体操部の主将としての活動と学部の学びの両立。ゼミの海外フィールドワークが国連職員になりたいという夢に挑戦する勇気をくれました。
吉田 誇太郎 さん
国際関係学専攻 3回生
大学入学後、体育会体操部に所属しながら学部での学びも両立している3回生の吉田さん。学部で学んでいる内容や体育会での活動、将来の夢についてお話を伺いました。
国際関係学部を志望した理由を教えてください。
吉田国連職員になるという高校生からの目標を実現できると感じたからです。
学校から本格的に始まった英語が好きになり「海外で働きたい」と漠然と思うようになりました。転機となったのは高校の授業で学んだSDGs(持続可能な開発目標)です。「ここに掲げられているゴールをすべて達成できたらいいな」と感じたのを今でも覚えています。そこからSDGsに興味を持ち、調べていくうちに、国連職員になればSDGsが掲げるゴールを解決することに携われると思い、国際機関で働くことを志しました。
大学受験の際も自らの目標から逆算して国際系の学部のある大学に進学したいと考えていました。立命館大学国際関係学部は、すべて英語で行われる授業を多数受講することができるという点に興味を惹かれました。
学部ではどのようなことに関心を持たれて学ばれていますか?
吉田学部では国際関係学の基礎から、国際社会における文化、経済、開発、平和構築などといった専門的な知識まで、幅広く学ぶことができます。特に私は、途上国における開発問題や、飢餓などの食糧問題、貧困などの分野に関心があるので、国際協力論や国際経済学といった「国際協力開発」分野の授業を多く受講しています。
また2回生から希望者が受講することができる「全学副専攻プログラム」でフランス語を学んでいます。1回生時にフランス語を選択し基本的な文法やコミュニケーションを学びましたが、国際社会の場において、英語とフランス語の両方を運用できれば自分にとってアドバンテージになると考え、中級・上級の内容を学ぶことができる副専攻を受講しています。
面白いと感じた授業は「社会と学ぶ課題解決」という授業です。様々な企業の社員の方から、企業が実際に取り組んでいる課題を提示していただき、学生がグループでその課題解決案を社員の方へプレゼンするという内容の科目です。キャンパスでは感じることのない社会という大きな枠組みの中で課題に取り組むことができたので、すごくやりがいのある授業でした。

体育会体操部に所属されているとお伺いしました。どのような活動をされていますか?
吉田現在は3回生で主将として毎年8月に開催される全日本学生体操選手権大会の出場を目指し、日々練習に取り組んでいます。
小さい頃から体操に取り組んできた部員もいれば、大学から始めた部員もいますが、先輩後輩、男女、体操歴関係なく、互いに教え合いながら、切磋琢磨できるすごくいいチームだと思います。もし興味があれば、インスタグラムもあるのでぜひご覧になってください!
@rits_gymnastics.official

吉田せっかくなので体操についても少しだけ紹介させてください。体操は、男子は6種目(床、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒)、女子は4種目(跳馬、段違い平行棒、平均台、床)の合計点によって順位が決定します。また得点は、技の難しさで加算されるDスコア(Difficulty)と、技の完成度から減点方式で採点されるEスコア(Execution)の二つの点数の合計で算出されます。Dスコアの算出方法は、それぞれの技に対してAからJまでの難度が設定されていて、その合計で算出されます。
オリンピック種目でもある体操ですが、得点の算出方法や順位の決定の仕方などはあまり知られていないと思います。体操の見どころは「難しい技でも簡単そうに見える」という点です。体操を見たことがない人はぜひ一度見てみてください。バク転ができそうな気がするかもしれません。
学業との両立は最初かなり大変でした。国際関係学部に在籍する学生は、英語に対するモチベーションが高く、難しい課題も積極的に取り組んでいるので、部活の練習が終わった後に夜寝る時間を削って課題をしていました。そんな苦しい時期も、国際関係学部生のみんなが課題を手伝ってくれたり、一緒に勉強に誘ってくれたりして助けてくれました。部員も学部は違えど課題や勉強で忙しいのは一緒。みんなと同じ苦しさを共有して、部活の練習もより一層頑張ることができました。
ゼミではどのようなことを学ばれていますか?
吉田所属している渡邉松男先生のクラスは、主に途上国における開発問題の経済アプローチについて研究しているゼミです。ゼミ生の興味関心は多種多様。途上国、開発問題、経済アプローチといった分野に限定されませんので、様々な問題提起をするゼミ生のみんなの研究発表は毎回すごく興味深いです。
渡邉ゼミでは毎年夏頃にフィールドワークを行います。今年はヨーロッパのボスニア・ヘルツェゴビナに行きました。個人的な話にはなってしまうのですが、人生で初めての海外がボスニアになり、街の景色、人々が知らない言語で話す風景、日本とはかけ離れた食事や文化、そのどれもが刺激的で貴重な経験をすることができました。家族や友達に話す時、「初めて行った海外、ボスニア・ヘルツェゴビナやねん!」というと決まって「どこやねん!」と驚かれるのが面白いです。

吉田フィールドワークでは、ボスニアのEU加入の可能性、異なる民族の共生、低中所得国の発展問題などに着目して研究を行いました。特に印象に残ったのは民族共生についてです。ボスニアでは旧ユーゴスラビアの解体に際して大規模な紛争が起こり、大きく分けて三つの民族分断が起こりました。その名残は今も国内に根付いています。
私たちは様々な疑問を在ボスニア日本大使館の職員の方々にお話を伺うことができました。職員の方々は本当に親切で当初予定していた時間よりも大幅に長く時間をとっていただき、とても有意義な時間を過ごすことができました。
特に印象深かったのは、他の民族がいる地域に行くのは怖いという現地の職員の方のお話です。その方のお話から、ボスニアで起きた紛争は決して古い記憶ではなく、人々の心に大きな傷を与えたのだなと感じると同時に、すごく複雑で解決に至るのが難しい問題であると改めて認識することができました。

吉田これらのフィールドワークの研究結果をオープンゼミナール大会で発表させていただくこともできました。複雑で理解しづらい、かつ馴染みのない地域についての発表なのでいかにわかりやすく簡潔に伝えるかということを意識しながら準備をしました。オープンゼミナールのHPで発表の際に用いたポスターも見ることができるのでよかったら見てみてください。
現時点で考えている将来のキャリアや夢を聞かせてください。
吉田私の夢は、国際的なフィールドに立ち飢餓や食糧難に苦しむ子供や人々を救うことです。そのために国際機関の中でも、FAO、WFP、UNDPといった機関の職員になりたいと考えています。
国際機関の職員になるには大学院に進学して関連分野の修士号を取得することや、2年以上の実務経験が必要となるので、現在は大学院進学を目指しています。まだ具体的な進学先は決まっていませんが、私のキャリアと現状を照らし合わせて、より良い選択ができればいいなと思っています。
また、国際機関が募集する長期インターンやJICAの青年海外協力隊にも参加したいと考えています。特に青年海外協力隊では、体操競技の指導員として入隊することができ、実際に学生のころに青年海外協力隊として、海外の地で体操の指導を経験した先輩もいらっしゃるので同じような経験ができればいいなと考えています。
実は先述したボスニアのフィールドワークに行くまでは、海外に拠点を持つ企業に就職することを目指して就活をしていました。大学入学から思い描いていた国連職員になるという夢でしたが、具体的なビジョンをイメージすることができず、目を背けてしまっていました。
そんな時にボスニアのフィールドワークに行き、UNDP(国連開発計画)のオフィスを訪問するという貴重な経験をさせていただきました。そこで実際の国連職員の方に思い切って、国連職員になりたいと伝えてみました。するとその職員の方は国連職員になるためのステップを丁寧に説明してくれて、最後に“Never give up!”と勇気をいただき、この瞬間にやっぱりもう一度目指してみよう!と思いました。私にとってボスニアのフィールドワークは自分のキャリアに再び挑戦する勇気をくれた出来事です。

国際関係学部を志望する受験生に対してメッセージをお願いします。
吉田第一に、みなさんの受験が無事終わるよう心から応援しています。
国際関係学部は、自分の人生を見つけることができる環境を提供してくれる学部だと思っています。国際関係学部を志望する受験生の中には、まだ具体的なキャリアを描けていない方もいるでしょう。大きな志を持つことなく、ただ漠然と国際関係学部を志望しているかもしれません。それでも大丈夫。個性豊かな国関生、様々なバックグラウンドを持った先生の皆様、国際関係学部を支えてくださる事務室の職員の皆様があなたの大学生活に良い影響を与えてくれます。
ここに来ればきっと自分のやりたいことを見つけ将来を思い描いていけるでしょう。私がそうだったように。改めて、みなさんの受験が後悔なく終わるよう、応援しています!
2025年11月更新
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