立命館大学 経営学部

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八重樫 文教授

Kazaru Yaegashi

研究分野
デザインの視点から経営学を捉えた研究
主な担当科目
メディア・デザイン論,デザイン経営論
Q1
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
企業はいま、先の見えない状況に立ち向かうべく、新しい社会を自らの手で作り出すための原動力として「デザインの力」を必要としています。でも、その「デザインの力」って一体何のことでしょう?
絵がうまいことが、「デザインの力」でしょうか? それとも、新しいアイデアをたくさん出せること? みんなが使いやすいものをつくること? ゴミを減らす工夫を提案することでしょうか? 有名なデザイナーをたくさん雇えば、「デザインの力」がある企業となるでしょうか? そもそも「デザインの力」とはデザイナーという特別な人だけが持っているものなのでしょうか? デザイナーではない人々に「デザインの力」は必要ないのでしょうか? ・・・他にもいろいろな「?」が浮かぶでしょう。
この「?」をひとつずつじっくり考えていくのが、僕の研究テーマです。
Q2
どんな学生時代を送っていましたか。
とにかく、本を読みました。
「デザイナーになりたい」と思って美大に入りましたが、そこで実は「デザイナーである」とはどういうことか、をよく考えていなかった自分に気づきました。そこでデザイナーを訪ね歩いた(大学の授業に来る著名デザイナーもたくさんいました)ところ、みな一様に、デザイン以外のこと、さまざまな学問分野や社会事象についてとてもよく知っていることに驚きました。
「デザイナーである」とは、僕が(勝手に)思っていたように、単にデザインを知ればよいことではなかったのです。いや、そもそも僕は「デザイン」の捉え方がとても狭かったのです(さまざまな学問分野や社会事象をよく知ること自体が、デザインをよく知るということだったことに気づくのはだいぶ後のことでした)。
だから、僕はいろいろな学問分野や社会の知識を得ようと、図書館や研究室にこもったり、古本をあさり安く本を得て、とにかく本を読みました。
Q3
現在の専門分野を志した理由・研究者になったきっかけを教えてください。
デザイナーになりたいと思って、デザイナーになってみたら、当たり前ですが、まわりはみんなデザイナーでした。僕はまわりとの差別化のために、デザイナーを選んだはずだったのに、それがまわりと同質化する結果になってしまった。僕はそのことに大きな危惧を覚えました。まわりと一緒のことをするのはつまらない、このままではまずい、と。 だからそこで、「何をデザインするか」、つまりデザインの対象によって差別化をしようと考え、今に至っています。そう、「デザインという行為」や「デザインの意味」自体をデザインできないだろうか、と。今は研究者ですが、まだデザイナーでもあると思っています。ただ、グラフィックやプロダクトをデザインするデザイナーではなく、「デザイン」をデザインするデザイナーです。
Q4
高校生へメッセージをお願いします。
アドバイスやオススメという一見親身なすがたを装って、あなたが考えを巡らせ試行錯誤する一番楽しい時を奪い、画一的な考えを強制してくる世の中に負けないよう、「自分がどう思うか」「自分であること」をどうか大切にしてほしいと思います。他者のものさしで自分は測れません。
自分の身に起こるさまざまなできごとについて、自分にとってどんな意味があるか、その意味づけの判断基準=ものさしを自分でしっかり持つことができれば、他者に流されない自分の人生が拓けるでしょう。
それがまさに自分の人生をデザインする、ということです。

■おすすめの書籍や映画

向井周太郎『デザイン学』(武蔵野美術大学出版局),アリス・ローソーン『姿勢としてのデザイン』(フィルムアート社),松岡正剛『デザイン知』(角川ソフィア文庫)


■関連リンク

研究者学術情報データベース (ritsumei.ac.jp)

立命館大学DML (Design Management Lab)