立命館大学 経営学部

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東 健太郎教授

Kentaro Azuma

研究分野
社会環境会計論、災害時における企業の役割 、気候変動と企業の情報開示
主な担当科目
環境経営論、企業と会計
Q1
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
企業は、環境を守るために、お金を使うべきでしょうか?
今日では一般に、企業も環境問題に積極的に関与し、その解決に貢献すべきであると、考えられるようになってきました。そのこと自体は、歓迎すべきことでしょう。少し極端な例を想像してみましょう。例えば、ある経営者が、その企業の本来の活動とはかけ離れた、利益を断じて一銭も生まない環境活動に、多額のお金を投じたとします。株主から見ると、そのような経営者の行為は、自分たちが預けたお金を趣味に垂れ流す背任行為とも映るでしょう。環境保全が、社会的には正義の活動であったとしても、それだけでは企業がお金を投じるのに十分な理由とはならないわけです。企業活動である限り、利益を生む必要があります。
しかし、厳密に考えていくと、環境を守ることが、常に利益の「最大化」につながるとは限りません。「少しだけ」利益を犠牲にするが、環境には良い判断もあるでしょう。社会的な正義のために、企業の利益の犠牲は、どこまで許容されうるのでしょうか?
環境や社会にとっての利益と、企業自身の利益の関係を考えること、それが環境経営論です。
Q2
どんな学生時代を送っていましたか。
学生時代の思い出で印象深いのは、大学院生時代の4年間を過ごしたドイツでの生活です。大学の仕組み、学生の気質、教員と学生の関係、日本国内では想像できない違いがあり、とても興味深く、現在の自分に大きな影響を与えていると思います。
当時は必死になって勉強したドイツ語ですが、現在は、ほとんど使う機会もなくなってしまいました。それでも、やはり、若い時に必死になったことは、何らかの形で自分にとって間接的に役に立っていると感じます。
「一見、役に立たないことほど、将来、役に立つことが多いので、学生時代は、役に立つとは思えないことをやるべき」と学生時代にお世話になった先生にも言われたことがあります。今となれば、時間があった学生時代に、「役に立つとは思えないこと」にもっと必死になればよかったなあと思うことがあります。
Q3
現在の専門分野を志した理由・研究者になったきっかけを教えてください。
色々な理由があり、私の場合、一概には言えませんが、今振り返れば、きっかけは人との出会いだと思います。学部、大学院と異なった大学で学びましたが、その度に良い出会いがあり、その結果が、現在の専門分野に繋がっています。
会計学を選んだ理由は、一般に認識されている以上に、社会にとって重要であり、必要不可欠な分野であること。現在の環境経営論について言えば、会計だけでなく、色々な分野の人々が集ういわゆる学際的な分野であり、今後の社会にとっての重要性が魅力と感じたこと。研究者という職業を選んだ理由は、研究というプロセスが、自分で企画し、自分で論文を執筆するという意味で自己完結するやりがいのある仕事であること。外国語の勉強が好きだったので、研究者であれば外国語を活かせるかも、と思ったこと。学生時代の憧れだったドイツに留学したかったこと。
その時々で、いろいろな理由はあるのですが、結局のところ人間が一生に関わる決断をするときにもっとも大事な理由は、人との出会いだと思います。
Q4
高校生へメッセージをお願いします。
「自分が将来やりたいこと、学びたいことがよく分からない」と思うことがあると思います。それは、ある意味では当然のことで、若いみなさんには大きな可能性があるので、高校生の時点で特定の将来や職業を選択するのは、容易なことではありません。
進路に迷っている高校生の皆さんには、将来を限定するのではなく、可能性を広げることを考えて欲しいと思います。特定の職業を想定せず、若者の可能性を広げるための勉強の場を提供することも、大学の1つの役割だと思います。
立命館大学の経営学部では、多種多様な学びが可能であり、事実、卒業生の進路もさまざまです。勉強はもちろん、留学、課外活動など、自分の可能性を広げる活動に打ち込んでください。ぜひキャンパスでお会いしましょう。

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