立命館大学 経営学部

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田中 力教授

Tsutomu Tanaka

研究分野
衣食住に関わる統計データの分析をもとに、都市と地方の連携のありかたを探求
主な担当科目
基礎統計、統計学(一般教養)、経営統計論
Q1
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
統計学の方法論と統計データを用いた地域分析を行っている。とくに衣食住や土地・住宅の分野に着目して、環境と人間にやさしい都市と地方の連携のありかたを探求している。統計学の方法としては、皆さんが数学IやBで学ぶ、データ分析や確率統計を深めた、記述統計、推測統計や多変量解析を援用し、特に、エンゲル係数やジニ係数やといった大陸派数理統計学の記述統計的手法を用いて、公的統計データ分析し、社会の様々な問題にアプローチしている。
とくに、都市と地方の連携として、里山の再生に注目。環境や健康にやさしいライフスタイルを再構築するうえで、小規模な家族農業や都市生活者の家庭菜園の役割が大きく、里山はその舞台となりうると考えている。単に、経済的、生態系的側面だけでなく、文化的側面にも着目することによって、生活と芸術、文化全般にわたるオールタナティブを提案できるのではないか。その現状と可能性を、統計データに基づき客観的に分析すること。
Q2
どんな学生時代を送っていましたか。
地方の国立大学、和歌山大学の経済学部に通う自宅生で、悶々とした日々を送っていた。バラ色の高校生活(生意気盛りで読書や諸々のアクティビティに参加)を送っていた結果(というか、勉強不足で)、第一志望の大学には入れず、身を置いた経済学部で都合6年間在籍。
今の学生と違って、講義にはあまり出ず、空いてる時間は図書館で科学論や経済学関係の本を読んでいた。資本論研究会というサークルや所属ゼミから、インターゼミナール大会や関西ブロックゼミナールに参加。日本経済論の分科会で対戦した、立命館大学の高内ゼミやマル経研の連中にコテンパンに論駁された苦い経験がある。
Q3
現在の専門分野を志した理由・研究者になったきっかけを教えてください。
ドイツ語の外書購読(山田良治先生)で資本論第三巻の地代論を読むというのがあって、興味があり出てみると受講生は1人。教室から喫茶店に移動。卒業後の進路に話が及び、院に進学して将来は研究者になりたいというと、京大農学部農林経済教室の吉田忠先生を紹介していただく。授業は、購読はそこそこに、大学院の入試問題の模範解答を作っていき、それに先生がコメントする試験対策講座になった。
吉田先生の著書『農産物の流通』を読み、大学院を受験したいと手紙を書いた。後日、「ゼミナールに出てみるか」、と電話をいただき、研究室を訪問。「君は、統計学をやってみる気はあるか」と聞かれ、数学が好きだったので、「はい」と答えると、蜷川虎三『統計学概論』や足利末男といった社会統計学派の文献リストを示され、これらを入学までに読んでくるようにと指示。大学院入試は無事合格し、農業統計を研究することになった。修士論文は、「米生産費調査の展開過程」というテーマで米価政策と米生産費調査の利用との関係を歴史的に分析するものだ。博士課程に入って、経済統計学会に所属し、当時の若手で『統計ガイドブック』を執筆。他方で和歌山大学のゼミの指導教官の大泉英次先生らと土地問題の研究会で『戦後日本の土地問題』という本を出した。そして、1990年に、浦田直美先生の後任として、本学経営学部に就職することになった。
Q4
高校生へメッセージをお願いします。
学校の授業を大切にし、全力で取り組んでみよう。地方の高校にいると、学校で使ってる教科書や先生方の授業が平凡なものに思えて、難解な参考書や大手予備校のカリスマ教師をありがたがりがちだが、そうしたものに振り回されて、日々の勉強をおろそかにするのは愚かなことだ。「青い鳥」は君の目の前にいる。
数学でいえば、チャート式の解答を暗記する前に、教科書を徹底的にマスターすることを心掛けてほしい。ノートをとりながら、考えて、読み込むのである。その上で、入試問題に挑戦すれば、案外、自力で解けることがわかるだろう。 大学入学後、経営学部で学ぶ基礎統計や経営統計論では、文系だから数学IAIIBだけでOKということはなく、数IIIや理工学部で習う微積分や線形代数も容赦なく出てくる。与えられたデータと統計ソフトがあれば、数式をすっ飛ばしても、計算結果は出るが、それをどう解釈し、何を導くかは、数学的な論理の理解が決め手になる。
もう一つは、何にでも興味を持って、幅広い読書をしてほしいということだ。まずは、国語の教科書や模擬試験、志望校の過去問に出てきた文章の作者の作品を読んでみるとよい。あとは芋づる式で、風の向くまま、気の向くままに。

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徒然草


■関連リンク

研究者学術情報データベース (ritsumei.ac.jp)

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https://www.facebook.com/sodateru.satoyama 育てる里山プロジェクトの代表をしています。市民、学生、教職員が共同してOIC内に雑木林をつくるプロジェクトです。