立命館大学 経営学部

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岸田 未来教授

Miki Kishida

研究分野
北欧諸国を対象に日本との働き方の違いとその背景を考える
主な担当科目
企業論、比較企業論
Q1
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
私は北欧(主にスウェーデン)を主な対象として、コーポレート・ガバナンスや人事労務管理、労使関係などに関する比較研究を行っています。日本では2020年から「同一労働同一賃金」政策が導入され、ようやく正規雇用者と非正規雇用者(パート・派遣社員など)の待遇面での格差是正が始まったばかりです。これら政策のモデルとされているのは北欧や欧州諸国の雇用システムなのですが、これら諸国の雇用システムについては、どのような経済的条件や労使関係の中で成り立っており、また維持されてきたのかについてはあまり知られていません。私は日瑞(スウェーデン)の企業経営の特徴を、これら諸制度とのかかわりで明らかとすることを目的に研究をしています。また自分の研究を通じて、今後の日本においてどのように「働き方」を変えてゆけば、真のワーク・ライフ・バランスが実現できる社会となるのかを考えています。
Q2
どんな学生時代を送っていましたか。
学生時代の中で今の自分にとってとりわけ大事だったと思うことは、「人との出会い」と「本との出会い」です。大学4年間を通じて学術系のサークルに所属し、そこで多くの先輩や後輩、教員の方々と交流する機会を得ました。高校までとは異なり、価値観を異にする者同士でも、お互いに議論を通じて相手の存在を認め合うことが出来るという環境が非常に新鮮で、色々な人たちから刺激を受けました。また、高校までは小説やルポルタージュなどのジャンルの本ばかりを読んでいましたが、大学では社会科学の本を読むようになり、それによって自分の視野が大きく広がり、思考方法も変化しました。それまで関心のなかった分野の本を薦めてくれたのも、大学時代の先輩や友人などです。今から大学時代を振り返ると、親の影響力から脱して自分の人生(進路)を自分自身で選択出来るような人間となった、とても大事な時期だったと思います。
Q3
現在の専門分野を志した理由・研究者になったきっかけを教えてください。
研究者になったきっかけは、3回生で進路を考えた時に、4年間ではまだまだ学び足りないと感じたことと、その後の卒業論文で「女性の働き方」をテーマとしたように、今の日本においてもっと女性が社会に出て活躍することが出来るようになるためには何が必要なのかを、研究を通じて明らかにしたい、と考えるようになったためです。大学時代には社会学を専攻していましたが、大学の講義やゼミで学ぶなかで、自分の関心には社会学よりも経済学のほうがあっているのでは、と感じるようになり、大学院では経済学へと専門分野を変更しました。研究対象に北欧を選んだ理由は、日本社会のあり方とその成り立ちをより客観的にとらえるには、諸外国との比較が有効なのではないかと思ったのと、いわゆる「福祉国家」で知られている国で、社会制度と企業システムがどのように組み合わされているのか、ということに興味関心を持ったからです。
Q4
高校生へメッセージをお願いします。
高校生の皆さんは、大学に入ってやってみたいことをあれこれと思い巡らせているかと思います。私は高校までの学校教育を非常に窮屈だと感じていたので、大学入学前には、授業では自分の興味あるテーマを選んで学び、学生生活においても今までに経験したことのないようなことにあれこれチャレンジしたい、と大きく期待していました。それと同時に、自分の自由(選択)に任されることになる大学生活の中で、人間関係なども果たして上手くやっていけるのだろうか、と不安にも思っていました。大学時代は、人生の中でも自分の可能性を自由に追求できる、またとない特別な時期です。二度とないチャンスとってもよいかもしれません。期待も不安も入り交じって色々な思いがあるでしょうが、何事にも受け身とならず、大胆に自分からチャレンジしてゆく姿勢が、きっと皆さんの将来の可能性を広げることにつながると思います。

■おすすめの書籍や映画

城山三郎(1976)『雄気堂々』新潮文庫
ブレディみかこ(2017)『子どもたちの階級闘争-ブロークン・ブリテンの無料託児所から』みすず書房


■関連リンク

研究者学術情報データベース (ritsumei.ac.jp)