立命館大学 経営学部

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土橋 力也教授

Rikiya Tsuchihashi

研究分野
経営戦略、とくにプラットフォーム企業の競争戦略
主な担当科目
経営戦略論、戦略経営論
Q1
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
プラットフォーム企業の競争戦略を研究しています。とくに、PF企業がどのような戦略でなぜ成功しているのかに関心があります。プラットフォーム(PF)とは、AppleやYoutube、メルカリなどの「異なる2つのユーザーを結びつけて価値を提供するサービス」を意味します。Youtubeでは動画の作り手と視聴者を結びつけ、メルカリでは売り手と買い手を結びつけています。
PF企業は家電や車を作っている伝統的な企業とは異なった戦略が求められます。自動車会社はタダで車を提供しない一方で、なぜタダでYoutubeが見られるのでしょうか?自動車を作っているのは自動車会社の従業員である一方で、なぜYoutubeでは自社の従業員ではなく一般人が動画を作っているのでしょうか?
このような価格づけやユーザーのマネジメントの方法など、PF企業には特徴的な点が多々あります。それらが競争優位の構築にどう影響するのかを様々な企業の事例をもとに分析しています。
Q2
どんな学生時代を送っていましたか。
大学時代はヨット部に所属していました。大学では何か新しいことをしたいと思っていたときに、キャンパス内で先輩に声を掛けてもらいヨットを始めました。あの時の先輩との出会いが、私の大学生活を大きく方向付けました。今でもそのときの光景をはっきりと思い出すことができます。
大学での4年間は、キャンパスにいた時間よりも、琵琶湖の上にいた時間の方が長いかもしれません。そのくらい、全力で取り組んだと思います。しかし、残念ながら4回生の最後の大会では良い成績を残せませんでした。自分なりには一生懸命練習したつもりでしたが、それが競技の難しいところです。
ただ、それでも仲間と共に過ごした4年間は、自分にとってかけがいのないものになっています。卒業してからもずっとその仲間との関係性は続いています。私をヨット部に誘ってくれた先輩とは、今も家族ぐるみの付き合いです。
Q3
現在の専門分野を志した理由・研究者になったきっかけを教えてください。
研究者になろうと思ったのは、大学院に入ってからです。大学院に入って修士1年目の前期に経営戦略論の授業を受講しました。そこでは、トップジャーナルに掲載されている英語論文を毎週2本読んでその内容を要約し、批評する、ということが課題でした。英語論文には学部時代にはほとんど触れたことがなかったので、図書館にこもって辞書を引きながら何度も読みました。その難解さに、「これが学問か!」と強い衝撃をうけたと同時に、学問の面白さに触れました。それがきっかけだったと思います。
研究者の良いところは、自分の好きなテーマに好きなだけ取り組めるところです。逆に言えば、誰かにテーマを与えられる訳ではないので、自分で考えなければなりません。自分の内側から湧き上がってくる探究心と、実際の社会で起こっている経営現象を擦り合わせて、論文という一つの「世界」に落とし込んでいくプロセスに、私は面白さを感じています。
Q4
高校生へメッセージをお願いします。
大学はとても楽しい場所です。それは、自分の好きなことができるからです。勉強や研究、部活にサークル、地域貢献活動や留学など、可能性はいくらでもあります。そして、それをサポートしてくれる教職員や、一緒に向き合ってくれる仲間がたくさんいます。
ただし、大学が提供するのはあくまで「場所」です。自分から出会いを求め、踏み出さなければ何も始まりません。ヨット部の先輩との出会いが、私の大学生活を変えてくれました。大学院での経営戦略論の担当の先生が、学問の面白さを教えてくれました。全ての出会いのなかで自分が進むべき方向を考え、その方向を信じて全力で走ることが大事なのだと思います。

■おすすめの書籍や映画

・高根正昭(1979)「創造の方法学」講談社現代新書.
・クレイトン・クリステンセン(2001)「イノベーションのジレンマ増補改訂版」翔泳社.