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2015年11月のニュース
2015.11.27
2015/11/06 本研究科特任助教・大塚光雄先生の研究が「PLoS ONE」に原著論文として掲載されました.
本研究科 特任助教・大塚光雄先生が,本研究科教授・伊坂忠夫先生,助教・栗原俊之先生との共同研究の上, その研究内容がPLoS ONEに原著論文として掲載されました.この短距離走選手を対象とした研究では,左右の足の間隔を広げたクラウチング姿勢がその後のスタートダッシュのパフォーマンスに与えた影響が検討されました.その結果,両脚でスターティングブロックをキックする動作局面では,足の間隔を広げた試技において股関節の伸展パワーが有意に向上したものの,その後の動作局面では,そのパフォーマンス向上に個人差があることが明らかとなりました.
Otsuka M., Kurihara T., Isaka T. (2015) Effect of a wide stance on block start performance in sprint running. PLoS ONE, 1-13.
2015.11.25
2015/11/25 第21回 NS研αが開催されました。
当日は、小林吉之先生(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人間情報研究部門 デジタルヒューマン研究グループ 主任研究員)が、「産総研DHRGにおける人のロコモーションに関する研究-高齢者の転倒リスク評価を中心に-」のタイトルで、発表されました。
小林先生のご研究は、200数名におよぶ被験者の歩行動作の解析から転倒リスクに関連する歩行動作の特徴を見出し、その特徴を活かした歩行特徴評価装置を開発するというもので、研究成果を企業との連携を通じて広く社会に普及して役立てようとしています。
研究成果を社会に還元しようとするその姿勢は、スポーツ健康科学部が目標としているものでもあり、歩行研究や転倒予防の研究を行っている教員・院生から活発な質疑応答が交わされました。
2015.11.19
本研究科博士課程後期課程1回生の 長谷川 夏輝さんが本研究科教授、家光素行先生と共同で取り組んだ研究が、「American Journal of Hypertension」に原著論文として掲載されました。
この研究論文では、骨格筋細胞内に蓄積する脂肪であるIMCLおよび骨格筋細胞外に蓄積する脂肪であるEMCLと動脈硬化度との間に関連性が認められ、その関連性は年齢や性別によって異なり、特に中高齢の女性においてIMCL含有量の低下やEMCL含有量の増加が動脈硬化リスクの増大に関与していることを明らかにしました。
Hasegawa N, Kurihara T, Sato K, Homma T, Fujie S, Fujita S, Sanada K, Hamaoka T, Iemitsu M. Intramyocellular and Extramyocellular Lipids Are Associated With Arterial Stiffness. Am J Hypertens 28(12):1473-1479, 2015.
2015.11.19
2015/11/06 本研究科特任助教・大塚光雄先生の研究が「Biomedical Human Kinetics」に原著論文として掲載されました.
特任助教・大塚光雄先生が,本校スポーツ健康科学部研究科教授・大友智先生,教授・伊坂忠夫先生,助教・栗原俊之先生,東大阪市立池島中学校の阿久津千尋先生との共同研究の上, その研究内容がBiomedical Human Kineticsに原著論文として掲載されました.この学校体育における中学生を対象とした研究では,スポーツバイオメカニクスの知見に基づき,高いハードルを跳び越えることを学習内容として定めた教材「ハイジャンハードル走」の有効性が検討されました.その結果,一般的に用いられている教材と比較して,ハイジャンハードル走を用いた実験的な単元では,走・跳を繰り返す基本的運動能力が身につくだけでなく,ハードル走の記録も有意に向上することが明らかとなりました.
Otsuka M., Otomo S., Isaka T., Kurihara T., Isaka T. (2015) Teaching material based on biomechanical evidence: ‘high-jump hurdles’ for improving fundamental motor skills. Biomedical Human Kinetics, 7: 147-155.
2015.11.06
2015/10/29 国立スポーツ科学センター 稲葉優希先生のキャリアを話して頂きました。
大 学院前期課程1回生の必修科目に、キャリア形成科目として、『スポーツ健康科学キャリアプロジェクト』があります。大学院の前期課程では、高度な「研究 力」「発進力」を習得します。同時に、自らの研究だけでなく、隣接する分野の理解ももって総合的、学際的にアイデアを練る力もつけていきます。
この『スポーツ健康科学キャリアプロジェクト』では、自らの将来のキャリアを見通すために、①キャリアについて自ら学ぶ、②ゲストピーカーのキャリアを参照する、③自らの研究を話す、④10年後のキャリアをGROWモデルにまとめる、ということを行っています。
今回は、ゲストスピーカーとして、国立スポーツ科学センターの稲葉優希先生をお招きして、②の観点で話を聴き、整理し、自らのキャリアの参考にする、という授業を行いました。
稲葉先生は、高校を卒業後に、アメリカの大学に進学し、そこでGoal(目標)スポーツ科学関連の仕事がしたいという目標を立て、Reality(現状)スポーツ科学を広く学び、Option(選択肢)アメリカに残る、日本に戻る、Will(意志)日本を強くすることに貢献したい、とGROWモデルを回した結果、日本の大学院へ進学することになりました。
大学院では、オリンピックを目指すアスリートのサポートをしたいという目標(国立スポーツ科学センターで働きたい)をたてて、博士の学位とり、科学者としてアスリートのサポートをするという目標を達成され、現職につながっています。
現在の仕事も含めて、今後も「研究で競技力向上に貢献すること」「科学を現場に振動させる」ことを目標に掲げて、そのために、①とにかく引き受ける、②新しいことを提案する、③コミュニケーションをとる、④失敗したら改善する、⑤相手がどう感じるかを考える、ということをさらに磨いていきたいと締めくくって頂きました。
大学院生からも活発な質問があり、その後のグループワークで、「明確な目標」「ぶれない軸」「探求心」「準備」「行動力」「決断力」「コミュニケーション」というキーワードが共有され、今後の院生のキャリアにとって強い刺激と深い理解が促進された授業となりました。
2015.11.05
2015/11/05 宮尾夏姫先生のキャリアを話して頂きました。
大学院前期課程『スポーツ健康科学キャリアプロジェクト』のゲスト講師として宮尾夏姫(みやお なつき)先生を迎えてお話ししてもらいました。現在は、本学大学院スポーツ健康科学研究科博士後期課程の大学院生ですが、現場の高校教員、大学教員を経て、現在の所属になるまでを、「スマイル」、「パワフル」、「くまモン」、「よく迷う」、をキーワードにして、分かりやすくお話しして頂きました。特に、「よく迷う」というところで、キャリア選択の観点から多くの示唆を学生は受けていました。
高校まで熊本で過ごし、体育教員を目指して筑波大学へ進学。その後、迷い①学部卒業時に、「大学院か小学校免許」。研究面白く、指導教員に相談したらOKとなり、大学院修士へ進学。迷い②修士修了の時に「大学院博士進学か教員か」。研究は引き続き面白いが、「まず現場を知ろうと教員」になる。中高一貫校で教員生活。いきなり教科主任として先輩教員の上の立場も経験。常に先輩教員に「相談する」というスタンスで教科教員をまとめることも経験。迷い③勤めて2年目頃、「パートナーの勤務地が離れる時にどうするか?」。専業主婦になることを選択。主婦生活も経験。その後、半年経過して、迷い④再就職(教員かパート)。自治体の事務職などを経験し、その後、大学・助手の採用の声がかかり、大学教員となる。そのときに、迷い⑤「このまま研究者としてやっていけるのか(博士進学か就職か)」。この時に、科研費の若手研究助成に採択される。大きな喜びと実績を得ることになるが、一方で研究フィールドが確立できていない、研究者としての自立できていないことを痛感し、博士進学を決意。では、迷い⑥「進学先をどこに?」。縁があった本学大学院(大友研究室)へ進学を決意する。迷い⑦「助手の仕事はどうしよう(辞めるか辞めない)」。ご主人から博士をとるのは甘いことではないとアドバイスを受け、助手を辞めて、博士課程の研究に専心することを決意。
博士進学決定ときに、修士の時の恩師の言葉を鮮明に思い返すことになる。『研究者として研究をしていくということは、自分の研究でお金を稼ぐということ』『博士課程はお金を払いながら研究できる贅沢な時間』である。研究者になる覚悟と博士課程という意義・意味を再度問い直し、今はゴールに向けて邁進している毎日。
宮尾先生のゴールは、『現場から愛される研究者になる!』。頭でっかちではなく、現場に活用される研究をすることである。そのために、博士課程でしっかり研究して、その後「30年働くためのしっかりとした土台をつくりたい」と話を締めくくっていただきました。
高校時代に新体操選手として活躍され、つらくても「スマイル」を学び、つねに「パワフル」に前進する姿勢に、受講生はキャリアを考える貴重な時間を得ることが出来ました。