、浸水、攻撃的な雑草などの様々な種類の非生物的および生物的ストレス要因と、植物を攻撃する細菌、菌類、線虫などの植物病原菌が、植物の成長、生産性、栽培作物の品質を低下させるという事実を指摘することから報告を始めました。

 一酸化窒素(nitric oxide)は、植物細胞の調節し、それゆえに、植物の成長・発達・適応過程にとって重要なものであり、この過程のなかで酸化防止剤は、植物が変化する環境条件に対応することで植物が被る様々なストレスによる細胞の損傷を防ぐ効果があります。また、このとき、AsA-GSH回路は、主要な抗酸化防御経路であり、植物細胞はこの回路を通じて解毒する。

 Dr.Mufidahの研究は、管理が容易で、かつ、環境への毒性を最小限に抑えることができる植物ベースの除草剤の開発に焦点を当てていますが、生育地・気候・収穫パターンの変動などによってその標準化には困難が伴います。彼女によれば、一酸化窒素と酸化防止剤に関する調査が不足しており、研究はまだ進行中であるが、化学農薬による植物の被害を減らし、気候変動が引き起こす被害に対して作物を強化することが期待されています。こうした背景をもとに、Dr.Mufidahは、農家が有害な化学農薬や除草剤の使用から、より環境に優しい有機製品へと切り替えるのを促進するために、具体的な科学的証明を提供することを目指すものです。彼女のプレゼンテーションは非常に専門的かつ科学的なものですが、スライドのなかで複雑な化学プロセスを明確に理解可能な図とともに示すものでした。

 Q&Aでは、参加者からいくつかの質問とコメントが投げかけられました。このなかで、例えば、滋賀県の稲作農家の中には、すでに環境に配慮した農薬や除草剤の実験を行っている農家があることが示されました。また、雑草に対処するには、機械的プロセスと生物学的プロセスまたは化学的プロセスを組み合わせて行うことが最も適切な方法であることも議論を通じて共有することができました。さらに、化学肥料や農薬を使わざるを得ない状況が広がっている日本で、まだあまり実績のない有機農法に抵抗がある有機農法をどのように普及させるかという重要な問題提起も参加者の間で共有されました。これに対して、Dr. Mufidahは、より環境に優しい方法を推進する最善の方法は、植物由来の成長促進剤や除草剤がより効果的で、より安価で、より安全であることを明確に証明することであると応答しました。Dr. Mufidahの研究は、これからの持続可能な農業開発にとって非常に重要なものとなるでしょう。

プレゼンテーションを行うDr. Mufidah
プレゼンテーションを行うDr. Mufidah