オープンゼミナール2021
「感染症に負けてたまるか!!!
-コロナ禍において必要な国際法-」

西村ゼミ(チーム名:西村司法裁判所)
MOON Jiyeonさん、岩本 なつきさん、品田 星さん、村田 梨凪さん

2021年度国際関係学部オープンゼミナールで「感染症に負けてたまるか!!! -コロナ禍において必要な国際法-」と題して発表を行った西村ゼミのみなさんにお話をうかがいました。

オープンゼミでの発表内容を教えてください。

2020年から現在まで、私たちの日常生活を妨害している「新型コロナウイルス」。今後、世界で今回のような新たな感染症が流行してしまった時に、世界全体で迅速な対策が取れるよう、新たな感染症対策の条約である「パンデミック条約」を自分達で作成し、提案しました。

その際、現存する世界保健規則やWTOの取り組みを分析・考察し、足りない部分を補うという方向性で作成しました。特に焦点を当てたのは感染症のワクチン供給に関する部分です。コロナにうまく対処できなかった既存の国際法条約を分析し、不足していた国際保健に対する国際的規則を考案して発表に臨みました。

発表テーマを選んだ理由は?

現在私たちが置かれているコロナ禍という状況において、専門として学んでいる国際法を生かして何が出来るか?を考えたかったからです。また、身近なことと国際法を組み合わせることで、「国際法とは何?難しそう…。」と思っている人々もこのトピックなら関心を抱いてくれるのではないかとも考えました。

当日寄せられた質問や意見、本番で印象に残ったことを教えてください。

私たちが作成した「パンデミック条約」を実現するにあたり、新しく設立しなければいけない機関が存在する。その機関の設立にかかる費用はどこから捻出するのかという質問が寄せられましたが、この点は盲点でした。

また、WHOが〝フェーズ6〟の段階で医療物資やサービスを提供することは、手遅れではないのかという意見にもハッとさせられました。仮に、フェーズ6という既にパンデミックが起こっている段階で、サービスを提供するには、必然と人力が必要となり、感染症を防ぐ行動がとれない状況に至ります。〝フェーズ6〟ではなく〝フェーズ4〟で上記のサービスを提供すべきだと感じました。

本番を迎えるまでのストーリーを聞かせてください。

自分たちオリジナルのパンデミック条約を作成する上で、現存する条約や法律では何が足りないかを炙り出す作業がまずは一つ目の関門でした。そして何が足りないかを抽出した上で、その課題を解決するために何を条約に記載すればいいかを考える次の段階も困難でしたね。

条約は"言い方"が非常に大切であるため、同じような意味でもどの単語を使うか、どの言い回しにするかの決定も大変でした。条約文を作りながら、注意すべき曖昧な表現をどう明記するかについても悩みましたし、字数が多くなりがちなポスターを可視化していく作業も工夫をしました。

オープンゼミナールを通じて学んだこと、今後に活かせることがありましたか?

チームでひとつの研究をすることの難しさ、そしてノウハウを学びました。自分一人でやるよりもグループでやる方が楽で作業量が少ないように思いますが、人数分の意見が出ることになり、それをまとめることが想像以上に大変でした。

また、オープンゼミナールでは、知識のない人々に短い時間でいかに興味を持ってもらい、分かりやすく説明を行なえるか、理解してもらえるかがとても大切であったと感じています。難しいことを私たちの日常に寄せ、噛み砕いて話すということの大切さを学びました。また、聴く人によって興味を持つ点や疑問点が異なってくるので、本番当日は応用力が鍛えられたとも感じています。

ポスターを初めて作ってみましたが、こうした資料を作る能力もアップすることができたと感じます。また、「条約」を自分たちで作ってみることによって、条約の構成に関しても深く研究するきっかけになり、このような経験を今後国際的な文章を作成する際に活かしていきたいと思います。

次年度参加チームへのメッセージをお願いします。

自分の専門分野について、大勢の人に研究発表をする機会は大学生活において意外に少ないものです。その貴重なイベントの1つですので、まずは楽しんで参加していただけたらなと思います。本番当日は、他のゼミが何を研究しているかも知れますし、交流も出来るのですごく楽しいです。また、このオープンゼミという行事を通じて、ゼミ内の交流も広がります。

また、「研究」とは何なのかを考え直す機会にもなります。準備は大変ですし、当日も思った通りに進むことは少ないかもしれませんが、終わった後の達成感は凄まじいので、最後の最後まで諦めずみんなで取り組んでみてください。

西村ゼミの魅力を教えてください。

西村ゼミのテーマは国際法です。私たちの日常生活にはあらゆるところに国際法が存在しているため、すべての分野が国際法と関連していると言っても過言ではありません。人が生きる上で生じるすべてのハプニング(happening)が、国際法ゼミのテーマになります。

西村先生は国際法に関して、非常に分かりやすく、生き生きと語ってくださる先生です。いつもニコニコしている一方で、国際法の話となると表情が一変し、どんな質問に対しても正確に且つ詳細に説明してくれます。

西村ゼミの特徴的な活動の一つとして、模擬裁判があります。法学部の国際法ゼミと合同で行うのですが、「国際法ってどんなもの?」という漠然とした学習から一歩踏み込んで、より詳しく知ることのできる活動です。実際に原告や被告、そして裁判官のアクターになりきって、国際法を用いた国際紛争の解決の手続きを学べるものになっています。

ゼミは、「家族」のような雰囲気で、忙しい日常の中でもゼミの時間は「癒しの時間」となります。情熱的な先生と同期たちと共に国際法を研究することができて、お互いのモチベーションが高められる、とても良い雰囲気で学べています。

2022年3月更新

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