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伊藤恭彦教授(名古屋市立大学)をお招きして、オープン・リサーチプロジェクトを開催しました



2018年11月7日(水)、朱雀キャンパス(308教室)に、名古屋市立大学の伊藤恭彦先生をお迎えし、オープン・リサーチプロジェクトを開催しました。

公共政策と規範は分かちがたい関係にありながら、組み合わせて論じることがとても難しいテーマです。伊藤先生は、政策と規範の結節点として税に着目し、税を正義の観点から再考するという興味深い議論を提起されておられます(『タックス・ジャスティス』、風行社、2017年)。私たち公務研究科は、政策と規範の関係について考える契機としたいと考え、伊藤先生をお招きすることに致しました。

今回のオープン・リサーチプロジェクトは、二部構成をとりました。前半は、伊藤先生から「タックス・ジャスティスから考える公共課題」と題したご講義をいただき、課税局面だけではなく税体系全体を考えることの重要性や、人間の尊厳を中核として、政策目標、税の目的を構想することの大切さ、グローバル・タックスの先進事例などについて学びました。

後半はアクティブ・ラーニングの部としました。伊藤先生は、ふるさと納税とタックス・ヘイブンという具体的な公共課題を例に、正義の観点からこれらの公共課題をどのように考えることができるのか、を学生に問いかけました。学生は真剣にこの問題について考え、そして伊藤先生と白熱した議論を展開しました。論争喚起的な伊藤先生と、けっして受け身ではない学生とのあいだのラリーは、たいへん、見ごたえがありました。

学生は、伊藤先生のご講義をとおして、公共政策と規範の関係について考える一つの思考様式に触れるとともに、「道徳的にもやもやする」ことから逃げずに考え抜くことの大切さを学びました。「公共問題の優れた臨床医」(これは、公務研究科が輩出したいと考えてきた人間像です)となるためには、このどちらも欠かせないでしょう。公共政策と公務人材のあり方を考えるうえで、非常に有意義な機会となりました。