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2019.03.21
2018年度秋学期立命館大学大学院学位授与式が行われました
2019年3月21日(木・祝)、朱雀キャンパスにおいて2018年度秋学期立命館大学大学院学位授与式が行われました。
その後307教室において行われた公務研究科学位授与式では、森研究科長からの式辞の後、修士課程を修了された16名の一人ひとりに、修士(公共政策)の学位記が手渡されました。修了生の皆さま、おめでとうございます。続いて行われた修了パーティーでは、ご家族やOB・OG、教職員ともに修了を祝いました。
公務研究科での学位取得者は、累計341名となりました。2007年度に創設された本研究科は、「公務」を自分の問題として受け止め、「政策力」を磨こうとする方に開いてきた小規模独立研究科ですが、多様な背景を持つ院生が集まり、切磋琢磨するなかで公務員を中心としながらも民間企業等に幅広く人材を輩出するに至っています。公務研究科で身に付けた学び続ける姿勢を大事にしながら、先輩たちに続き、皆さまが新たなステージでもますますご活躍されることをお祈りいたします。
2019.01.10
最終シンポジウム(12日)開催まで残り2日となりました
新年あけましておめでとうございます。最終シンポジウム(12日)開催まで残り2日となりました。最後の直前アナウンスとなります。広報活動もいよいよ終盤、本日、朝日新聞朝刊にて開催案内が掲載されました。引き続き、みなさまからも広く開催のご案内をいただければ幸いです。なお、当日ご来場の方々には公務研究科の記念誌(『公務研究科の軌跡 2007-2018 』)をプレゼントさせていただきます。当日、会場にてみなさまとお会いできることを楽しみにしております。シンポ後の交流パーティーにも奮ってご参加ください。
朝日新聞掲載記事はこちらをご覧ください。
2018.12.17
最終シンポジウム開催まで残り一ヶ月を切りました
公務研究科最終シンポジウムの開催(2019年1月12日(土))まで、残り一ヶ月を切りました。現在人事院HPトップや読売新聞(12日朝刊)でも開催案内が掲載されるなど、各方面にて広報活動を展開中です。先日は、京都産業大学の鈴木康久先生に広報へのご協力をお願いしました。
衣笠キャンパスにおいても、バスロータリー付近の立て看板をはじめ、各学部事務室、諒友館食堂、衣笠図書館エントランス等、各所にてポスターの掲示が始まっております。
なお開催案内チラシにつきましては、右京、上京、北区役所を始め、関係各所にて配布中ですが、以下の箇所では常時入手が可能です。
朱雀キャンパス事務室
朱雀キャンパス1F正面玄関付近チラシスタンド
朱雀リサーチライブラリー
一人でも多くの方にご来場いただけるよう、引き続き、みなさまからのご支援ご協力のほど、重ねてよろしくお願い申し上げます。
2018.11.15
京都府庁の勝目康総務部長をお招きして、合同リサーチプロジェクトを開催しました
2018年11月15日(木)、朱雀キャンパス(308教室)におきまして、京都府の勝目康総務部長をお招きし、合同リサーチプロジェクトを実施しました。
全体は二部構成となり、前半は、地方自治の現状に関して、特に京都府に関する最新の行政情報に基づくご講義、後半はグループワーク形式となり、勝目部長よりいただいた人口減少に関するテーマを議論しました。
議論では、研究科の学生、教員に加え、現役公務員(本研究科修了生)や府議会議員(堤淳太議員)の方々も加わり、現代社会が抱える難問について多角的な検討が行われました。討論後、各グループから提示された見解に対し、勝目部長より現在行われている政策やその背景理由に関する説明があり、参加者は喫緊の課題に対する知識を深める有意義な機会となりました。
当日参加された修了生からのコメント
「日頃聞けない総務部長自身の考えや、京都府の最前線かつ旬な情報について講義を通じて考えることが出来、新たな知見を広げることが出来ました」(9期 京都府 小原耕太郎さん)
「他の自治体の部長級の方とお会いする機会は非常に貴重であります。日々の業務で感じていた疑問点について質問することが出来、良いアドバイスをいただいたので、今後の業務に活かしていきたいと思います」(10期 京都市 常木大輔さん)
2018.11.15
2018年度立命館大学大学院公務研究科 最終シンポジウム の開催につきまして
2018年度立命館大学大学院公務研究科最終シンポジウムは以下にて開催予定です
詳しくはこちらをごらんください
概要
2018年度立命館大学大学院公務研究科シンポジウム「これからの公務人材」
日時:2019年1月12日(土)13:30 開始予定
会場:立命館大学朱雀キャンパス5F大講義室
共催:立命館大学大学院公務研究科・立命館大学大学院公務研究科校友会
後援:人事院
プログラム:
基調講演
古川貞二郎(元内閣官房副長官・公務研究科客員教授)
村松岐夫(京都大学名誉教授・日本学士院会員)
パネル・ディスカッション
コーディネーター 水口憲人(元公務研究科長・立命館大学名誉教授)
古川貞二郎(元内閣官房副長官・公務研究科客員教授)
村松岐夫(京都大学名誉教授・日本学士院会員)
加茂利男(公務研究科元教授・大阪市立大学名誉教授)
嶋田博子(公務研究科元教授・人事院人材局審議官)
松村弘毅(公務研究科6期生・京都府健康福祉部健康福祉総務課参事)
2018.11.07
伊藤恭彦教授(名古屋市立大学)をお招きして、オープン・リサーチプロジェクトを開催しました
2018年11月7日(水)、朱雀キャンパス(308教室)に、名古屋市立大学の伊藤恭彦先生をお迎えし、オープン・リサーチプロジェクトを開催しました。
公共政策と規範は分かちがたい関係にありながら、組み合わせて論じることがとても難しいテーマです。伊藤先生は、政策と規範の結節点として税に着目し、税を正義の観点から再考するという興味深い議論を提起されておられます(『タックス・ジャスティス』、風行社、2017年)。私たち公務研究科は、政策と規範の関係について考える契機としたいと考え、伊藤先生をお招きすることに致しました。
今回のオープン・リサーチプロジェクトは、二部構成をとりました。前半は、伊藤先生から「タックス・ジャスティスから考える公共課題」と題したご講義をいただき、課税局面だけではなく税体系全体を考えることの重要性や、人間の尊厳を中核として、政策目標、税の目的を構想することの大切さ、グローバル・タックスの先進事例などについて学びました。
後半はアクティブ・ラーニングの部としました。伊藤先生は、ふるさと納税とタックス・ヘイブンという具体的な公共課題を例に、正義の観点からこれらの公共課題をどのように考えることができるのか、を学生に問いかけました。学生は真剣にこの問題について考え、そして伊藤先生と白熱した議論を展開しました。論争喚起的な伊藤先生と、けっして受け身ではない学生とのあいだのラリーは、たいへん、見ごたえがありました。
学生は、伊藤先生のご講義をとおして、公共政策と規範の関係について考える一つの思考様式に触れるとともに、「道徳的にもやもやする」ことから逃げずに考え抜くことの大切さを学びました。「公共問題の優れた臨床医」(これは、公務研究科が輩出したいと考えてきた人間像です)となるためには、このどちらも欠かせないでしょう。公共政策と公務人材のあり方を考えるうえで、非常に有意義な機会となりました。
2018.10.19
2018年度第12回公共政策インゼミ合宿のお知らせ
2018.09.25
京都府福知山市へのヒアリング調査(リサーチ・トリップ)を行いました
公務研究科最終年度にあたる今回のトリップは、防災行政を主題に、京都府福知山市を訪れ、ヒアリング調査を行いました(2018年9月25日)。由良川や支川の氾濫に悩んできた福知山市は、過去の被害を踏まえた詳細な「総合防災ハザードマップ」を作成するなど、「水害に強いまちづくり」に積極的に取り組んでいます。
参加した院生は、ヒアリング調査を実施するにあたり、行政資料を読み込み、また、履修した「地方自治論」や「行政学」で得た知見や整理を活用しながら、質問表をまとめました。教員も交えた勉強会において、質問項目をブラッシュアップした上で、当日のヒアリング調査に臨みました。
調査当日は、福知山市役所市民総務部危機管理室のご助力を得て、今年7月に発生した土砂崩れによる天然ダムなど水害の現場を訪れることができました。院生(及び教員)は、被害の大きさにおののくと共に、被害を最小限に食い止めた、住民の自助、共助の力、そしてそれを支える行政の高い危機管理能力を学ぶことができました。
現地調査後は、庁舎へと場所を移して、危機管理室のご担当者から、事前にお送りした質問表への回答をいただきました。避難勧告・指示のタイミングなど防災行政に直接関わる問題の他、防災行政をめぐる政府間関係(中央政府・広域自治体・基礎自治体)、福知山市内の中央と周辺関係、危機管理室の持続可能な運営体制など、自治体行政のあり方に関わるトピックについて、幅広く意見交換することができました。
今回の調査では、福知山市役所市民総務部危機管理室のご担当者をはじめ、地域住民の方々など、多くの方にご協力をいただきました。皆さまのお力添えによって、参加した院生は、多くの知的発見を得るとともに、本研究科が重視してきた「現場感覚」を養うことができました。水害の生々しい爪痕が今なお残る中、貴重なお時間を頂戴してご協力下さった皆様方に、この場を借りて厚くお礼申し上げます。
参加した院生が得た知見を、公務研究科全体で共有すべく、リサーチ・トリップ合同報告会を開く予定です。院生は、ヒアリング調査を報告し、討論することで、研究能力をいっそう磨き上げることでしょう。
2018.10.04
リサーチ・トリップ合同報告会を開催しました
今回は、リサーチ・トリップに参加した院生が得たもの、考えたことを公務研究科全体で共有するため、2018年10月4日(木)、303教室にてリサーチ・トリップ合同報告会を行いました。まず、福知山市を訪れた院生から、市の防災行政に関連して、避難を呼びかけるタイミングやハード/ソフト面の災害対策、計画的な防災の困難さなど、特に印象に残った点について報告があり、調査に同行できなかった院生や教員を中心に活発な質疑応答が行われました。
続いて、特別企画「災後の公務/災後の政治」と題して、災害や防災に関する研究を行っている3名の先生方より、それぞれ報告がありました。今回のリサーチ・トリップに先立ち、院生は事前勉強や質問票の作成などを通じて真摯に準備を進めてきましたが、一度のヒアリング調査がそのまま研究になるわけではありません。先生方のご報告からは、福知山市の災害対応についてより詳しく知ることができただけではなく、災害・防災に関する研究がどのように行われているのか、調査研究とはどのような研究なのかについて、大いに示唆が得られたことでしょう。
また、今回の調査では「災害と地方議会/議員」(久保田崇先生ご報告)についてなど、ヒアリングできなかった論点もありました。ヒアリングを経て新たに生じた疑問もあるでしょう。そこで、合同報告会の終盤では、追加調査を行うならば誰に、何を尋ねたいかについて院生各自が考えた上で、3つのグループに分かれて話し合いました。危機管理室の職員や自治会長に改めて質問したいことや、様々な地域の住民、首長、あるいは京都府に訊きたいことなど、様々な観点から多くの意見が出されました。
このアクティビティを通じて、広域自治体の災害・防災への関与について、また今回ヒアリングできなかったアクターへの追加調査の必要性などを院生自身が感じられたことは、リサーチ・トリップや合同報告会が院生の気づきや成長に結びついていることを示しています。水口憲人先生は、更なる追加調査の可能性に言及しつつ、リサーチ・トリップが「人とシステムの関係」を考える訓練の場として大いに機能してきたことを指摘されました。背景にある構造的な要素にも目を配りながら、院生の皆さんが、これからリサーチ・ペーパーや修士論文の執筆に励まれることを期待しています。
2018.10.04
立命館大学大学院公務研究科最終シンポジウム「これからの公務人材」中止のご案内
2018.07.18
福田幸二氏(日立京大ラボ主任研究員)をお招きして、合同リサーチ・プロジェクトを開催しました
2018年7月18日(水)、朱雀キャンパス307教室に、日立京大ラボ主任研究員の福田幸二氏をゲスト講師としてお迎えし、合同リサーチ・プロジェクトを開催しました。
公務研究科のリサーチ・プロジェクトは、通常、個人研究報告や輪読を中心とする、ゼミナール形式で運営しています。今回のように、ゲストをお招きするのは、実務の第一線で活躍している方のお話を聞き、議論することを通して、学生の知的関心を広げ、また学生に現場感覚を身につけてもらいたいからです。AI研究の知見を公共政策に活用しようとする福田氏の報告は、学生の知的関心を広げ、現場感覚を養うだけでなく、学生(そして教員)を知的に挑発する、非常に興味深いものでした。
前半は、福田氏から「AIを活用した政策提言策定への挑戦 〜国や自治体の戦略的な政策決定への活用に向けて〜」と題したミニ講義を行なっていただきました。福田氏を含む、日立京大ラボの研究プロジェクトは、2050年の日本が持続可能であるためのシナリオを描くべく、AIを活用しています。
福田氏は、AIを活用するには、人間が得意とする分野と、AIが得意とする分野を見極め、お互いのよさをうまく組み合わせることが重要だと指摘します。その上で、福田氏たちは、まず、「少子化」や「環境破壊」など、149個の社会要因を挙げて因果関係モデルを作り、次いで、AIを用いてシミュレーションした結果、コンピュータ上に約2万通りの未来を作り出し、現在から未来へといたる変化を「見える化」しました。この2万通りの「パラレルワールド」は、どのように一つの「現実世界」となるのか。言い換えれば、もう後戻りすることができない分岐点はいつ訪れるのか。福田氏は、都市集中型シナリオと地方分散シナリオの分岐点が2025-27年に訪れること、またそれぞれのシナリオに誘導する要因を明らかにできた、とお話し下さいました。
この研究成果に対する関心は非常に高く、多くの自治体で研究報告を行なった他、ある自治体と共同研究を行なうことが決まっているそうです。政府や自治体が、AIを活用して公共政策を検討する未来は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。
講義の後半では、学生たちが二つのグループに分かれ、都市集中型シナリオと地方分散型シナリオのどちらが好ましいかを議論、報告しました。さらに福田氏は、学生たちに、自分たちが選ばなかったシナリオについて検討することを促しました。というのは、好ましくないものを、好ましいものにすることにこそ、人間の知が試される、というお考えからでした。
公務研究科は、市民的感性、志、実学、責任、自律などを鍵概念に置き、教学、あるいは公務のあり方を追求してきました。AIを活用した新しい公共政策は、こうした理念とどのように結び付く、あるいは結び付けることができるのか。福田氏の報告は、公務について考える者に多くの「宿題」とヒントを与えるものとなりました。
2018.07.02
工藤啓氏(認定NPO法人育て上げネット理事長)をお招きして、合同リサーチ・プロジェクトを開催しました
工藤氏は2004年にNPO法人育て上げネットを設立し、若者の就労支援、経済的自立への支援に取り組んでおられます。人口減少社会において希少財になりつつある若年世代への支援は、社会投資としても大きな意味があります。工藤氏は、誰もが無業になる可能性があるにもかかわらず、一度、無業状態になると抜け出しにくい「無業社会」の現状や、求職活動の有無や就職を希望しているか否かによって若年無業者には異なるタイプがあること、無業である理由や無業者の置かれている状況などについて、データやご経験を通じてお話しくださいました。そして、若者へのこれからの支援として、相談を経て支援が始まる前の段階での、要支援者の「来られない」を前提とした支援が必要であることをお話しになりました。
また、NPOとして活動する際には、支援が必要な当事者のみならず、活動を支援してくれる「第二顧客」の獲得が大事であることに言及されました。工藤氏は、感情に訴えて共感を得るだけではなく、データを示し、論理的な説明を通じてアプローチすることで、企業からの支援など、活動への賛同者・支援者を増やしてきたことを述べられました。さらに、質疑応答などを通じて、公的機関との連携に際しては予算の使途が決まっており、個別対応が難しくなるといった事情が生じることや、若者支援における高齢者の役割などについてもお話しいただきました。
講義の後半では、工藤氏より「今後の働き方」や「新しい就業支援のあり方」について問いかけがなされ、院生はグループに分かれてそれらの論点について話し合いました。SNSなどを利用した働き方について、経済的自立やコミュニケーション能力などの観点から、それぞれに意見が示されました。即座に多くの収入が得られないとしても、新しい「稼ぐ手段」を知り、働く自信をつけるといった点に視野を広げるならば、それらの「新しい働き方」には可能性がみられるのではないでしょうか。
工藤氏のお話からは、若者支援への強い「情熱」と同時に、状況を把握・分析し、支援を集め、NPOを経営していく「冷静さ」の両方を感じ取ることができたと思います。公務研究科は、修了時に学生が身につけておくべき能力として、社会や人間の行動を観察・分析・理解できる「基礎体力」や、「公共問題」に向き合う「志」など4つの項目を掲げています。院生の皆さんが、それぞれに感じたことを活かして、修了までの時間を有意義に過ごしつつ、これらの能力を獲得されることを期待しています。
2018.06.15
井上紗佑里氏(NHK)、山下正晃氏(高知新聞)をお招きして、オープン・リサーチプロジェクトを開催しました
両氏は、「地域」、「地方」に密着した取材経験をもっておられます。そこで、地域におけるメディアの役割は何か、あるいはメディアにとって公共とは何か、を主題に、お話をしていただきました。また、お二人とも公務研究科を修了したOB・OGであり、公務研究科で学んだことが、取材や報道の現場でどのように活きているのかについてもお話し下さいました。
山下氏は、人口減少をはじめとする、高知県を取り巻く厳しい現況をまとめた上で、地方新聞だからこそ伝えられること、伝えなければいけないことがあると力を込めます。私たちが普段、目にしない食品衛生監視員の活躍や、黒潮町で早朝サーフィンをする小学生など、具体的な記事や豊富な取材経験を織り交ぜながら、どのように工夫すれば、県民に、高知という地域の素晴らしさや、それを支える人々を伝えられるのか、絶えず考えているとお話し下さいました。
続く井上氏は、2011年3月12日に震災を受けた長野県栄村、2016年の軽井沢スキーバス転落事故などを報道した経験をもとに、公共放送としての使命を語って下さいました。公共放送は「誰のために、何のために、どのように」を問い続ける連続である、と井上氏は言います。そして、取材経験を通してあらためてわかったことは、一つの事件や社会問題が、実に、多面的であるということ。だからこそメディアは、事実を取材し、掘り下げ、再構成するにあたって、多角的である必要があると続けました。
公務研究科は、がんがん頭を使うことと、自分の責任で社会について考えることを重視したカリキュラム、授業運営を行ってきました。そして「社会的に有為な人材を育てる」ことに拘ってきました。お二人の活躍は、その見事な実例だと言えます。一人でも多くの院生が彼らの後に続き、それぞれに課した責任を引き受け、社会で活躍する日が来ることを、教員一同、心から願っています。
2018.05.29
佐藤大基氏、岡本正氏をゲスト講師にお招きして、合同リサーチ・プロジェクトを開催しました
佐藤氏には、「大船渡駅周辺地区の官民連携まちづくり」というテーマで、東日本大震災で被災した岩手県大船渡市の大船渡駅周辺地区がどのようなまちづくりを進めているのかについて、エリアマネジメントや官民連携まちづくり協議会の取り組みなどを通じてお話しいただきました。そして、まちづくりのマネジメントはいかにして共感を得るかが大事であり、また、「考える」と「やってみる」の繰り返しが暮らしを豊かにするといった、ご経験から得られた貴重な知見をお示しいただきました。
続いて、岡本氏には「災害復興法学と被災地のリーガル・ニーズ」についてご講義いただき、震災後に実施された無料法律相談から被災者のニーズを収集・データベース化し、その傾向や課題を分析し、既存の制度や法律の改善を提言してきたご経験についてお話しいただきました。また、「り災証明書」や「被災者生活再建支援金」等の制度を事前に知っておくことが「防災・減災」につながるという観点から、生活再建に関する「知識の備え」の習得に資する「防災教育」の重要性が強調されました。
それぞれの講義を受けて、院生や教員から多くの質疑が寄せられ、佐藤氏、岡本氏には丁寧に応答していただきました。現場の最前線でご活躍されているお二人から、震災・災害復興というテーマについて、別々の立場から具体的な取り組みやご経験をお伺いできたことは、皆さんにとって大きな刺激になったことでしょう。今後も「リサーチ・プロジェクト」など公務研究科での学びを通じて、院生の皆さんが現代の公共問題に対応するための「政策力」を積極的に身につけていくことを期待しています。
2018.03.29
2017年度後期立命館大学大学院学位授与式が行われました
その後308教室において行われた公務研究科学位授与式では、修士課程を修了された17名の一人ひとりに、森研究科長より修士(公共政策)の学位記が手渡されました。修了生の皆さま、おめでとうございます。続いて行われた修了パーティーでは、後輩やOB、教職員も訪れ、ともに修了を祝いました。
修了生の皆さまを含め、累計324名が公務研究科を巣立ったことになります。2007年度に創設された本研究科は、「公務」を自分の問題として受け止め、「政策力」を磨こうとする方に開いてきた小規模独立研究科ですが、多様な背景を持つ院生が集まり、切磋琢磨するなかで公務員を中心としながらも民間企業等に幅広く人材を輩出するに至っています。公務研究科での学びと経験を生かし、先輩たちに続き、皆さまが新たなステージでもますますご活躍されることをお祈りいたします。
2018.01.19
2017年度公務研究科シンポジウム「自治と地域創生」を開催しました
続いて、認定NPO法人グリーンバレーの大南信也理事長より、「日本の田舎をステキに変える! ~徳島県神山町における創造的過疎の取り組み~」というテーマで基調講演が行われました。「創造的過疎」の基本的な考え方や「神山プロジェクト」の取り組み、サテライトオフィスの各事業や移住者の多様な営み、神山町創生戦略の策定等についてのご講演を通じて、新たな人材の集積が地域内にサービスを生み出し、それが農業と結びつくことで「地域内経済循環」が創出されている神山「地域」の現状をお話しいただきました。また神山町では、「まちを将来世代につなぐプロジェクト」などを通じて、現在進行形で「可能性が感じられる状況づくり」が進められています。
大南理事長の講演に引き続き、大阪市立大学名誉教授の加茂利男先生より、「世界から地域をながめ、地域から世界を考える」という論題で基調講演が行われました。従来の「田園回帰モデル」と「神山モデル」の対比や、戦後の「地域づくり」が神山と同様にハウ・ツーではなく信念や思想によってなされてきたこと、「地域から世界、世界から地域」という思考のフィードバックがグローバル時代の地域づくりにとって必須であること、「思想」の担い手である「異質な人」の集積が創造を生み、それを可能にする「寛容さ」が重要であることなどについてご講演いただき、また、人口減少とグローバル化の中での「現代地域づくりのディレンマ」についてもご指摘がありました。
そしてシンポジウムの後半では、お二人の基調講演を受けて、水口憲人先生をコーディネーター、大南理事長、加茂先生に加えて公務研究科教授の久保田崇先生、同助教の苅谷千尋先生をパネリストとしたパネルディスカッションが行われました。まず、苅谷先生より「地域創生の思想を考えるヒント」として、なぜ神山町が「ステキ」であり、「自由」や「楽しさ」がみられるのかという問いを出されました。先生は、「都市〔国家〕は市民がつくる」というJ=J・ルソーの言葉を導きの糸として、自治を鍵概念におき、またグローバリゼーションや職業倫理という観点も加味して、神山町の取り組みを掘り下げました。続いて、久保田先生からは神山町の取り組みが「人」にフォーカスを当てており、またB級グルメといった「形」から入るものではないことについてコメントをいただき、そして、特に大南理事長の基調講演に対しては、移住者(テナント)の逆指名を行う際の地権者との調整、総合戦略の策定メンバー以外からの反発、アーティストインレジデンスとワークインレジデンスの導入順についてのご質問がありました。
苅谷先生、久保田先生のコメントやご質問を受けて、水口先生のコーディネートのもと、パネラーによるレスポンス、また、フロアからの質疑応答が行われました。パネルディスカッションの最後には、水口先生より高齢者との関係や都市的なものに対する「余白」、「共鳴板」としての神山といった観点から、結びの言葉がありました。
また、シンポジウムに引き続き生協ラウンジにて「交流会」が行われ、シンポジウムのご登壇者をはじめ学生や教員、自治体関係者など多くのご参加があり、院生が自治体職員から研究に関するアドバイスをいただくなど、リラックスしながら、しかし知的な刺激を得られるような交流がなされました。この交流会は公務研究科院生が中心となって進められ、神山町の「フードハブ・プロジェクト」の商品や大南理事長、加茂先生のご著書がプレゼントされるなど、非常に楽しい一時となりました。
公務研究科シンポジウムは来年度も開催されます。その際は、またご来場の皆様と「聴きあい、話しあい、ともに考える」そして「響きあう」機会にもなりますことを、楽しみにしています。
2018.01.05
「在学生のみなさんへ」移行のお知らせ
manaba+R の「公務研究科院生のページ」では、受講登録・試験・成績に関わる案内や各種プログラム・制度を紹介するHPへのリンクを掲載しています。
manaba+Rの 「公務研究科院生のページ」 URL:https://ct.ritsumei.ac.jp/ct/home