立命館大学 経営学部

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松浦 総一准教授

Soichi Matsuura

研究分野
仮説を大規模データで統計分析し,会計実務を説明する理論の構築
主な担当科目
会計制度論,企業と会計
Q1
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
企業ブランドと利益調整行動や税負担削減行動の関係についての実証研究を行っています。企業はより多くの利益を獲得するために様々な企業努力を行い,その結果ブランドという目に見えない価値が企業内に蓄積されていきます。そしてそのブランドがさらに企業に大きなリターンをもたらします。しかし,高いブランド価値をもっているが故に,その価値の低下を懸念して,積極的な利益調整や税負担削減行動が行えない,という状況が生じる可能性があります。納税負担を軽減したいが,やり過ぎると企業ブランドが毀損する,という状況です。そこで,会計情報や企業情報を集めて統計分析にかけることにより仮説を検証し,ブランド価値が企業行動に与える影響を分析することで,企業行動のパターンを説明し予測する理論を構築することが現在取り組んでいる研究です。
Q2
どんな学生時代を送っていましたか。
最初はあまり勉強しないサークルとバイト漬けの大学生,しかし心機一転し一日中勉強するようになりました。
最初に入学した大学では経済学部に所属し,理論経済学を専攻していましたが,成績が悪く,一発逆転を狙い2年生から税理士を目指してダブルスクールをしました。競泳サークルで日々平泳ぎを磨いてもいました。しかし,税理士の勉強を進める中で,より深く会計学を勉強したいという思いから,3年次編入により別の大学の経営学部に編入学します。編入後は毎日1限から4限まで授業に出席し,夜は資格の学校に通い,その後に早朝3時までお好み焼き屋でアルバイトをし,少し寝て,また朝9時から授業に出席する,という学生生活でした。たくさん授業に出て,様々な分野の勉強をしたおかげで,卒業に必要な単位を大幅に上回る単位数で卒業できました。ただ大学院に進学してからは,勉強ができることと研究ができることは別物だと知りました。
Q3
現在の専門分野を志した理由・研究者になったきっかけを教えてください。
研究者を目指すきっかけは,指導教員との雑談です。
税理士になるために会計学の勉強を始めたのをきっかけに,当時在籍していた経済学部を退学し,他大学の経営学部に3年次編入し,会計学を専門とするゼミに所属しました。そこで出会った恩師と会計学について議論する中で,資格のための勉強ではなく,研究対象として会計学を深く学びたいと思い,大学院に進学しました。そのときマックス・ヴェーバーの「職業としての学問」についての話を聞き,学者になることを決意しました。大学院では経済学と統計学を用いて行われる会計研究に関心をもつようになり,経営者の利益調整行動の動機や経済的帰結を検証する研究を行い,経営学の博士号を取得し,会計研究者となりました。
Q4
高校生へメッセージをお願いします。
たくさん本を読みましょう。本を読むことで広がる視野と異なる視点は,多様性を受け入れる土壌をつくり,また様々の側面から物事を理解しようとする洞察力を与えてくれます。大学では人種,国籍,性別,言語,宗教,政治について多様な背景をもつ多くの学生,教員,職員が同じ場所で組織を作り上げています。その中で,広い視座と多様な視点をもつことができれば,異なる世界に臆せず飛び込むことができ,また先入観や偏見から友人やあなた自身を守る力となります。SNSやネット上の情報とは違い,時間という「ふるい」にかけられた書籍から得られる知識は貴重です。大学の学びの中で,高度な専門書や論文を読むことができるようになれば,世界の最先端の知識を得ることができます。

■おすすめの書籍や映画

細谷功 著「具体と抽象」dZERO(インプレス)
佐々木彈 著「算数からはじめて一生使える確率・統計」河出書房新社
結城浩 著「数学ガールの秘密ノート やさしい統計」SBクリエイティブ


■関連リンク

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