バックパッカーとして数か国を一人旅。学部での学びを机上で終わらせず、現地で感じ・考え・行動に移す。異なる環境に飛び込み続けることで、様々な力が身につきました。

榊 珠々 さん
グローバル・スタディーズ専攻 3回生

海外に積極的に出ていくことで学びを深めている榊さんに、学部での学びや海外での多様な経験についてお話を伺いました。

国際関係学部を志望した理由を教えてください。

幼い頃から両親の仕事の関係で海外に行く機会が多く、インターナショナルスクールに通っていたことで、多様な文化や価値観に触れる機会に恵まれました。こうした背景から、異文化やさまざまな価値観に対する理解と関心が自然と芽生え、世界には多様な課題や考え方があることを実感していました。

高校卒業後、すぐに大学へ進学することに疑問を感じてギャップイヤーを取り、アルバイトで資金を貯めながら日本一周を経験。その後、東南アジアを一人旅しました。旅先で出会った多様な人々や、地域ごとの文化や生活を直接体感する中で、世界の多様性と複雑さに触れ、自分の視野が大きく広がるのを実感しました。

こうした体験を通じて、単に世界を訪れるだけでなく、その背景にある歴史や社会構造、国際関係を体系的に理解する必要性を強く感じるようになりました。そして、そうした学びを深められる分野が国際関係学であることを知り、立命館大学の国際関係学部に、英語で学べるグローバル・スタディーズ(GS)専攻があることを知りました。英語力のさらなる向上とともに、より深く国際社会を学ぶために、国際関係学部への進学を決意しました。

入学してみて国際関係学部のイメージはどう変わりましたか。

入学前は、主に外交問題や国際政治を中心に学ぶイメージを持っていました。実際に入ってみると、社会学や日本の現代事情、さらには京都についても深く学べることに驚きました。また、留学生に限らず、日本人学生も日本全国から集まっており、多様な背景を持つ学生と交流できる環境が整っている点も印象的でした。

授業の内容も非常に幅広く、多様な分野に触れられること、さらに大学が提供する多彩な留学プログラムが用意されていることにも大変驚き、充実した学びの場だと感じています。

学部ではどのようなことに関心を持たれて学ばれていますか?

私は人権やジェンダーなどの社会的課題に関心があります。大学で授業を受ける中で、こうした問題が政治・経済・社会・法など多方面からどのように扱われているのかを学ぶ中で、それらが決して抽象的な概念ではなく、日々の生活や人々の思考に深く根ざしていることを強く実感しています。物価の上昇に対して賃金が追いつかないこと、毎年更新される猛暑、深夜に女性が一人で歩くことへの社会的な不安――こうした身近な出来事も、実は社会構造や政治と密接につながっていると考えています。

こうした身近な例を出発点に課題を多角的に捉え、解決の方向性を模索することに力を注いでいます。現実社会そのものが教科書であり、そこから学び続ける姿勢を大切にしています。

また、グローバルな問題とローカルな課題のつながりにも関心があります。ゼミのプロジェクトでは錦市場を対象に、かつて「京の台所」として地元住民に根ざしていた市場が、現在では外国人観光客を主な対象とする場へと変化している現状を調査しています。

インバウンドは日本に莫大な経済効果をもたらす一方で、オーバーツーリズムのような目に見えてわかりやすい状況が人々を疲弊させ、排外主義的な思考が広がっていることは、その善悪は別として間違いない現状があると感じています。そうした中で、観光都市京都の中心である錦市場で、伝統の維持と観光のバランスはどう取られ、これからどう変化していくのか、2030年の錦市場を想定し、各店主へのインタビューをしています。こうしたグローバルとローカルの課題が結びつく現場を直接調査できることは、京都で学ぶ大きな特権だと感じています。

語学学習にも力を入れており、英語だけでなく中国語やイタリア語の習得にも挑戦しています。言語を通じて異文化理解を深め、一つの言語では表せない表現を学ぶことで、表現の幅や知見が広がると考えています。

海外で様々な活動に参加されてきたとお伺いしました。どのような活動をされてきましたか?

大学生活では「挑戦と実践」をテーマに活動してきました。学びを机上で終わらせず、現地で感じ、考え、行動に移すことを意識し、異なる環境に飛び込みました。そこで見つけた学びを持ち帰り、また新たな行動へとつなげる。その繰り返しの中で、私は「学びの正の連鎖」を自分自身の中で育ててきたと思います。

1年生の夏には、カンボジアで行われた「グローバル・フィールドワークプロジェクト」に参加しました。このプログラムでは、カンボジアの大学生とチームを組み、「カンボジアと日本の教育の違い」について現地の大学生にインタビュー調査を行いました。チーム内では、教育制度の課題にどのように切り込むかで議論が紛糾する場面もありましたが、グループワークにおいて、「協働する力」と「自ら動く姿勢」の両方が重要であることを深く学ぶきっかけになりました。

調査中にはトゥールスレン刑務所などを訪れ、なぜカンボジアで教育者が大量に殺害されたのか、教育そのものが抑圧の対象となり、知識を持つ人間が「脅威」と見なされてきたという歴史を肌で学びました。これは、日本とカンボジアの教育制度を比較するだけでは得られない深い理解であり、教育の重要性や「学び続ける権利」の尊さを強く実感する機会となりました。

2年生の春には、中国・北京大学へ短期留学し、現地で言語を学びながら異文化環境で生活する楽しさと難しさを体感しました。到着当初は、日本で2年間学んできた中国語が全く通じず、クラスメイトや現地学生の会話スピードに圧倒されましたが、この期間は積極的にやり切ると決め、毎日外出して積極的に人と関わろうとしました。公園にいたおばあさんやタクシーの運転手と積極的に会話し、授業では中国語でのスピーチやロールプレイに臨み、クラスメイトや教師からのフィードバックを受けることで会話への自信をつけることができました。毎日挑戦したことで、「中国語を学ぶ楽しさ」と「言語を通じて人との距離が縮まる喜び」を実感できました。

さらに、バックパッカーとして旅することにも力を入れてきました。アルバイトで資金を貯め、2年生の夏に東ヨーロッパを中心に1ヶ月半、一人で旅をしました。毎日ホステルやカウチサーフィンに宿泊し、さまざまな人と出会うことを心がけました。

興味があったヨーロッパ史を実際に目の当たりにして学べたことはもちろんですが、出会った人々と人生について語り合い、濃密な時間を過ごしたことで、「生」を強く感じる忘れられない経験となりました。一人旅は何があっても自己責任になるため、トラブルへの対応力も自然と身につきました。夜行バスが来ず深夜のバスターミナルをさまよって助けを求めたり、原因不明の病気になって寝たきりになったり、わかりやすい差別を経験したりとさまざまな困難がありましたが、基本的に小さなことでは動じない姿勢を養うことができました。

これらの経験は、単なる参加実績ではなく、「自ら動き、学び、次につなげる姿勢」の積み重ねでした。役割分担や意見調整、批判的分析、語学力の向上、困難を乗り切る力などを通じて、「学びを行動に変える」挑戦を続け、結果としてリーダーシップや異文化理解、批判的思考力を培うことができました。

将来の目標を聞かせてください

来年度からはイタリアでの長期留学プログラムへの参加を予定しています。現地での学びをさらに深め、自分の研究関心を国際的な場で発展させたいと考えています。帰国後は、社会に出ることそのものも学びだと考え、別の国や地域を旅して、様々な経験を積む予定です。

将来的には、国際関係の分野、あるいは企業の国際部門など、グローバルな視点を持ち、多様な人々と協働できる場で働くことを目指しています。そのために、まずは大学での学びと留学経験を通じて、自分の関心分野をさらに深め、実践力を高めていきたいです。

国際関係学部を志望する受験生に対してメッセージをお願いします。

国際関係学部は、世界を多角的に学びながら、自分の興味をどんどん広げられる学びの場です。入学前は「外交や国際政治だけを学ぶ学部」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実際には社会問題や文化、地域研究など幅広い分野に触れることができる自由度の高い学部です。

深い歴史を持つ京都で学び、学生生活を送れることは本当に貴重で、かけがえのない時間になると思います! 好奇心を大切にして、ぜひ飛び込んでほしいです。

2025年9月更新

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